ガウン
がうん
gown
一般に、胴を締めない、丈の長いドレスや外衣をいう。婦人用の正装であるイブニング・ガウン、花嫁のウェディング・ガウン(ブライダル・ガウンともいう)、18世紀初頭のロココ調のワトー・ガウンなどのほか、寝巻の上に羽織るナイト・ガウンやドレッシング・ガウン、湯上がり用のバス・ガウン、客をもてなす家の婦人が着るホステス・ガウン、プリンセス・ラインをもつプリンセス・ガウンなども含まれる。第二次世界大戦後に、丈の短いものや、袖(そで)のないものが現れた。また、14世紀から1560年ごろまで、男子がチュニックとホーズ(脚衣)の上に着た。長くてゆったりした、大きな袖のついた外衣。これは16世紀中期以降は、社会的地位や身分を表徴するためのものとなった。主として黒色や灰色の、法服のジャッジ・ガウン、大学の式服のアカデミック・ガウン、ジュネーブ・ガウン(プロテスタントの牧師の式服としてもよく用いられる)などがあり、今日まで用いられている。このほか、古代人が着用した長くて緩やかな外衣、フランス語のローブの類も、こうよばれる。
[田村芳子]
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ガウン
gown
丈長の,幅のゆったりしたワンピース形式の上衣。イブニングガウンのようなフォーマルなもののほかに,室内着,化粧着,仕事着としても用いられる。また大学の式典の際着用する正服,市長などの職服,弁護士,裁判官などの法官服,司教などの聖職服など伝統服にも用いられる。語源のラテン語 gunnaは,8世紀には老齢の修道士が着た皮の衣服を,のちのビザンチン時代には皮およびその他のラフな材料でつくった衣服を意味した。その後,衣服,服装などの総称として用いられた時代もある。 14世紀後半より男性服が2部形式となったことにより,男性服については職服などの特殊服と,一般服としてはわずかに室内着にのみ残った。女性服としては一般服のチュニックにあたる名称となった。 16世紀以降は材質を問わず,ゆったりした丈長のワンピース形式の寛衣の総称または形式名として用いられ,特に 18世紀初期の J.A.ワトーの絵画に由来するワトープリーツガウンは著名である。
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ガウン
〘名〙 (gown) 長くゆったりと仕立てた上着。
① 裁判官、大学教授などが正装として着るもの。
※諷誡京わらんべ(1886)〈坪内逍遙〉五「
英吉利(イギリス)の社会に於ても、少し体裁をば要する折には、ガウンといふ者を被
(き)ます訳です」
② 室内でくつろぐときに着る、ゆったりとした上着。寛衣。〔外来語辞典(1914)〕
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ガウン
長くゆったりした外衣。フランス語のローブにあたる。聖職者,裁判官,大学教授,弁護士などが儀式や公式の行事のとき用いる。英国の戴冠(たいかん)式の際の外衣や,大学の卒業生の着る外衣もこれに当たる。女性のガウンはドレスと同義で,イブニング・ガウン,ウェディング・ガウンなどともいう。
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ガウン【gown】
ゆるやかで丈の長い外衣。フランス語のローブとほぼ同義。中世のイギリスで女性の着ていた2枚重ねのチュニックのことを指した。14世紀にベルベット,ダマスク織,毛皮などで縁取りされたサーコート(シュルコ)やフープランドなど,ゆったりした長い丈の豪華な外衣が男性にも用いられ,それらもガウンと呼ばれるようになった。16世紀にスペイン風マントなど外套が着用されるようになると,聖職者や裁判官,大学教授,大学生に儀式の際の衣服として用いられるようになり,今日にも伝わっている。
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