《桜島》(読み)さくらじま

世界大百科事典(旧版)内の《桜島》の言及

【梅崎春生】より

…在学中に短編《風宴》(1939)を発表したが,44年に海軍に召集され敗戦をむかえる。軍隊生活に取材した《桜島》(1946)によって戦後の文学活動を開始し,《日の果て》など戦争をえがいた作品で新時代の作家としての地位を確立した。梅崎の時代への態度は,正義をかかげて戦争を批判する立場とはちがって,私的体験と日常性を重くみる。…

【戦争文学】より

…わずかに,兵士としての火野葦平の《麦と兵隊》《土と兵隊》(ともに1938)や,上田広の《黄塵》(1938)などが戦場の一面を伝えたにとどまった。さらに太平洋戦争期に入ると,文学者の多くが南方戦場に報道班員として徴用されて,戦争文学は空前の大流行となったが,無名の人たちの詩歌以外にみるべきものはなく,戦後,梅崎春生の《桜島》(1946)や,野間宏の《真空地帯》(1952),大岡昇平の《俘虜記》(1952)などによって,ようやく本格的な戦争文学が誕生した。その後の戦争文学の力作としては,五味川純平《人間の条件》(1956‐58),大西巨人《神聖喜劇》(1960‐80),大岡昇平《レイテ戦記》(1967‐69)などがある。…

※「《桜島》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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