カイパー

世界大百科事典 第2版の解説

カイパー【Gerard Peter Kuiper】

1905‐73
オランダ生れの天文学者。ライデン大学に学ぶ。1933年渡米し後に帰化。リック天文台を経てヤーキス天文台に入り,当時世界第2の208cm反射望遠鏡をテキサス州マクドナルド天文台に建設する仕事にも参画し,完成後はそれを用いて諸種の観測研究を行った。星のスペクトル型の温度較正と放射補正量の決定,質量光度関係の決定,土星の衛星チタンにメタンの大気を発見,硫化鉛の赤外線測光器を初めて天文観測に用いて火星のCO2などを発見,天王星の第5衛星ミランダと海王星の第2衛星ネレイドを発見,小惑星の徹底的観測,連星系ぎょしゃ座ζ星,こと座β星などのスペクトルからその実体の解明など,研究成果は天文学の多方面にわたる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カイパー
Kuiper, Gerard Peter

[生]1905.12.7. オランダ,ハーレンカルスペル
[没]1973.12.23. メキシコ,メキシコシティー
オランダ生まれのアメリカ合衆国の天文学者。本名 Gerrit Pieter Kuiper。太陽系に関する発見と理論で知られる。1927年にライデン大学を卒業し,1933年同大学院で博士号を取得。同 1933年アメリカ合衆国へ移住し,1937年に帰化した。1936年からシカゴ大学のヤーキズ天文台に勤務。ヤーキズ天文台とマクドナルド天文台の台長を 1947~49年,1957~60年務めた。1960年アリゾナ大学に月惑星研究所を創設。1944年土星の衛星チタンの周囲にメタンの大気が存在することを確認した。1947年火星の大気の主成分は二酸化炭素であること,また土星の環は氷の粒子で形成されていることを予測し,いずれも正しいことが示された。1948年天王星の第5衛星ミランダを,1949年海王星の第2衛星ネレイドを発見。1950年冥王星の視直径の信頼できる値を初めて測定した。1956年火星の極冠は従来想定されていた二酸化炭素ではなく,氷結した水で形成されていることを証明した。1951年太陽系の起源について,太陽のまわりで大きなガスの雲が凝縮することにより惑星が形成されたという強力な理論を提唱し,また太陽から 30~50天文単位(AU)の距離のところで円盤状の帯を形成し周回している無数の彗星の存在を示唆した。この彗星の帯の存在は 1990年代に立証され,カイパーベルトと名づけられた。その功績はカイパー空中天文台(1974)に名を残し,水星,火星にもカイパーにちなんで命名されたクレータがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カイパー
かいぱー
Genard Peter Kuiper
(1905―1973)

アメリカの天文学者。オランダに生まれ、1927年ライデン大学を卒業、1933年学位を得たのちアメリカに渡った。リック天文台を経て、1936年ヤーキス天文台の研究員、1947年同台長、1957年マクドナルド天文台台長、1960年アリゾナ月・惑星研究所所長を歴任した。初期の研究は食変光星こと座β(ベータ)星の変光機構の解明であったが、のちに月・惑星の形状観測に専念し、1948年天王星の第5衛星ミランダを、翌年海王星の第2衛星ネレイドを発見。また両惑星の大気のスペクトルにメタン帯を検出した。惑星の形成に関して、ワイツゼッカーの乱流渦動説を修訂して、諸特性を合理的に導出することに成功した。[島村福太郎]

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