(読み)こごう

精選版 日本国語大辞典 「凍」の意味・読み・例文・類語

こご・う こごふ【凍】

〘自ハ上二〙 寒気のため、体が凍って感覚を失う。こごえる。
書紀(720)天武八年二月(北野本訓)「大恩(みめくみ)を降(た)れて貧乏(まつしきもの)を恤(めく)むて、以て其(そ)の飢(う)ゑ寒(ココイ)たるものに給(ものたま)ふ」

こご・える【凍】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 こご・ゆ 〘自ヤ下二〙 寒さのためにからだの感覚を失い、自由がきかなくなる。寒さのため感じがなくなる。こゆ。→こごう。《季・冬》
※延慶本平家(1309‐10)一末「飢てや死給はむずらん、ここへてや失給はむずらん」
※虎寛本狂言・船渡聟(室町末‐近世初)「殊之外寒うて、手が凍(ココ)へて櫓が押されぬ」

し・む【凍】

[1] 〘自マ四〙 こおる。寒さのために、かたくこおりつく。《季・冬》
炎昼(1938)〈山口誓子〉「凍(シ)むあさの臥処(フシド)を起きて露天なり」
[2] 〘自マ上二〙 ⇒しみる(凍)

こい【凍】

〘名〙 (動詞「こゆ(凍)」の連用形名詞化) こごえること。こごえ。
※書紀(720)宣化元年五月(北野本訓)「白玉、千箱(はこありとも)何能(よく)(コイ)を救(すくはむ)

し・みる【凍】

〘自マ上一〙 し・む 〘自マ上二〙 こおる。また、こおるように冷たく感じる。《季・冬》
源氏(1001‐14頃)若菜上「朝夕、涼みもなきころなれど、身もしむる心ちして」
※俳諧・曠野(1689)八「月代しみるほど也梅の露〈雨桐〉」

こ・ゆ【凍】

〘自ヤ上二〙 こごえる。
※書紀(720)仁徳七年四月(前田本訓)「是を以て古の聖の王(きみ)は一りの人、飢ゑ寒(コユル)ときには顧みて身を責む」

しみ【凍】

〘名〙 (動詞「しむ(凍)」の連用形の名詞化) こおること。こおり。
古今(905‐914)恋三・六六三「ささの葉におく初霜の夜をさむみしみはつくとも色に出めや〈凡河内躬恒〉」

こごや・す【凍】

〘他サ四〙 (「こごえる(凍)」の他動詞) こごえさせる。
※浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)厄払ひ「殺し様も有べきに、雪にこごやし殺さんとは」

こぎ・える【凍】

〘自ヤ下一〙 「こごえる(凍)」の変化した語。
撰集抄(1250頃)二「法勝寺のほとりに、ことにこきえてかはゆげなる乞食に、き物をぬぎくれて」

こご・ゆ【凍】

〘自ヤ下二〙 ⇒こごえる(凍)

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デジタル大辞泉 「凍」の意味・読み・例文・類語

とう【凍】[漢字項目]

常用漢字] [音]トウ(漢) [訓]こおる こごえる いてる しみる
こおる。「凍結凍原凍土解凍冷凍
寒さでからだがきかなくなる。こごえる。「凍死凍傷

とう【凍】[書名]

沢木耕太郎によるノンフィクション。平成17年(2005)「新潮」誌に掲載、同年刊行。登山家の山野井泰史・妙子夫妻による、ヒマラヤのギャチュンカン北壁への挑戦と生還を描く。平成18年(2006)、第28回講談社ノンフィクション賞受賞。雑誌掲載時の題名は「百の谷、雪の嶺」。

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デジタル大辞泉プラス 「凍」の解説

凍(とう)

沢木耕太郎の著作。登山家の山野井泰史・妙子夫妻によるギャチュンカン北壁登攀を描くドキュメント。2005年刊。2006年、第28回講談社ノンフィクション賞を受賞。

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