一般には手をかけ加工してつくりあげることをいうが、園芸用語では、主として植木や果樹、盆栽を育てて形づくることをさし、幹や枝、葉などがある程度成長した樹木を、目的とする姿(形)につくりあげる作業過程を仕立てとよぶ。広義には手入れ作業も含まれる。なお、苗や完成された庭木の場合は、苗つくり(育苗)、剪定(せんてい)、刈り込み、摘心などに区別し、手入れ作業か管理作業に組み入れることが多い。
植木の仕立ては、樹種や配置する場所によって多少異なるが、いずれにしろ樹種の性質や特徴を利用した形づくりが必要である。仕立て方としては、まず、樹種の特徴を生かした樹冠(姿)を描き、幹の美しさを表現するために直立させるか模様をつける(曲幹にする)かを決める。続いて、枝の配置(枝配り)を考え、幹とともに全体の形づくりをする。次に葉の形や大きさによって刈り込みの形を決める。粗木から仕立てる場合は、生育の良否をみて、また、幹や枝の扱いのむずかしいものは1、2年肥培管理して、充実した幹や枝、葉にしてから手を入れる。
仕立て上の留意点としては次のようなことがあげられる。
(1)樹形の維持 若木では生育が旺盛(おうせい)なため徒長枝や交差枝などが出やすいので、つねに軽く剪定、刈り込みして整姿する。仕立て途中で放任すると懐枝(ふところえだ)が枯れて全体の形が崩れる。
(2)枝葉の若返り 植木全般に共通することとして、樹冠上部は著しく繁茂するが、下部は成長が悪いので、年に一、二度は茂りすぎた上部の枝葉を切り込むか間引いて調節する。
(3)病虫害の防除 仕立て途中で幹や枝、葉が病虫害に侵されると樹勢が衰えて観賞価値を失うので、定期的に殺菌剤や殺虫剤を散布して樹勢の維持を図る。
[堀 保男]
…和服の裁ち縫い。〈お針〉〈仕立て〉〈裁縫〉ともいう。今日のような繊細な縫い方が行われるようになったのは,小袖が定着した江戸初期ころという。…
※「仕立て」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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