長生殿(読み)チョウセイデン

デジタル大辞泉 「長生殿」の意味・読み・例文・類語

ちょうせい‐でん〔チヤウセイ‐〕【長生殿】

太宗驪山りざんに建てた離宮。玄宗華清宮と改名し、楊貴妃を伴って遊んだことで有名。
長方形をした紅白の落雁らくがん金沢市の銘菓。

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精選版 日本国語大辞典 「長生殿」の意味・読み・例文・類語

ちょうせい‐でんチャウセイ‥【長生殿】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 中国の唐代、現在の陝西省西安市東郊の驪山(りざん)にあった華清宮内の宮殿の名。
    2. [ 二 ] 中国の清代の戯曲。五〇幕。洪昇(こうしょう)作。康熙二七年(一六八八)成立。白居易の「長恨歌」、陳鴻の「長恨歌伝」などに基づき唐の玄宗皇帝と楊貴妃の愛情物語を描いたもの。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 干菓子一種。江戸初期より伝わる御所落雁を紅白にうちわけ改良したもの。遠州流茶祖小堀遠州政一の命名。金沢市の名物。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「長生殿」の意味・わかりやすい解説

長生殿(菓子)
ちょうせいでん

落雁(らくがん)の最高級品とされる金沢名物。石川県金沢市の老舗(しにせ)森八(もりはち)の名代菓子でもある。森八の始祖森下八左衛門が、縁者の大隅鉄斎に勧められて、越中(えっちゅう)井波の御所落雁を改良、1625年(寛永2)につくりあげた。江戸・本郷藤村(ふじむら)羊かんとともに加賀百万石を代表する菓子として、今日に名声を伝えてきた。御所落雁のごまのかわりに浪花(なにわ)の本紅(べに)、甘味には堺(さかい)から取り寄せた砂糖を用い、加賀糯米(もちごめ)を使って紅白に打ちわけ、桃山風の華やかさを表現した。唐墨を模した典雅な姿は3代藩主前田利常(としつね)の考案、篆書(てんしょ)体の長生殿は小堀遠州の筆になる。江戸後期品質の優れた阿波(あわ)和三盆(砂糖の一種)が完成、これを用いていっそう華麗な打菓子となった。

[沢 史生


長生殿(戯曲)
ちょうせいでん

中国、清(しん)初の戯曲。50齣(せき)(幕)。浙江銭塘(せっこうせんとう)の洪昇の作。孔尚任(こうしょうじん)の『桃花扇(とうかせん)』とともに清代の南曲の二大傑作と称される。唐の玄宗(げんそう)と楊貴妃(ようきひ)のロマンスを、白居易の『長恨歌(ちょうごんか)』に拠(よ)って筋を進め、貴妃の入内(じゅだい)、安禄山(あんろくざん)の乱、そして貴妃の死のあと、蜀(しょく)から都に帰った玄宗が、道士に命じて貴妃の魂を探させ、8月15日の夜、仙橋を渡って月宮に至り、貴妃と再会する。元(げん)曲では玄宗と楊貴妃の話を扱ったものが多かったが、南曲ではまれである。10余年に三たび稿をかえて成ったという苦心の作であり、聖祖がこの芝居を見て喜び、俳優に銀20両を賜ったという話は有名である。

[岩城秀夫]

『塩谷温訳『長生殿』(『国訳漢文大成 文学部17』所収・1923・国民文庫刊行会)』

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百科事典マイペディア 「長生殿」の意味・わかりやすい解説

長生殿【ちょうせいでん】

中国,清代の戯文。洪昇(こうしょう)〔1659-1704〕の作。50幕。1679年(1688年とも)なる。《長恨歌》《梧桐雨》などに範をとり,玄宗皇帝と楊貴妃の愛情を,楊家一門の栄華や安禄山の反乱など,唐王朝の興亡を背景に描く。文辞の美麗なること清代随一の秀作とされ,《桃花扇》と並称される。

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改訂新版 世界大百科事典 「長生殿」の意味・わかりやすい解説

長生殿 (ちょうせいでん)
Cháng shēng diàn

中国,清代の戯文。洪昇(1659-1704)の作。楊貴妃が唐の玄宗に寵愛されるに至る経緯から,安禄山の乱,馬嵬坡での死を描き,乱後,玄宗が法壇を設けて貴妃の霊を招き,道士が月宮に向かって仙橋を架け,玄宗を導いて貴妃と再会させる,という筋である。10余年の間に三たび稿をかえて成ったといわれ,孔尚任の《桃花扇》とともに,明初以来盛行してきた戯文の掉尾(とうび)を飾る作品である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長生殿」の意味・わかりやすい解説

長生殿
ちょうせいでん
Chang-sheng-dian

中国の長編戯曲。清の洪昇の作。 50幕。康煕 27 (1688) 年成立。唐の玄宗と楊貴妃の故事を主題としたもの。白居易の『長恨歌』,陳鴻の『長恨歌伝』,白仁甫の元曲『梧桐雨』など,この故事を扱った多くの先行作品をもととし,これを集大成して長編の戯曲としたもの。玄宗と楊貴妃の関係を純粋な愛情として描いた点が従来の作品と異なり,十余年を費やし,3度も稿を変えて成ったと伝えられる。音楽もすぐれ,清代第一の大作。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「長生殿」の解説

長生殿
(通称)
ちょうせいでん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
小栗長生殿 など
初演
享保10.11(江戸・中村座)

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デジタル大辞泉プラス 「長生殿」の解説

長生殿

石川県金沢市、森八が製造・販売する銘菓。富山産の糯米(もちごめ)、徳島産の和三盆糖を使用した長方形の落雁。日本三大銘菓のひとつといわれる。

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