凡そ(読み)オヨソ

デジタル大辞泉 「凡そ」の意味・読み・例文・類語

およそ【凡そ】

《「おおよそ」の音変化》
[名・形動]
物事のだいたいのところ。大要あらまし。「計画凡そは承知している」「凡その見積もりを立てる」
いいかげんなさま。ぞんざいなさま。
「かやうに大事の謡ひを―にしてはかなふまじい」〈虎明狂・二千石
[副]
大まかに言って。だいたい。約。「凡そ二キロ離れている」「被害凡そどのくらいか」
そもそも。総じて。一般に。話を切りだすときに用いる。「凡そ日本人は働きすぎるきらいがある」
(否定的な表現を伴って用いる)全く。全然。「これは凡そおもしろくない本だ」
[類語](1おおよそあらまし概略大略大約大要大体一通り一応一般全般に総じて概して多くおしなべておおむね大概普通通例通常一体に総体・広く・あまね広い幅広い手広い広範広範囲多方面多角多面多岐さまざま各種種種諸種いろいろ多様多様化多面的多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどりもろもろ百般万般諸般多元多元的多角的横断的複眼的全面的挙げてこぞって大方大抵粗粗あらあら粗らかざっとあらかた大ざっぱおおまか粗い粗っぽい粗削り粗放粗略粗雑粗笨そほん雑駁ざっぱく大つかみ丼勘定ラフほとんど大部分大半大多数絶対多数九分通り十中八九九分九厘多数数多無数あまた通じてほぼ雑多よろず各人各様十人十色千差万別マルチ事事物物種種雑多各様種種くさぐさ玉石混淆こんこう凡百ぼんぴゃく百態百事百千万端各般数次幾度等等諸相諸物山ほどざらあれこれ何やかや何だかんだ何のかの何くれ何くれとなくあれやこれやごちゃごちゃ枚挙にいとまがない十指に余るあの手この手エトセトラ/(1ほぼざっと大体大約大略無慮むりょかれこれ程度くらいばかりほどかた内外見当プラスマイナス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「凡そ」の意味・読み・例文・類語

およそ【凡・大約】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「おおよそ」の変化した語 ) 判断の内容や物事の量の、正確ではないがそれに近いところ。おおまかなところ。あらかた。ほとんど全部。
    1. [初出の実例]「凡(ヲヨソ)(高良本ルビ)は九国の惣追捕使にもなされ」(出典平家物語(13C前)一一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 数量の、正確ではないがそれに近いところ。ほぼ。だいたい。あらまし。
      1. [初出の実例]「勧進の桟敷数、をよそ六十二三間也」(出典:申楽談儀(1430)勧進の舞台翁の事)
    2. 精密さを捨てて、話を一般論にするときにいうことば。総じて。いったい。そもそも。
      1. [初出の実例]「およそこの地獄のくげん、絵にかきたとへをとるにも、百千万のなかに一ぶんにもおよぶべからず」(出典:九冊本宝物集(1179頃)二)
    3. 打消の語または否定的な内容をもつ語を伴って、全面的な否定感情を示すのに用いる。まったく。まずもって。
      1. [初出の実例]「さうだけれど。およそ傍で見て居てきの毒なのは瀛(えい)公だぜ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
      2. 「そのおよそ何でもない対話にすっかり感心して」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の花見)
  3. [ 3 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
    1. 物事を正確に、慎重に扱わないさま。いいかげんだ。おろそかだ。ぞんざい。
      1. [初出の実例]「人の名をば不言して官名ばかり挙たはをよそなぞ」(出典:史記抄(1477)四)
    2. 知能が不完全であるさま。あほう。
      1. [初出の実例]「殿様はおよそな程に〈略〉と仰せられた。およそなと申すは阿呆のから名でござります」(出典:歌舞伎・一心二河白道(1698)一)

凡その語誌

( 1 )「おおよそ」は中古から認められるが、「およそ」が見られるのは中世後期からである。近世期の軽口本・小咄本では「およそ」のみであり、口語では既に「およそ」が一般化していたと思われる。
( 2 )[ 一 ]用法は、近世期には少なく、[ 二 ]の用法が多くなる。また、[ 三 ]の用法は、「おおよそ[ 一 ]」から転じたものか。


おお‐よそおほ‥【凡・大凡】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 大きく一つにまとめられた全体。個々の小異を問題にせず、一まとめに把握するさま。すべて。副詞的にも用いる。
      1. [初出の実例]「此の大地に凡(オホヨソ)有らるる所須の百千の事業」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八)
    2. ( 形動 ) 細部にこだわらずおおまかなところを把握すること。また、そのさま。あらまし。ほぼ。大体。副詞的にも用いる。
      1. [初出の実例]「おほよそ、むくさにわかれん事は、えあるまじき事になん」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
      2. 「母は宿の主人に身の上のおほよそを、微かな燈火の下で話した」(出典:山椒大夫(1915)〈森鴎外〉)
    3. ( 形動 ) 物事の程度や質が、なみひととおりであること。また、そのさま。普通。
      1. [初出の実例]「ひととせはいたくおほよそにこそ面白しと見え給しか」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 大局からの判断、主張であることを示す。総じて。一般に。だいたい。
      1. [初出の実例]「おほよそ子うみ給へりともなくて、とかくうちして世を経たまはんに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      2. 「凡(おほよソ)此の章家が心ばへは、人とも不思(おぼ)えぬ事共なむ多かりける」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
    2. どう見ても間違いない判断・性質であることを示す。否定表現、否定的な語句を導くことが多い。まったく。どう見ても。
      1. [初出の実例]「汝法を聞むが為に来れり。〈略〉凡(おほよソ)此の功徳无量(はかりな)し」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)

凡その語誌

→「およそ(凡)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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