三時(読み)サンジ

デジタル大辞泉 「三時」の意味・読み・例文・類語

さん‐じ【三時】

零時から3時間たった時刻。→
午後3時ごろに出す間食おやつ。おさんじ。
農業に大切な三つの季節。耕作の春、草取りの夏、収穫の秋のこと。
インドで、熱時・雨時・寒時の3季節。
仏語。
㋐過去・現在・未来。
仏滅後の仏教の行われるさまを三つに分けたもの。正法しょうぼう時・像法ぞうぼう時・末法時。
昼夜を六時に分けた、晨朝じんじょう日中日没にちもつの昼三時と初夜中夜後夜の夜三時。
㋓仏の教化きょうけの益について天台宗日蓮宗で説く、三つの段階。法華経を信じうる種をまくこと、機を熟させること、解脱を得させること。種熟脱しゅじゅくだつの三時。
[類語](2間食おやつ間食い軽食おめざヤムチャ点心口直しスナックハイティー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「三時」の意味・読み・例文・類語

さん‐じ【三時】

〘名〙
① 仏語。正・像・末の三つの時代。仏滅後の仏教の行なわれるさまを三つに分けた時代区分。教・行・証の上でいえば、教・行・証がえられている正法、教・行はあるが、証がえられない像法、教はあるが行・証がすたれてしまう末法の三つの時代をいう。
※教行信証(1224)六「法有三時、人亦三品」
② 仏語。法相宗で説く有・空・中の三時。釈迦一代の教えを内容によって有教・空教・中道教に分け、順次に初時・第二時・第三時に配するもの。
※日蓮遺文‐顕謗法鈔(1262)「法相宗は三時に一代ををさめ」
③ 仏語。六時を昼夜に分けた、昼三時、夜三時。晨朝(しんちょう)・日中・日没の三つと、初夜・中夜・後夜の三つ。いずれにも勤行・読経の時間がある。
※性霊集‐九(1079)高雄山寺択任三綱之書「一鉢単衣除煩擾。三時上堂。観本尊三昧
④ 種・熟・脱の三時。仏の教化の益について天台宗、日蓮宗で説く説。
※阿彌陀新十疑(平安中)「第一疑云、衆生之機皆有種熟脱之三時
⑤ 過去と現在と未来。
※観智院本三宝絵(984)序「其の数を三巻に分かてる事は三時のひまにあてたるなり」
⑥ 朝と昼と晩。
東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉初「三時の飲食菲(うすう)して而して他の牛肉を思ひ」
禅宗で、粥前(朝)・斎前(日中)・薬石前(晩)の三回、経を読誦すること。
空華日用工夫略集‐永徳三年(1383)一二月一八日「住持普明国師与余議定本寺行事礼数十余件。所謂四時・三時・二時・四節・三八等、大半倣天龍之例
※正法眼蔵(1231‐53)三時業「善悪の報に三時有りといふは、一には順現報受、二には順次生受、三には順後次受、これを三時といふ」
農事を行なう上で大切な春、夏、秋の三つの時季。種をまき、草を取り、収穫をする三つの時季。〔書言字考節用集(1717)〕 〔春秋左伝‐桓公六年〕
⑩ 時刻の名称の一つ。一昼夜を二四分した、その三番目の時刻。また、一昼夜を午前と午後とに分け、それぞれを一二分した、その三番目の時刻。
⑪ (午後三時ごろに食べるところから) おやつをいう。おさんじ。

み‐とき【三時】

〘名〙
一日の朝・昼・夜の三つの時。
一時(いっとき)(=約二時間)の三倍。すなわち、約六時間。
平家(13C前)六「うちふす事三時(トキ)〈高良本ルビ〉ばかりして遂に死にけり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の三時の言及

【終末観】より

…この考え方はキリスト教に強い影響を与え,救済者としてのキリストの出現,その十字架上の死と栄光の復活という過程を通して〈神の国〉(全人類の救済)がつくられるという観念を生みだした。ところで,以上の系列の終末観に対して仏教においては,個人の魂の死後の運命を説く輪廻転生や因果応報の思想とともに,世界の終焉を予告する〈三時〉(正法,像法,末法)の思想が説かれた。〈三時〉とは釈迦の死後,世界がしだいに堕落・衰滅へとむかっていくプロセスを三つの段階に理念化したものであるが,最後の暗黒の時代を象徴する〈末法〉という考え方はとくに浄土教思想の根幹をなし,日本にも甚大な影響を与えた。…

【正像末】より

…釈迦入滅後における仏の教えの行われ方を3期に分かった正法時,像法時,末法時を正像末三時といい,あるいは略して正像末とも三時ともいう。正法時とは仏の教法と修行者と証果との三つが整った時期であり,像法時とは証果をうることはできないが,教法と修行の両者がなお存在して,相似の仏法が行われる時期であるのに対し,末法時とは教法だけがあって修行も証果もない仏教衰微の時期をいい,その後に教法さえもない法滅の時期に入るという。…

※「三時」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android