デジタル大辞泉 「一切」の意味・読み・例文・類語 いっ‐さい【一切】 [名]全部。すべて。ことごとく。「会の一切をとり仕切る」「一切を忘れてやり直す」[副](あとに打消しの語を伴って)全然。まったく。いっせつ。「謝礼は一切受け取らない」「今後一切干渉しない」[類語]残らず・全部・全体・全般・総体・万般・万端・万事・全数・総数・総量・全額・満額・総額・総高・一切合切・万・有りたけ・全て・洗いざらい・くまなく・根こそぎ・虱潰し・皆・何もかも・ことごとく・なべて・悉皆しっかい・余すところなく・漏れなく・逐一ちくいち・すっかり・そっくり・一から十まで・あまねく・満遍ない・丸ごと・ごっそり・すっぽり・いちいち・細大漏らさず・何でもかんでも・根掘り葉掘り・そっくりそのまま・徹頭徹尾・残り無く・通じて・総じて・つぶさに・こぞって・丸丸・身ぐるみ・全一ぜんいつ・全的・全面的・軒並み・一通り・一渡り・ごそっと・一つ一つ・凡およそ・有りと有る・有りとあらゆる・全容・全貌・おんぶにだっこ・オールラウンド・することなすこと・何から何まで・一部始終・裏表・網羅・丸きり・丸っきり・あるがまま・一揃ひとそろい・一式・十把ひとからげ・ひとまとめ・ありったけ・総なめ/一向・全然・全く・さっぱり・まるきり・まるで・少しも・からきし・ちっとも・皆目・まるっきり・何ら・とんと・いささかも・毫も・微塵も・毛頭・露・更更・何も・何なんにも・何一つ・一つとして・到底・とても・全くもって・どだい・てんで・寸分・一寸・寸毫・毫末・夢にも いっ‐せつ【一切】 [副]「いっさい(一切)」に同じ。「―存ジマセン」〈和英語林集成〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「一切」の意味・読み・例文・類語 ひと‐きり【一切】 〘 名詞 〙① 一度切ること。一回で切ること。[初出の実例]「天然と其ままなる処一きりにきってのくべし」(出典:清原国賢書写本荘子抄(1530)八)② 一つの区切り。一段落。[初出の実例]「破にていろいろをつくして、急は、いかにもただひときりなるべし」(出典:花鏡(1424)序破急之事)③ 芝居、見世物などの一幕あるいは一節。[初出の実例]「近所の手代は芝居の一切り、あるひは枕箱でたばこ飲で」(出典:談義本・化物判取牒(1755)四)④ 一区切りの時間。ひとしきり。ひとっきり。[初出の実例]「一時(ヒトキリ)お島の琴の調があって」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)⑤ ひときりあそび(一切遊)。[初出の実例]「爰の遊びもヱヱが、二切りはつひへ、一切りはみじかし」(出典:咄本・出頬題(1773)呼出し)⑥ 過去の、ある一区切りの時期。一時期。ひところ。ひときれ。[初出の実例]「二宮当貞様と云ふ漢家の医師が御坐いまして、一時(ヒトキリ)行はれましたる先生で御坐います」(出典:落語・昔の詐偽(1897)〈三代目春風亭柳枝〉) いっ‐さい【一切】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 物事のすべてをさしていう。全部。残らず。すべて。いっせつ。[初出の実例]「一切衆生煩悩身、求レ哀懺悔仰二能仁一」(出典:菅家文草(900頃)四・懺悔会作)「すべて一切の有情を見て、慈悲の心なからんは」(出典:徒然草(1331頃)一二八)[その他の文献]〔法華経‐化城喩品〕[ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 下に打消の語を伴う。「に」を添えることもあった ) 全く。一つも。いっせつ。[初出の実例]「一切に承引もつかまつらねども」(出典:史記抄(1477)一七)「此男の手に入る事を一切(イッサイ)よろこばず」(出典:浮世草子・好色万金丹(1694)三)一切の補助注記もと仏典の訓読から生じた語。「一切経」「一切衆生」などの「一切」であって、打消の表現を伴わない[ 一 ]の方が本来的な言い方。 いっ‐せつ【一切】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 =いっさい(一切)[ 一 ][初出の実例]「片ときわするるひまもなく、いっせつからだもやる気になったわいな」(出典:歌謡・改正哇袖鏡(1859)富士や浅間の)[ 2 ] 〘 副詞 〙 =いっさい(一切)[ 二 ][初出の実例]「されば此御所を退て他所へ出させましまさんこと一切(イッセツ)有べからず」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)「『ときにこんばんはおひとりかへ』『此ごろは連(つれ)は一切(セツ)ないのさ』」(出典:洒落本・傾城買四十八手(1790)見ぬかれた手)一切の補助注記「切」は「きる」の意に用いるとき「セツ」と発音される。「一切」の「切」は「すべて」の意であるから「サイ」と発音すべきであり、「イッセツ」と発音するのは本来は誤り。 ひと‐きれ【一切】 〘 名詞 〙① 一つの切れはし。一片。[初出の実例]「織り延べを一きれもえぬ我れ等さへ」(出典:平家物語(13C前)四)② 一回だけの男女の情交。かりそめの情事。[初出の実例]「此君おりおりの薬喰(くすりくひ)に薄(うすう)して一きれづつ壱ケ月に七夜づつあふ物ならば」(出典:浮世草子・色里三所世帯(1688)下)③ =ひときり(一切)⑥[初出の実例]「ひときれは都を捨てて出づれども巡りてはなほきその懸橋」(出典:山家集(12C後)下) ひとっ‐きり【一切】 〘 名詞 〙 =ひとしきり(一頻)[初出の実例]「大病で、〈略〉一時(ヒトッキリ)は六ケ(むづか)しかったから」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉一〇) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by