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ホルモン剤 ホルモンザイ

5件 の用語解説(ホルモン剤の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

ホルモン‐ざい【ホルモン剤】

ホルモンを医薬用の製剤にしたもの。化学合成もされる。分泌機能に障害のある場合に用いられる。抗炎症・免疫抑制作用をもつものもある。

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百科事典マイペディアの解説

ホルモン剤【ホルモンざい】

各種ホルモンホルモン療法に用いるために製剤したもの。合成,動物臓器からの抽出などにより製造。脳下垂体ホルモン剤,唾液(だえき)腺ホルモン剤甲状腺ホルモンおよび副甲状腺ホルモン剤,タンパク同化ステロイド剤副腎ホルモン剤,男性ホルモン剤,卵胞および黄体ホルモン剤,男性ホルモンと卵胞または黄体ホルモンとの混合剤,膵(すい)臓ホルモン剤などに分類される。
→関連項目ホルモン補充療法

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世界大百科事典 第2版の解説

ホルモンざい【ホルモン剤 hormone】

各種のホルモンを製剤化し,ホルモン本来の生理作用あるいは薬理作用を利用して,治療または診断の目的に供するものをいう。現在までに実用化されているのは,視床下部脳下垂体の前・後葉,甲状腺,膵臓ランゲルハンス島副腎皮質および髄質,性腺,消化管などに由来するホルモンであるが,供給量が十分でないものもある。一般に,これらのホルモンは,食用獣の内分泌器官を原料にして精製されるが,これらに依存しないものや他種のものでは無効なものもある。

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大辞林 第三版の解説

ホルモンざい【ホルモン剤】

内分泌腺抽出物、単離したホルモンおよびそれに作用の類似した合成物質の総称。ホルモン欠乏症や他の各種疾患の治療に用いられる。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ホルモン剤
ほるもんざい

生体の内分泌器官より分泌され、全身の物質代謝を調節する化学物質をホルモンといい、これを医薬用としたものがホルモン剤である。ホルモン剤としては、生体から分泌されるものばかりでなく、合成した化学物質でホルモン様作用をもつものが開発され、実際には天然品および合成品が使用されている。また、ホルモンの欠乏または過剰によっておこる分泌機能障害に対し、欠乏による場合にホルモン剤が投与され、過剰による場合に対しては抗ホルモン剤が投与される。なお、ホルモン剤は本来のホルモン作用のほか、一般の薬物と同様に、それ自身の薬理作用をもつものがあり、その薬理作用を利用する例も多くなった。たとえば、副腎(ふくじん)皮質ホルモンであるコルチゾンは、むしろ抗炎症剤として用いられている。
 ホルモン剤の分類には(1)内分泌する組織や器官による分類、(2)化学的分類、(3)生理作用による分類があり、化学的分類としてはタンパク質系ホルモン、ステロイド系ホルモン、その他がある。タンパク質系には甲状腺(せん)ホルモン、唾液(だえき)腺ホルモン、下垂体ホルモン、膵臓(すいぞう)ホルモンなどが含まれ、ステロイド系には性ホルモン、タンパク同化ホルモン、副腎皮質ホルモンなどがある。
 結晶形として得られたホルモンは副腎髄質からのアドレナリンが最初であるが、アドレナリンはホルモン剤としてよりも、むしろ自律神経系に作用する薬物として知られる。ホルモン剤は、初期には動物の臓器をはじめ、尿や血液から抽出したものがほとんどであったが、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどステロイド系ホルモンの合成が盛んとなり、一方ではまったく化学構造の異なるものでホルモン作用のあるものが発見され、合成技術の向上とともにポリペプチド系のホルモンも合成されるようになった。以下、おもなホルモンについて医薬用に使われているものを簡単に述べる。[幸保文治]

下垂体ホルモン

下垂体前葉ホルモンには副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、乳腺刺激ホルモン(プロラクチン)の6種が知られ、このうちでTSH、GH、FSHおよびLHが医薬品として使用されている。ACTHは、注射用コルチコトロピンとして用いられたが、酢酸テトラコサクチドおよび酢酸テトラコサクチド亜鉛注射液の開発により、現在ではまったく用いられていない。TSHは注射用の製剤が下垂体および甲状腺の機能診断に用いられており、FSHおよびLHでは血清性、胎盤性、下垂体性の3種の性腺刺激ホルモンが製剤化されている。GHは下垂体性低身長症の特効薬で、ヒトの脳から抽出されており、遺伝子工学により製造したものもある。
 下垂体後葉ホルモンにはオキシトシンとバソプレッシンがあり、オキシトシンは分娩(ぶんべん)誘発、微弱陣痛、弛緩(しかん)出血に、バソプレッシンは尿崩症の治療にそれぞれ用いられる。なお、酢酸デスモプレシンは点鼻剤として中枢性尿崩症の治療に有効である。[幸保文治]

唾液腺ホルモン

胃下垂、変形性関節炎、進行性筋萎縮症(しんこうせいきんいしゅくしょう)などに用いられ、一般に「パロチン」の名で知られる。[幸保文治]

甲状腺ホルモン

乾燥甲状腺(末・錠)、リオチオニンナトリウム(錠)、レボチロキシンナトリウム(錠)があり、甲状腺機能低下症、下垂体性粘液水腫(すいしゅ)、単純性甲状腺腫などに用いられる。[幸保文治]

上皮小体ホルモン

ウシの上皮小体(副甲状腺)から抽出したアミノ酸84個からなるタンパク質製剤が上皮小体の機能低下または欠損に用いられたが、副作用のため発売が中止された。また、副甲状腺機能低下症の鑑別診断に用いられる合成ペプチド製剤(酢酸テリパラチド)が市販されている。[幸保文治]

タンパク同化ホルモン

男性ホルモンにタンパク同化作用のあることがわかり、同作用の強いステロイドが次々と合成された。メテノロン、メタンドロステノロン、ナンドロロン、オキサボロン、ポランジオール、エチルナンドロール、メスタノロン、スタノゾロール、フラザボール、オキシメトロンなどがある。[幸保文治]

副腎ホルモン

副腎髄質ホルモンと副腎皮質ホルモンがある。副腎髄質ホルモンのアドレナリンは局方名エピネフリンで、交感神経興奮剤として用いられる。副腎皮質ホルモンには鉱質コルチコイドと糖質コルチコイドがあり、鉱質コルチコイドにはアルドステロンが、糖質コルチコイドにはコルチゾンおよびコルチゾールがある。このうち、医薬品として驚異的発展を遂げたのはコルチゾン系である。生体内ではコルチゾン、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)のみを産生するが、その作用のうち、抗炎症作用を目標として効力の大きいステロイドが次々と合成された。プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、パラメタゾン、ベタメタゾンがあり、さらに外用剤としてのみ使用される副腎皮質ホルモン剤が多く開発された。ジフルコルトン、フルオロメトロン、ベクロメタゾン、フルオシノロンなどがある。[幸保文治]

性ホルモン

男性ホルモンと女性ホルモンに分けられる。男性ホルモン剤としてはテストステロン、メチルテストステロンが男性性器機能不全に用いられるほか、タンパク同化作用の強いものはタンパク同化ホルモンとして使用される。プロピオン酸ドロモスタノロンは乳腺症の治療に用いられる。抗エストロゲン作用の強いエピチオスタノールやメピチオスタンは乳癌(にゅうがん)に用いられる。
 女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンがある。卵胞ホルモンにはエストラジオール、メストラノール、エストリオールがある。また、ステロイド核をもたない合成卵胞ホルモンにはジエチルスチルベストロールとヘキセストロールがあり、ともに前立腺癌の治療に応用されている。黄体ホルモンはプロゲステロンが本体であり、製剤化されているが、やはり黄体ホルモン作用の強いジメチステロン、ノルエチステロン、アリルエストレノールなどが合成され、製剤化された。
 なお、これら性ホルモン剤は混合ホルモン剤として、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを配合したもの、男性ホルモンと卵胞ホルモンの混合製剤がある。[幸保文治]

その他のホルモン

プレグナンジオールは尋常性(ざそう)に用いられ、シプロテロンは思春期早発症に、ダナゾールは子宮内膜症治療剤として用いられる。また、メシル酸プロモクリプチンは末端肥大症や下垂体性巨人症の治療に用いられ、カルシトニンやエルカトニンは高カルシウム血症や骨ベーチェット病に用いられる。
 なお、膵臓ホルモンにはランゲルハンス島のA細胞から分泌されるグルカゴンとB細胞から分泌されるインスリンがある。インスリンは糖尿病の治療になくてはならない薬剤である。[幸保文治]

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