テロリズム(英語表記)terrorism

翻訳|terrorism

デジタル大辞泉 「テロリズム」の意味・読み・例文・類語

テロリズム(terrorism)

政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義。テロ。

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精選版 日本国語大辞典 「テロリズム」の意味・読み・例文・類語

テロリズム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] terrorism )
  2. 一定の政治目的のために、暗殺や暴行、粛清などの直接的な恐怖手段に訴える主義。暴力主義。また、その行為テロ行為。〔新しき用語の泉(1921)〕
    1. [初出の実例]「暗殺されたり、暗殺したり、テロリズムの恐怖のもとに」(出典:現代史の課題(1956)〈亀井勝一郎〉日本近代化の悲劇)
  3. テロル

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改訂新版 世界大百科事典 「テロリズム」の意味・わかりやすい解説

テロリズム
terrorism

組織的・集団的暴力の一形態であり,心理的威嚇や勢力の誇示といった政治的効果をねらうため,政治集団により行使される暴力をいう。テロリズムは,主として革命時や内乱時に生ずるが,比較的小さな代価で大きな効果をうむため,平時に少数派の政治集団により用いられる例も増加しており,暗殺のような個別的暴力行使の形態と近似しつつある。内乱時のように政治社会の分極化状況のもとで生じるテロリズムでは,行使する主体によって革命的(赤色)テロルと反革命的(白色)テロルとが区別されるが,元来テロリズムは反革命的支配階級の常套(じようとう)手段とされ,革命派はこれと対抗するために防衛手段としてテロリズムをとったのである。革命的テロルとして有名なのはフランス革命時におけるジャコバン独裁での恐怖政治や,ロシア革命での戦時共産主義期(1918-20)における例があるが,これらの状況においては,双方の側から暴力行使が行われるか,または対抗テロルをうみがちである。また分極化状況のもとでは,テロルの行使は,敵側に対してだけではなく,自己の側に対しても向けられるようになる例も少なくない。他方近時とくに顕著な傾向としては,少数派集団が体制に対しテロリズムを効果的に利用して存在を誇示したり,譲歩をひきだす例がある。これとは反対に,第2次世界大戦前のファシズム体制や今日の第三世界の強権的統合体制(〈開発独裁〉ともよばれる)のように,体制自体がテロリズムを内包し,あらゆる合法的反対派をも抑圧している例もみられる。いずれにせよ直接的暴力だけでなく構造的暴力が存在している政治社会では,政治的手段としてのテロリズムへの誘因が存在しがちである。
暴力
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百科事典マイペディア 「テロリズム」の意味・わかりやすい解説

テロリズム

政治的目的を実現するためにとられる殺人などの恐怖手段,またはそれを基礎とする立場。単なる暗殺とは違い,無差別な殺人や傷害も辞さない。ロシアの社会革命党や日本の血盟団血盟団事件)などのように左翼・右翼ともにこの手段を用い,それぞれ赤色テロ,白色テロなどという。20世紀には民族解放闘争におけるテロなども見られるが,冷戦の終焉とグローバリゼーションの深化という状況のもとで,2001年の米国における同時多発テロ(9.11事件)以後,新たなかたちの国際的テロリズムが国際社会の大きな脅威となった。アフガン戦争,イラク戦争,チェチェン内戦,アラブの春以降の中東・北アフリカの内戦,さらには中国の民族問題などのなか,さまざまなイスラム武装勢力イスラム過激派組織が現れ,対立する政治勢力や西欧諸国をはじめ国家へのテロ活動が頻繁に行われている。西欧諸国のなかでもホームグロウンテロが問題になっている。
→関連項目危機管理時限爆弾シャルリー・エブド

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知恵蔵 「テロリズム」の解説

テロリズム

歴史的には、フランス革命期の恐怖政治、ロシア革命直後の革命派と反革命派による暴力活動などを指す。しかし近年、動機が多様化し、攻撃目標が要人から一般市民に、攻撃場所も街頭、高層ビル、航空機などに拡大。被害規模も大きくなっている。そのため暗殺、公共施設の爆破や占拠、人質を使った強要など、交戦時の戦闘行為や合法的警察行動以外の暴力行使を、広く指す。動機や目的は大別すれば、(1)少数個人による宗教、民族、イデオロギー上の聖戦の遂行。スリランカのタミル人過激組織によるとされるラジブ・ガンジーインド首相暗殺や、エジプトのルクソールにおける観光客襲撃事件など。(2)差別・抑圧に対抗し、自ら不正義と考える現状を広く知らせようとする暴力行動。ペルー日本大使公邸人質事件、ケニア・タンザニアの米国大使館の爆破事件など。米の同時多発テロは(1)、(2)の要素が重なり合う。(3)異端者や異見の主張者の暴力による排除。自集団を思想的に締め付けるための見せしめにする狙いもある。伝統批判の自由を主張する作家に対する、イスラム原理主義団体の死刑宣告など。(4)外交的妥協政策の阻害。中東和平を推進したラビン・イスラエル首相の反対派ユダヤ人による暗殺、イスラム急進派のハマスによる連続爆破事件など。(5)従来の枠に当てはまらない社会攻撃。米国でコンピューター社会への反乱を唱える元大学教員(通称、ユナボマー)が郵便爆弾を送り付けたり、自称「愛国者集団」が大きな政府反対の名目で連邦政府ビルを破壊するなど、先進国内の疎外を示す事件。地下鉄サリン事件も、この類型だろう。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「テロリズム」の解説

テロリズム
terrorism

テロルとは政治的手段としての殺人であり,フランスやロシアでは革命独裁政権が行った。テロリズムは,テロルを政治闘争の武器として系統的に行う立場のことである。革命運動,民族運動では19世紀のロシアとアイルランド,20世紀のパレスチナが代表的である。

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世界大百科事典(旧版)内のテロリズムの言及

【恐怖政治】より

…一般的には,権力を掌握した党派ないし個人が,武力ないし暴力を背景とし,反対派に対する逮捕,投獄,処刑,殺害などの手段を用い,民心をして恐怖せしめることによってみずからの権力の維持とその政策の貫徹とを図ろうとするような政治形態をいう。そのような一般的な意味では,テロリズムともいう。だが,歴史的には,フランス革命期の1793年から94年にかけて行われた革命的独裁政治が,断頭台などによる大量処刑を伴ったために恐怖政治と呼ばれており,狭義の恐怖政治は,この時期のフランスの政治形態を指す。…

※「テロリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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