イースト(読み)いーすと(その他表記)yeast

翻訳|yeast

デジタル大辞泉 「イースト」の意味・読み・例文・類語

イースト(yeast)

酵母のこと。
[類語]細菌バクテリア球菌乳酸菌黴菌雑菌病原菌病原体大腸菌サルモネラ菌ピロリ菌ヘリコバクターピロリスピロヘータリケッチアウイルス酵母青黴麹黴

イースト(east)

東。東方。⇔ウエスト

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精選版 日本国語大辞典 「イースト」の意味・読み・例文・類語

イースト

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] yeast ) =こうぼきん(酵母菌)〔外来語辞典(1914)〕
    1. [初出の実例]「乾葡萄をパン焼用のイーストで醱酵させた葡萄酒」(出典:合本俘虜記(1952)〈大岡昇平〉季節)

イースト

  1. ( [英語] east ) 東。東方。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イースト」の意味・わかりやすい解説

イースト
いーすと
yeast

パン、ぶどう酒などをつくるのに用いられる菌類で、酵母ともいうが、生物分類学上の用語ではない。ギリシア語のzestos(沸騰の意)が語源といわれる。アルコール発酵が肉眼的に沸騰と類似の現象を呈することからこの名称ができたという。サッカロミセス・セレビシエSaccharomyces cerevisiaeが代表種である。

[曽根田正己]

 イーストは、その使用目的により、パン用、ワイン用、ビール用などがある。また、ビールなど醸造用酵母では、液層の表面で発酵する上面発酵酵母と、液層の底のほうで発酵する下面発酵酵母がある。

 アルコール発酵性のイーストは天然にも多く存在し、果実、花など糖分のあるところに生息している。したがって、昔は、ブドウの果実をつぶしたまま桶(おけ)に入れて自然に発酵させることが多かった。しかし現在では、ほとんどの場合、純粋に培養されたイーストが使用され、一部、製法や風味にこだわるパン作りで天然酵母が用いられている。イーストの発酵は、糖を原料にして二酸化炭素やエタノールエチルアルコール)をつくるもので、発酵源である糖分を必要とする。

 醸造用のイーストは、各工場で純粋なものを培養、増殖して使用する。パン用のものは、純粋培養したパン用イーストをさらに大量に培養し、これを脱水して固めた生(なま)イーストと、さらに乾燥したドライ・イーストにして市販される。これらを使用するときは、少量の砂糖を溶かした水に浮遊させ、30℃程度に20~30分置いてイーストに活性をつけたのち、材料に混合する。活性をつけないと発酵が十分に行われないので、膨張のよくない場合がある。

 イーストはそれ自体タンパク質に富み、またビタミン類を含有する。これを利用して、飼料、食用、薬用にも使用される。タンパク質をイースト自体のもつ酵素によって自己消化させるなどして、加工食品のうま味ベースなどに使用される発酵調味液を製造したり、イーストの含有する核酸を抽出し、酵素作用により、5'-リボヌクレオチドのような核酸系調味料を製造したりする。

河野友美・山口米子]

『Philip J. Barr, Anthony J. Brake, Pablo Valenzuela著、水永武光・大隅良典訳『酵母の遺伝子工学』(1995・宝酒造、丸善発売)』『田村学造・野白喜久雄・秋山裕一・小泉武夫編著『酵母からのチャレンジ「応用酵母学」』(1997・技報堂出版)』『小崎道雄・椿啓介編著『カビと酵母――生活の中の微生物』(1998・八坂書房)』『菊池韶彦著『新・生命科学ライブラリ 酵母のライフサイクル――ノーベル賞にかがやいた酵母の話』(2006・サイエンス社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「イースト」の意味・わかりやすい解説

イースト
yeast

酵母の意味であるが,ふつうはパン酵母,つまりサッカロミケスSaccharomyces属の酵母をいう。パン酵母を製造するにはオオムギコムギライムギエンバク,ソバ,ジャガイモトウモロコシ廃糖蜜などを原料とし,通気しながら培養する。ふつう脱水した圧搾酵母の形で利用される。一般に生イーストと呼ばれるものがこれで,淡灰色を呈し,むら,異味,異臭がなく,わずかに甘いにおいがあるものがよい。生イーストを30~40℃の低温で乾燥したものが乾燥酵母ドライイースト)である。パンに用いるときは圧搾酵母を細かくし,少量の砂糖を溶かした28~30℃の温水にまくようにして加える。しばらくすると細かく泡立ちを起こす。これを〈わき立つ〉という。酵母がわき立った状態のとき小麦粉に加え28℃前後で発酵させる。乾燥酵母を用いるときはふつうの圧搾酵母よりわき立つのにやや時間がかかる。圧搾酵母を貯蔵する場合は温度が高いと自己消化を起こしてしまうので,冷蔵庫中で5℃前後に保つ。
酵母
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百科事典マイペディア 「イースト」の意味・わかりやすい解説

イースト

酵母(こうぼ)の意。通常はパン製造に用いるパン酵母をいう。培養によって作られ,生イーストと乾燥したドライイーストがある。パン原料に加え発酵させて生じる炭酸ガスにより,原料を海綿状にふくらませる。
→関連項目乾燥酵母パン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イースト」の意味・わかりやすい解説

イースト
East, Edward Murray

[生]1879.10.4. イリノイ,デュクワイン
[没]1938.11.9. ボストン
アメリカの遺伝学者,植物学者,農学者,化学者。大学で化学を学んだのち,1900年よりイリノイ州農業試験場でトウモロコシの育種を開始。 04年学位取得。コネティカット州農業試験所所員を経て,のちにハーバード大学教授となる (1909) 。アメリカ科学アカデミー会員。家畜飼料としてのトウモロコシの価値を決める蛋白質や脂質の含有量を調べ,それに関して品種改良を行なって,すぐれた品種をつくりだし,広く世界中で栽培されている。

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世界大百科事典(旧版)内のイーストの言及

【キングズリー】より

…ケンブリッジ大学の近代史教授を務めたこともある。彼は若くしてカーライルの産業社会批判と,〈キリスト教社会主義〉を唱えたJ.F.D.モーリスの影響を受け,社会問題をテーマとした小説《イースト》(1848)および《オルトン・ロック,仕立屋詩人》(1850)を書き,農村やロンドンの貧民たちの生活を迫力をもって描いた。しかしチャーチズムの衰退後は5世紀のアレクサンドリアを舞台とした《ハイパシア》(1853),エリザベス時代のスペインとの戦いを描く《西へ出航!》(1855)などの伝奇的歴史小説,貧しい少年が海中の生活を送るファンタジー《水の子たち》(1863)などに転じた。…

【酵母】より

…通常の生育状態が主として単細胞で,出芽または分裂により増殖する菌類の総称。酵母菌ともいうが,いずれも分類学上の用語ではない。子囊胞子を形成するサッカロミケスSaccharomyces,ピキアPichia,ハンゼヌラHansenula,デバリオミケスDebaryomycesなどは子囊菌類に由来し,冬胞子(テリオスポアーteliospore)を形成するロドスポリディウムRhodosporidium,レウコスポリディウムLeucosporidium,その半数体のロドトルラRhodotorula,スポロボロミケスSporobolomycesなどは担子菌類に由来すると考えられている。…

【ベーキングパウダー】より

…ふくらし粉ともいう。パンの生地を膨張させるにはふつうイーストが用いられるが,生地に加える副材料などの関係でイーストの使用が適さぬ場合の膨張剤として考案された。おもに重曹に重酒石酸カリウムや炭酸アンモニウムなどを配合したもので,それらを単独で使用した場合に生じやすい苦みや臭みなどを除き,使いやすいものに作られている。…

※「イースト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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