仕立て(読み)シタテ

デジタル大辞泉 「仕立て」の意味・読み・例文・類語

し‐たて【仕立て】

作り上げること。特に、衣類を縫って作ること。また、そのできばえ。「仕立てのよい背広」「正絹仕立て
目的に合わせて作り上げること。また、それらしく作り上げること。「ミュージカル仕立ての劇」「和風仕立てスープ
教え込むこと。仕込むこと。「仕立ての厳しい師匠」
準備して調えること。特に、ある目的・用途のために乗り物などを用意すること。「特別仕立て列車
装うこと。また、そのいでたち。
「一人はかわ色金巾かなきんの羽織に紫の兵子帯へこおびという坊様―」〈一葉たけくらべ
[類語](1裁縫縫い物針仕事繕い物手芸編み物刺繍

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精選版 日本国語大辞典 「仕立て」の意味・読み・例文・類語

し‐たて【仕立・為立】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 動詞「したてる(仕立)」の連用形の名詞化 ) ある目的や用途に応じられるように手段をめぐらすこと。また、そのようにしてできあがったもの。
    1. つくり上げること。育てること。また、できあがったもの。
      1. (イ) 工夫をこらして仕上げること。また、そのもの。
        1. [初出の実例]「自核調(さねそろへ)為立(シタテ)。随分認手砕心所結搆也」(出典異制庭訓往来(14C中))
        2. 「一句のしたて凡眼をおどろかし侍る」(出典:筆のすさび(1469))
      2. (ロ) 裁縫をして衣服をつくりあげること。また、その衣服やそのできばえ。
        1. [初出の実例]「洗濯物の仕立(シタテ)が間に合ずは他所行の着類を惜まずに着よう」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)二)
        2. 「秋子さんの御洋服は誠に仕立がよく出来ましたネ」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下)
      3. (ハ) 書籍をつくりあげること。製本、装幀などをして造本すること。
        1. [初出の実例]「建(たつ)とは仕立(シタテ)の切形よく、平(たいら)は表紙に凹(むら)もなく、画ばかり除はひやかしにて、破は御免の表帋附」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)序)
      4. (ニ) 人をしつけ育てること。教育。
        1. [初出の実例]「父が仕業も母の処作も姉の教育(シタテ)も」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉九)
    2. よい成果。また、やりがい。
      1. [初出の実例]「地盤の悪き者は、したてがなけれども、斉魯には地盤がよき程に、若明君有ては能なるべき也」(出典:応永本論語抄(1420)雍也第六)
    3. 飾りつけること。また、その飾りつけられたもの。〔御湯殿上日記‐文明一八年(1486)四月二八日〕
    4. よそおうこと。また、その扮装(ふんそう)。いでたち。身なり。また、顔や体のつくり。
      1. [初出の実例]「先、したて見苦しければ、更に見所なし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)二)
    5. ものをそろえ整えて、用途にかなうようにすること。準備。支度(したく)
      1. [初出の実例]「したてをして路銭なんどまでの費をして、蘇秦を使に遣るぞ」(出典:史記抄(1477)一一)
    6. 結末に到るまでの物事のなされよう。一部始終。〔尋憲記‐元亀二年(1571)一一月二八日〕
      1. [初出の実例]「結句両共以て成敗、哀れなる仕立、是非なき次第なり」(出典:信長公記(1598)一二)
    7. ( 「仕建」とも書く ) 馬、車、船、飛脚などを、特別に雇ったり、あつらえたりして用にあてること。また、そのように用意された馬、車など。近世廻船では「仕建」の表記も用いられた。
      1. [初出の実例]「見附までいくらで行(ゆく)といふから、何サ仕立の帰りでごぜへやすから、いくらでもおぼしめしとやっつけると」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
  3. [ 二 ] ( 「たて」は接尾語 ) 動作、作用などが終わって間もない状態を表わす。「掃除のしたて」など。動作性の名詞に複合することが多い。「結婚したて」「修理したて」「開店したて」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仕立て」の意味・わかりやすい解説

仕立て
したて

一般には手をかけ加工してつくりあげることをいうが、園芸用語では、主として植木や果樹、盆栽を育てて形づくることをさし、幹や枝、葉などがある程度成長した樹木を、目的とする姿(形)につくりあげる作業過程を仕立てとよぶ。広義には手入れ作業も含まれる。なお、苗や完成された庭木の場合は、苗つくり(育苗)、剪定(せんてい)、刈り込み、摘心などに区別し、手入れ作業か管理作業に組み入れることが多い。

 植木の仕立ては、樹種や配置する場所によって多少異なるが、いずれにしろ樹種の性質や特徴を利用した形づくりが必要である。仕立て方としては、まず、樹種の特徴を生かした樹冠(姿)を描き、幹の美しさを表現するために直立させるか模様をつける(曲幹にする)かを決める。続いて、枝の配置(枝配り)を考え、幹とともに全体の形づくりをする。次に葉の形や大きさによって刈り込みの形を決める。粗木から仕立てる場合は、生育の良否をみて、また、幹や枝の扱いのむずかしいものは1、2年肥培管理して、充実した幹や枝、葉にしてから手を入れる。

 仕立て上の留意点としては次のようなことがあげられる。

(1)樹形の維持 若木では生育が旺盛(おうせい)なため徒長枝や交差枝などが出やすいので、つねに軽く剪定、刈り込みして整姿する。仕立て途中で放任すると懐枝(ふところえだ)が枯れて全体の形が崩れる。

(2)枝葉の若返り 植木全般に共通することとして、樹冠上部は著しく繁茂するが、下部は成長が悪いので、年に一、二度は茂りすぎた上部の枝葉を切り込むか間引いて調節する。

(3)病虫害の防除 仕立て途中で幹や枝、葉が病虫害に侵されると樹勢が衰えて観賞価値を失うので、定期的に殺菌剤や殺虫剤を散布して樹勢の維持を図る。

[堀 保男]


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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「仕立て」の解説

じたて【仕立て】

汁物や鍋料理などの調理法を表す言葉。また、料理自体をもいう。「吉野(くず)仕立て」「みそ仕立て」「すまし仕立て」のように、(実ではなく)汁の部分に用いる主たる食材や調味料、汁の特徴などを示す語のあとにつけて用いる。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の仕立ての言及

【和裁】より

…和服の裁ち縫い。〈お針〉〈仕立て〉〈裁縫〉ともいう。今日のような繊細な縫い方が行われるようになったのは,小袖が定着した江戸初期ころという。…

※「仕立て」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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