セン

デジタル大辞泉 「セン」の意味・読み・例文・類語

セン(Amartya Sen)

[1933~ ]インド経済学者。国内外の大学教授歴任国連大学世界開発経済研究所の創立に関与する。1998年、所得分配の不平等と貧困飢餓の研究が評価され、ノーベル経済学賞受賞。アマルティア=セン。

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普及版 字通 「セン」の読み・字形・画数・意味


15画

(異体字)
18画

[字音] セン

[説文解字]

[字形] 形声
声符は旋(せん)。美しい玉。字はまたに作り、〔説文〕一上に「美玉なり」とする。〔書、典〕「(せんき)玉衡(ぎよくかう)を在(あき)らかにす」を、漢以後は多く「玉衡」に作る。玉衡は渾天儀、また北斗七星をいう。

[訓義]
1. たまの名。
2. 星の名、北斗第二星。

[古辞書の訓]
字鏡集 ヨキタマ*語彙は字条参照。

[熟語]

[下接語]
・玖・枢・仙・瑶


18画

(異体字)
15画

[字音] セン

[説文解字]

[字形] 形声
声符は睿(えい)。睿に濬(しゆん)の声がある。睿はもと(しゆん)に従う字である。〔説文〕一上に「美玉なり」とし、「春秋傳に曰く、弁玉纓」と〔左伝〕の文を引く。いま〔左伝、僖二十八年〕に「瓊弁(けいべん)玉纓」に作る。〔書、典〕に「(せんき)玉衡を在(あき)らかにして、以て七を齊ふ」とあり、「玉衡」とは渾天儀をいう。

[訓義]
1. たまの名。
2. 北斗第二星。
3. 字はまた(せん)に作る。

[古辞書の訓]
立〕 タマ 〔字鏡集〕 ヨキタマ*語彙は字条参照。

[熟語]



20画

[字音] セン

[字形] 形声
声符は(扇)(せん)。古い字書に見えず。〔旧五代史、唐郭崇韜伝〕「嘗(かつ)て從容として(魏王)繼に白(まう)して曰く、~宜しく盡(ことごと)く宦官を去り、士族を優禮すべし。唯だに閹寺(宦官)を斥(そせき)するのみならず、馬にも復(ま)た乘るべからず」とあり、〔新五代史〕に字をに作る。樹の主根を截(き)る栽培法をもいう。

[訓義]
1. 去勢する。
2. 樹の主根を截る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セン」の意味・わかりやすい解説

セン(Amartya Sen)
せん
Amartya Sen
(1933― )

アジアで初めてノーベル経済学賞を受賞したインドの経済・倫理学者。ベンガル州のシャンティニケタンに生まれる。少年時代に300万人の死者を出したベンガル大飢饉(ききん)に遭遇し、これが経済学を志すきっかけとなった。1953年にカルカッタ大学卒業後、イギリスケンブリッジ大学で1959年に博士号を取得。ジャダプール大学、デリー大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス、オックスフォード大学ハーバード大学などの教授を歴任し、1998年からケンブリッジ大学トリニティカレッジ学寮長、2004年にハーバード大学に復帰する。貧困や福祉に関して経済学と倫理学の両面から研究し、道徳哲学としての経済学の樹立を目ざす。開発経済学の分野で豊かさを示す指標の作成などにも貢献した。1998年のノーベル賞受賞理由は「所得分配の不平等にかかわる理論や、貧困と飢餓に関する研究についての貢献」である。

 自他ともに認めているように、センの幅広い研究の出発点であり、核心をなすのが厚生経済学とK・J・アロー(1972年にノーベル経済学賞受賞)以来の社会的選択の理論であり、それらを他の分野にまで拡張・発展させ、厚生経済学を装いを新たに復権させた功績は大きい。経済学の主流である新古典派経済学への批判を展開し、厚生経済学の効率市場主義の限界を指摘する。経済学の倫理的側面を取り上げ、自由と権利を重視する福祉の経済学の礎(いしずえ)を築いた。おもな著書に1970年の『Collective Choice and Social Welfare』(『集合的選択と社会的厚生』)、1973年の『On Economic Inequality』(『不平等の経済学』)、1981年の『Poverty and Famines』(『貧困と飢饉』)がある。開発途上国の貧困に関する実証研究でも有名で、インド、バングラデシュ、エチオピアなどで現地調査を実施する。経済成長よりも人々の選択の自由度を重視する「潜在能力アプローチ」は国連開発計画(UNDP)の理論的支柱となり、途上国支援に多大な影響を与えている。2002年に、東京大学初の名誉博士号を贈られた。

[金子邦彦]

『志田基与師監訳『集合的選択と社会的厚生』(2000・勁草書房)』『鈴村興太郎・須賀晃一訳『不平等の経済学』(2000・東洋経済新報社)』『黒崎卓・山崎幸治訳『貧困と飢饉』(2000・岩波書店)』


セン(Keshab Chandra Sen)
せん

セーン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セン」の意味・わかりやすい解説

セン
Sen,Amartya Kumar

[生]1933.11.3. ウェストベンガル,サンティニケタン
インドの経済学者。カルカッタのプレジデンシィー・カレッジで学んだのち,イギリスのケンブリッジ大学トリニティ校に進み,1959年に博士号を取得。デリー大学,ロンドン大学,オックスフォード大学などで教えたのち,88年ハーバード大学の経済学および倫理学教授に就任。 98年ケンブリッジ大学トリニティ校学寮長。社会選択理論の分野で,各個人に少くとも1つの社会的選択を決定する自由を与えるという意味でのパレート派リベラルの条件を満たす社会的決定関数の存在の不可能性を示し,社会選択理論を権利や自由の問題に関連づけて展開させることに大きな役割を果した。また開発経済学の分野では,第三世界における貧困の原因を究明し,現実的な投資基準や貧困の尺度の問題を扱った。経済学と倫理学の接点での研究では,貧困についての現実認識に根ざしながら,功利主義ないし効用主義に基づく厚生経済学の枠組みを根本的に見直す画期的な研究につながっている。この功績に対して,98年ノーベル経済学賞を授与された。経済学賞ではアジア初の受賞。主著"Choice of Thechniqes" (1960) ,"Collective Choice and Social Welfare" (70) ,"On Economic Inequality" (73),"Poverty and Famines" (81) ,"Choice Welfare and Measurement" (82) ,"On Ethics and Economics" (87) 。

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百科事典マイペディア 「セン」の意味・わかりやすい解説

【せん】【せん】

東洋,ことに中国の建築材料。粘土を固めて焼いた,煉瓦に相当するもので,家屋の各部,城壁,墳墓,塔などの構築に用いられた。戦国時代ごろ黄河流域で盛んに使われ始め,漢代には一般化して発達,後代まで広く用いられた。長方形の条【せん】(長方【せん】)が主で,ほかに正方形の方【せん】,大型で中空な空【せん】などがある。表面には文字銘,文様や画像が型押しされることも多く(画像【せん】),彩色したり,彩画したものもあり,後世にはで色をつけた瑠璃(るり)【せん】も現れた。【せん】は中国から朝鮮,安南に伝わり,日本でも藤原宮その他で用いられた。
→関連項目営城子壁画墓始皇陵【せん】槨墓臨【し】古城址

セン

インドの経済学者。ベンガル州生れ。カルカッタ大学,イギリスのケンブリッジ大学卒業。1963年‐1971年デリー大学経済学部教授,1971年‐1977年ロンドン大学教授,1977年‐1987年オックスフォード大学教授,1987年‐1997年アメリカのハーバード大学教授,1997年イギリスへ戻り,ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学寮長。主著に《不平等の経済理論》(1973年。増補版《不平等の経済学》,1997年),《貧困と飢餓》(1981年),《合理的な愚か者》(1982年),《福祉の経済学》(1985年),《不平等の再検討》(1992年)などがある。〈所得配分の不平等にかかわる理論や,貧困と飢餓に関する研究についての貢献〉により,1998年にノーベル経済学賞を受賞した。アジア人の経済学賞受賞は初めて。

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世界大百科事典(旧版)内のセンの言及

【漁具】より

…餌を使うものが多いが,移動経路を知って仕掛けたり,産卵床(イカ籠),生息場所(蛸壺)を提供したりするものもある。せん,(うけ),どう,もんどりなどはおもに河川・湖沼で用いられる。アナゴ筒,蛸壺,イカ籠,エビ・カニ籠などは簡単な構造であるが実用性の高い漁具である。…

※「セン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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