出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南西部,後志(しりべし)支庁にある成層火山。標高1308m。第四紀更新世の中期から末期にかけて形成された基底直径15kmに及ぶニセコ火山群の主峰。西方には2峰の溶岩円頂丘からなるイワオヌプリ(硫黄山。1118m)やニトヌプリ(1083m),チセヌプリ(1135m)の円頂丘が連なる。ニセコアンヌプリの中腹はハイマツ帯,上部はササと高山植物帯となっている。日本海に近いため季節風の影響を直接受け,山麓は積雪が2mをこえる多雪地帯となっている。第2次大戦前から山スキーが盛んで,1961年に西麓にひらふスキー場が開かれ,現在は全国有数の長大な樹間コースをもつ七つのスキー場がある。雪質がよく,滑走期間も長く,本州方面からのスキー客も多い。南麓には温泉が多数湧出し,チセヌプリの北には大沼,長沼,神仙沼,大谷地などの湖沼湿原もある。
ニセコ火山群の山麓一帯の温泉の総称で,俱知安(くつちやん),ニセコ,蘭越(らんこし)の3町にまたがる。火山群の溶岩円頂丘近くには,東西に五色(別称,ニセコ五色。純食塩泉,80℃),湯本(純食塩泉,76℃),新見(にいみ)(正苦味泉,70℃)の温泉が分布し,山麓中部には山田(別称,比羅夫(ひらふ)。単純硫黄泉,45℃),昆布(純食塩泉,42~53℃),薬師(純食塩泉,42℃)が,尻別川河畔には昆布川(純食塩泉,42℃)の温泉がある。湯本温泉は1885年の開湯であるが,そのほかは1900年以降の開設で,戦前はニシン漁や農業の休閑期の湯治場にすぎなかった。58年に国民温泉に指定され,ニセコアンヌプリを半周する観光道路の完成や山麓のスキー場の開設が相次ぎ,各温泉とも温泉街の整備が進んだ。
執筆者:山下 克彦
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
北海道南西部、後志(しりべし)総合振興局管内のニセコ町と倶知安町(くっちゃんちょう)との境界にある山。ニセコアンヌプリ火山群の主峰で、標高1308メートル。尻別(しりべつ)川を挟んで東の羊蹄(ようてい)山と相対す。山名はアイヌ語のニセイコアン・ヌプリ(断崖(だんがい)に向かってある山)の意。更新世(洪積世)中期に形成されたもので、輝石安山岩の溶岩、砕屑(さいせつ)物からなる。標高700~800メートルの所は台地状の溶岩流堆積(たいせき)面となっている。山腹はハイマツ、その上はササで覆われ、高山植物も多い。冬は積雪量が多く、スキーのメッカとして有名。付近にはニセコアンヌプリ、ニセコ国際ひらふなどのスキー場があり、東洋のサン・モリッツと称される。夏は登山やハイキングなどでにぎわい、東麓(とうろく)にひらふ温泉、西麓にニセコ五色温泉(にせこごしきおんせん)がある。ニセコ積丹小樽(しゃこたんおたる)海岸国定公園域。
[瀬川秀良]
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