南アルプスの北端、
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山梨県西部の川。富士川上流部の呼称で,笛吹川との合流点までを指す。全長64km,流域面積1078km2。山梨・長野県境の駒ヶ岳(甲斐駒ヶ岳)西方の鋸岳(2607m)に源を発し,甲信の境を北流したのち流路を南東に変え,八ヶ岳すそ野の断層線に沿って流れ,大武川,小武川,塩川,御勅使(みだい)川を合流する。甲斐市南部で甲府盆地に出て盆地西部を南流し,西八代郡市川三郷町で笛吹川と合流する。支流はいずれも標高2000m以上の山を源とするため平均河床こう配は1/5~1/8と急峻である。地質は堆積岩に花コウ岩が貫入し熱変成を受けているため各支流からの土砂流出が激しい。各支流は複合扇状地を形成し,とくに御勅使川扇状地は約40km2あって日本の典型的な扇状地として知られ,明治末ごろ導入されたモモ,ブドウなどの果樹園が広がる。小淵沢から韮崎までの左岸は八ヶ岳泥流(韮崎泥流)からなる台地が高さ60~100mの絶壁となり,七里ヶ岩台地(穴山台地)と呼ばれる。釜無川は古くから洪水が多く,最近では1959年の台風7号,伊勢湾台風ではんらんし,韮崎付近に大きな被害を与えた。塩川,御勅使川の合流点付近には武田信玄が築造した信玄堤があり,現在も保存されている。
執筆者:水山 高久
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山梨県西部を南流する川。富士川上流部の通称名。延長64キロメートル。赤石山脈北部の駒ヶ岳(こまがたけ)(2967メートル)から鋸山(のこぎりやま)に至る北斜面に源を発し、長野県と山梨県境を北に流下、八ヶ岳(やつがたけ)からの立場(たてば)川と合流して南東に流れを変え、ほぼ糸魚川‐静岡構造線(いといがわしずおかこうぞうせん)に沿って流下、韮崎(にらさき)市の南東端で塩川、御勅使(みだい)川をあわせ南流し、甲府盆地の西部を流下、富士川(ふじかわ)町と市川三郷(いちかわみさと)町との境界付近で笛吹川(ふえふきがわ)と合流し富士川となる。日本三大急流の上流部にあたり、上流部に花崗岩(かこうがん)地域をもつことから、古来荒れ川として、支流の御勅使川とともに甲府盆地の治水の要の一つとなっていた。大規模な水力発電には利用されていないが、盆地西部を潤す徳島堰(ぜき)の用水源として、また伏流水は、甲府盆地西半の用水源として重要である。
[吉村 稔]
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…扇状地の背後には西部には市之瀬台,南部には曾根丘陵など一段高い台地がある。盆地西部には赤石山脈北端の甲斐駒ヶ岳から流れ出て塩川を合流する釜無(かまなし)川,東部は秩父山地の甲武信ヶ岳を源とし,重川,日川,金川,荒川などを合流する笛吹川が流れ,盆地南西部で合わさって富士川となり,峡谷を刻み南流して駿河湾に注ぐ。釜無・笛吹両川の合流点付近には沖積原がひらけている。…
…武田信玄が釜無川沿岸に構築した川除(かわよけ)用の堤防。山梨県中巨摩郡竜王町にある。…
…しかし徐々に川自体を押さえる方向に向かう。たとえば甲州における武田信玄の国中平野への進出と釜無川の治水は,この時代の治水の代表的なものである。信玄の治水法は,信玄堤の造成と御勅使(みだい)川の釜無川への流入点の変更である。…
※「釜無川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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