ターナー(Cyril Tourneur)(読み)たーなー(英語表記)Cyril Tourneur

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ターナー(Cyril Tourneur)
たーなー
Cyril Tourneur
(1575?―1626)

イギリスの劇作家。文学的出発は風刺的寓意(ぐうい)詩『変形譚(たん)変形』The Transformed Metamorphosis(1600)。経歴には謎(なぞ)の部分がきわめて多く、彼の作と断定される現存戯曲は『無神論者の悲劇』The Atheist's Tragedy(1611)一作だけである。これは副題に「正直者の復讐(ふくしゅう)」とあるように「復讐劇」の系統に属する作品であるが、残虐非道な無神論者ダンビルが自ら振り上げた斧(おの)によって頭を割られる結末には、神による復讐というモラルと同時に、伝統的復讐劇に対する批判も読み取れる。流血と瞑想(めいそう)の交錯するジェームズ朝悲劇の傑作『復讐者の悲劇』(1607)も、彼の作とみなされているが、決定的証拠に欠け、ミドルトン作者説も依然として有力である。ほかにヘンリー王子の夭折(ようせつ)を悼む哀歌などの詩作がある。1613年には早くも筆を断ち、25年、政治家サー・エドワード・セシルEdward Cecil(1572―1638)の個人秘書としてスペインに遠征するが、カディス攻略の企ては失敗、その帰国途上アイルランドに客死した。

[野崎睦美]

『大場建治訳『復讐者の悲劇』(1969・悠久出版)』

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