バチカン市国(読み)バチカンシコク(英語表記)Vatican City

翻訳|Vatican City

デジタル大辞泉 「バチカン市国」の意味・読み・例文・類語

バチカン‐しこく【バチカン市国】

バチカン」の正称。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「バチカン市国」の意味・わかりやすい解説

バチカン[市国]
Vatican City

基本情報
正式名称=バチカン市国Stato della Città del Vaticano 
面積=0.44km2 
人口(2010)=1000人 日本との時差=-8時間 
主要言語イタリア語,ラテン語 
通貨=リラLira(イタリアと共通。1999年1月よりユーロEuro)

ローマ市のテベレ川右岸にあるローマ教皇元首とする世界最小の国家。1929年2月のラテラノ協定に基づき,カトリック教会首長たるローマ教皇が国際法上の主権と領土的基盤をもつことを認められて成立した。教皇が他の国家の制約をうけることなく,自由に宗教上の権限を行使するのを保障する目的で組織された国家で,通常の国家とは機構も性格も違っている。市国の制度と運営は29年6月制定のバチカン市国基本法,法源に関する法,市民権と居住に関する法,行政組織法,経済・通商・職業組織法,治安法などによって定められている。これらに従って行政機関,裁判所,警察が設置され,また国旗,通貨,郵便切手,放送局,鉄道を有しているが,もともと市国の諸法の多くはカノン法に根拠をおいて制定されており,組織的に教皇庁と不可分の関係にある。市国の行政は教皇庁国務省の管轄下にあり,また外交に関しては教皇庁外務評議会がその担当機関で,国連ではバチカン市国の名の代りに聖座The Holy Seeの名称が使われている。市国内にはサン・ピエトロ大聖堂バチカン宮殿,バチカン市国政庁,庭園などがあり,イタリア警察の管轄のもとに一般に開放されているサン・ピエトロ大聖堂を除くと,国境は市壁によって囲まれ,華麗な服装のスイス衛兵が警備に当たっている。バチカン宮殿は歴代教皇によって増築を重ねられた建物で,そのうち壁画に彩られたシスティナ礼拝堂,教皇館の〈ラファエロの間〉〈ボルジアの間〉などはバチカン美術館の一部をなしている。また美術館に隣接したバチカン図書館は膨大な図書のほか,写本,地図,版画を多数蔵して,研究者の閲覧に供している。市国はこのほか,領土外にサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂ラテラノ宮殿サンタ・マリア・マッジョーレ教会サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ教会カステル・ガンドルフォの教皇別荘と庭園などを所有しており,治外法権が認められている。
教皇庁 →ラテラノ協定
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世界遺産詳解 「バチカン市国」の解説

バチカンしこく【バチカン市国】

1984年に登録された世界遺産(文化遺産)で、イタリアのローマ、テヴェレ川の西にある世界最小の独立国で、全世界に10億人近い信者を持つカトリック総本山。324年にローマ皇帝コンスタンティヌスが、殉教したイエス・キリストの第一の弟子聖ペテロの埋葬地に最初の聖堂を建設して以来、ここはローマ教皇が住む教皇庁となった。16~17世紀にミケランジェロなどの設計により再建されたサン・ピエトロ大聖堂、バチカン宮殿など、芸術性に優れた建造物や美術品を有する文化的価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はVatican City

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

世界遺産情報 「バチカン市国」の解説

バチカン市国

バチカン市国は、イタリアのローマ市の中に位置する国です。国際的な承認を受けている独立国家としては面積・人口ともに世界最小で、都市国家であるため首都はありません。ローマ教皇の居住地であり、教皇を元首としてローマ教皇庁が治めています。聖ペテロの墓の上に造られたカトリックの聖都で、住民のほとんどが聖職者。サンピエトロ大聖堂は8億人の信者がいるとも言われるカトリックの総本山であり、世界各国から巡礼者が訪れます。

出典 KNT近畿日本ツーリスト(株)世界遺産情報について 情報

世界大百科事典(旧版)内のバチカン市国の言及

【ラテラノ協定】より

…協定は〈聖座・イタリア間条約〉と〈政教協約(コンコルダート)〉からなり,前者には〈財務協定〉を含む4付属文書が添付された。本条約においてイタリア王国はカトリックを唯一の国教と認めたうえでローマ教皇庁の国際法上の主権およびそのもとでのバチカン市国独立を承認した。他方,教皇庁もイタリア王国を承認するとともにローマ問題の最終的解決を宣言した。…

※「バチカン市国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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