一渡り(読み)ヒトワタリ

デジタル大辞泉 「一渡り」の意味・読み・例文・類語

ひと‐わたり【一渡り/一渉り】

一度全体にわたって、簡単に行うこと。副詞的にも用いる。ひととおり。「―は説明した」「会場を―見渡す」
一度。一遍
「なほ―はつらしと思はれ」〈東屋
音楽などを1回終わりまで奏すること。
「かたき調子どもを、ただ―に習ひ取り給ふ」〈紅葉賀
[類語]一遍一通り丸ごとそっくりそのまま全部徹頭徹尾残らず残り無く余すところなくことごとく通じて総じてつぶさにこぞって丸丸身ぐるみ全一ぜんいつ全的全面的軒並みごそっとごっそりすっかり一つ一つおよ有りと有る有りとあらゆる全容全貌おんぶにだっこオールラウンドすることなすこと何から何まで一部始終全体裏表網羅丸きり丸っきりあるがまま一揃ひとそろ一式十把ひとからげひとまとめありったけ総なめ細大漏らさず洗いざらい何もかも何でもかんでも根こそぎ漏れなく隈なく万事一から十まで一切いっさい一切合切いっさいがっさい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一渡り」の意味・読み・例文・類語

ひと‐わたり【一渡・一渉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はじめから終わりまで一度通すこと。一度。一回。また、楽曲などを終わりまで一回奏すること。
    1. [初出の実例]「舞ひとわたりならさせて」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「ひと渡り、求人一覧表を見渡すと」(出典:半チョッパリ(1971)〈李恢成〉二)
  3. 一段。ひときわ。
    1. [初出の実例]「我は琵琶を取り寄せて、衣がへをひとわたりおとして、萩が花摺りと謡ひつつ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)二)
  4. ひと通りの標準的なこと。いちおうのこと。
    1. [初出の実例]「底依の国であらうとの考は、一と通(ワタ)り聞こえたるが如くなれども」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)

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