翻訳|terrorism
組織的・集団的暴力の一形態であり,心理的威嚇や勢力の誇示といった政治的効果をねらうため,政治集団により行使される暴力をいう。テロリズムは,主として革命時や内乱時に生ずるが,比較的小さな代価で大きな効果をうむため,平時に少数派の政治集団により用いられる例も増加しており,暗殺のような個別的暴力行使の形態と近似しつつある。内乱時のように政治社会の分極化状況のもとで生じるテロリズムでは,行使する主体によって革命的(赤色)テロルと反革命的(白色)テロルとが区別されるが,元来テロリズムは反革命的支配階級の常套(じようとう)手段とされ,革命派はこれと対抗するために防衛手段としてテロリズムをとったのである。革命的テロルとして有名なのはフランス革命時におけるジャコバン独裁での恐怖政治や,ロシア革命での戦時共産主義期(1918-20)における例があるが,これらの状況においては,双方の側から暴力行使が行われるか,または対抗テロルをうみがちである。また分極化状況のもとでは,テロルの行使は,敵側に対してだけではなく,自己の側に対しても向けられるようになる例も少なくない。他方,近時とくに顕著な傾向としては,少数派集団が体制に対しテロリズムを効果的に利用して存在を誇示したり,譲歩をひきだす例がある。これとは反対に,第2次世界大戦前のファシズム体制や今日の第三世界の強権的統合体制(〈開発独裁〉ともよばれる)のように,体制自体がテロリズムを内包し,あらゆる合法的反対派をも抑圧している例もみられる。いずれにせよ直接的暴力だけでなく構造的暴力が存在している政治社会では,政治的手段としてのテロリズムへの誘因が存在しがちである。
→暴力
執筆者:下斗米 伸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
テロルとは政治的手段としての殺人であり,フランスやロシアでは革命独裁政権が行った。テロリズムは,テロルを政治闘争の武器として系統的に行う立場のことである。革命運動,民族運動では19世紀のロシアとアイルランド,20世紀のパレスチナが代表的である。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…一般的には,権力を掌握した党派ないし個人が,武力ないし暴力を背景とし,反対派に対する逮捕,投獄,処刑,殺害などの手段を用い,民心をして恐怖せしめることによってみずからの権力の維持とその政策の貫徹とを図ろうとするような政治形態をいう。そのような一般的な意味では,テロリズムともいう。だが,歴史的には,フランス革命期の1793年から94年にかけて行われた革命的独裁政治が,断頭台などによる大量処刑を伴ったために恐怖政治と呼ばれており,狭義の恐怖政治は,この時期のフランスの政治形態を指す。…
※「テロリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...