ラマ教(読み)ラマきょう

百科事典マイペディアの解説

ラマ教【ラマきょう】

チベットに発達した仏教の一派。チベット仏教の俗称。ラマとはチベット語で〈上人〉〈師〉を意味し,各自の宗教上の師をさす。仏・法・僧の三宝のほかにラマをも尊崇するのでラマ教という。チベットへの仏教の伝来はソンツェン・ガンポ王(6世紀ころ)の時代とされ,仏教と古来チベットにあった民間信仰のボン教とが融合したものがラマ教である。さらに8世紀には,インドからシャーンタラクシタが戒律を,パドマサンババが密教系仏教を伝えてきた。また中国からは大乗和尚が大乗仏教を伝え,インド僧カマラシーラとの間で論争が行われた。この論争に敗北した中国仏教は,以後チベットから公に追放された。9世紀中ごろランダルマ王は排仏政策をとり,王が暗殺された後のチベットは分裂状態になったので,仏教も次第に堕落した。しかし11世紀にはインドからアティーシャが訪れ,仏教を改革してカダム派サキャ派を興した。13世紀サキャ派の高僧パスパは元朝王室の帝師となり,以後ラマ教は元・明の政治権力と結び再び堕落した。しかし14世紀末にツォンカパが出て,宗教改革を行い,厳格な戒律実践を主張した。彼は弟子に黄帽(こうぼう)を着用させたので,この派を黄帽派と呼び,旧来の紅帽(こうぼう)派と区別する。またこのツォンカパの後継者はダライ・ラマとして尊敬され,チベットの政治支配権も握り,ダライ法王国の基礎をつくった。
→関連項目アルタン・ハーンウランバートル活仏紅帽派黄帽派チベットチベット[人]チベット問題トゥバハルハパンチェン・ラマ飛来峰仏教ボン教密教モンゴルモンゴル[人]

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世界大百科事典 第2版の解説

ラマきょう【ラマ教 Lamaism】

チベット仏教に対する俗称。インド仏教の正統を継承するものであるが,この俗称のために異端もしくは変容のはなはだしい仏教であるかのように誤解されている。ラマbla maは〈師〉を意味する。〈ラ〉は〈生命の根元〉をいう名称。〈マ〉はそれを託された人の意味。密教ではとくに師と弟子の密接な関係を重視するところから,チベット仏教の特徴と誤解され,また,中国でチベット仏教の僧を〈剌麻(喇嘛)〉と呼び慣わしたところから,日本でもこの呼称が一般化した。

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大辞林 第三版の解説

ラマきょう【ラマ教】

〔ダライラマ・パンチェンラマを活仏かつぶつとして尊崇するところから〕
チベット仏教の俗称。 → チベット仏教

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世界大百科事典内のラマ教の言及

【タマン】より

…村の従来のリーダーは世襲または選出のムルミmulmiまたはムキヤmukhiyaであるが,今日では選挙による行政村の長プラダン・パンチャpradhan pancaの力も増している。宗教面ではラマ教が主体であるが,シャマニズムなども見られ,ヒンドゥー的要素も入っている。【石井 溥】。…

【ブータン】より

… 一方,西部はモ,ウォンなどガンガダール水系の上流域からなるが,北西国境のすぐ外側をインドとチベットを結ぶ重要交通路が走っていることもあって,北から南下したチベット系住民を主とする。彼らはラマ教の紅帽派に属し,ブータン人口の約60%を占める。ブータン人とは一般に彼らを指し,男は丸坊主頭でひざまでの短い丹前に似た筒袖の着物に帯をしめ,また女はおかっぱ頭で裾の長い着物の上にブラウスをはおっている。…

【密教】より

… チベットには,7世紀にネパール,中国を経由して仏教が伝えられた。8世紀に至って,パドマサンババが密教を移入し,民族宗教であるボン教と習合してラマ教が形成された。9世紀の中ごろ,仏教は迫害を受け一時勢力を失ったが,11世紀ころから復興し,ラマ教が大いに発展した。…

【モンゴリア】より

…都城の建築は早くからあったらしいが,ウイグル時代より大きな都城建設がみられ,例えばウイグルのオルド・バリク,遼の上京臨潢府(じようけいりんこうふ),モンゴルのカラコルム等は大規模なものとして知られる。また16世紀以降モンゴリアにラマ教(チベット仏教)が浸透したことから,各地に多くの寺院が建設され,のちにはこれを中心に都市が発達する例も多くみられた。 モンゴリアの遊牧民の宗教は古くはシャマニズムであった。…

※「ラマ教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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