普及版 字通 「侯(漢字)」の読み・字形・画数・意味
侯
常用漢字 9画
(異体字)
9画
[字訓] まと・うかがう
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
人+厂(かん)+矢。初形はに作り、屋下に矢を放って祓うこと、すなわち侯禳の儀礼を示す字である。〔説文〕五下に「は春に射るの(まと)なり。人に從ひ、厂に從ふ。布を張りて、矢の其の下に在るに象る」とし、天子以下の射儀に及んでいる。卜辞にすでに「」の名がみえ、周初の〔大盂鼎(だいうてい)〕に殷の滅亡の因を論じて、「我聞くに、殷の(厥(そ)の)命を(おと)したるは、隹(こ)れ殷の邊甸と、殷の正百辟(氏族首長)と、ゐて酒に肄(なら)ひたればなり。故に師を喪(うしな)ひたるなり」とみえ、「邊甸」とは外服の諸侯をいう。侯とは、外服にあって、王朝のために外敵を侯禳することを職とするものであろう。のち公侯伯子男五等の爵制が行われ、その爵号となった。
[訓義]
1. まと、射のまと。
2. 矢を放ってはらう、邪気をはらう。
3. うかがう、邪気をうかがう、敵の動静をうかがう。
4. 外服にあって、外敵の様子をうかがい、はらう。
5. 外服にある諸侯、きみ。
6. 五等の爵の一。
7. 助詞、すなわち、ことに、これ。また、兮(けい)に通じ、終助詞。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕侯 キミ・コレ・シタガフ・イル 〔字鏡集〕侯 コトハ・キミ・ヨシ・ナンゾ・シタガフ・スナハチ・イル・コレ
[声系]
侯の初文は。のちに作る。〔説文〕に侯声として喉・・候など九字を収める。候は候望、侯と関連する行為を示し、候望して侯禳を行うのである。喉・は、みこむときの擬声語とみられる。
[熟語]
侯意▶・侯衛▶・侯王▶・侯亀▶・侯▶・侯国▶・侯氏▶・侯社▶・侯爵▶・侯禳▶・侯▶・侯甸▶・侯頭▶・侯道▶・侯波▶・侯伯▶・侯服▶・侯牧▶・侯門▶
[下接語]
王侯・干侯・坎侯・侯・君侯・群侯・建侯・懸侯・元侯・五侯・公侯・射侯・諸侯・大侯・張侯・徹侯・甸侯・藩侯・布侯・方侯・封侯・陽侯・列侯
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報