宮ノ前遺跡(読み)みやのまえいせき

日本歴史地名大系 「宮ノ前遺跡」の解説

宮ノ前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]韮崎市藤井町駒井

七里岩しちりいわ台地かやヶ岳に挟まれたしお川右岸の完新世段丘II面上にある奈良時代から平安時代を中心とする集落跡。一帯藤井平ふじいだいらと通称される古くからの穀倉地帯で、最近まで条里型の土地割が展開していた。しかし現在では圃場整備事業によってその景観は失われてしまっている。遺跡地の標高は三八七メートル前後。発掘調査前の地形環境分析によって、埋没微高地上に集落が営まれ、埋没旧河道内に水田などの生産域が展開することが指摘された。なおこの地形環境分析によってすでに発掘調査されていた周辺の北後田きたうしろだ遺跡や後田遺跡・堂の前どうのまえ遺跡(以上藤井町坂井地内)前田まえだ遺跡(中田町中条地内)などの集落遺跡も中洲状の微高地に立地していることが判明した。

発掘調査は市立韮崎北東ほくとう小学校の建設に伴い、平成元年(一九八九)から同二年にかけて行われ、調査面積はおよそ一万八〇〇〇平方メートルに及んだ。埋没微高地上では縄文時代から平安時代にかかる竪穴住居跡四二三軒、平安時代から中世にかかる掘立柱建物跡五四棟、条里型土地割にかかわる東西・南北方向に延びる溝二四条、そのほか土壙や単独埋甕・柵列状遺構・性格不明ピット・配石遺構・畝状遺構などが検出され、埋没旧河道域では弥生時代から平安時代にかかる溝状遺構四条と、弥生時代前期と平安時代の水田跡がそれぞれ一面ずつ検出されている。


宮の前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]市川大門町黒沢 大木

富士川左岸の舌状台地先端部、標高約三七〇メートルに立地する縄文時代中期の集落跡。富士川を見下ろす高台の緩やかな北向き傾斜面で付近に沢もあり、立地条件としては良好である。昭和五七年(一九八二)に県警察本部のヘリポート建設に伴い、約二〇〇〇平方メートルが調査され、住居跡一三軒・土壙六基・単独埋甕二基が確認された。


宮の前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]能登川町小川

愛知えち川と大同だいどう川に挟まれた神郷じんごう小川おがわにわたる標高八七メートルの微高地上にある弥生―平安時代の複合集落跡。昭和三七年(一九六二)に発見され、その後の調査で弥生時代中期を主体とする集落跡であることが判明。同五四年の調査では弥生時代中期中葉の方形周溝墓二基、同木棺墓一基、環濠とみる説もある弥生時代後期の溝などが確認された。さらに同五八年の調査では弥生時代中期の溝、多数のピット、古墳時代の溝、平安時代後期の溝などが検出された。


宮ノ前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]蒲生町鋳物師、日野町石原

鋳物師いもじ集落の南東、日野川右岸の河岸段丘上、標高約一四メートルに位置する弥生時代後期から鎌倉時代にかけての複合集落遺跡。昭和五九年(一九八四)から同六一年にかけて、圃場整備事業に伴い数次にわたる発掘調査が実施された。その結果、竪穴住居跡・掘立柱建物跡・溝跡・沼跡・落込み状遺構などを検出した。竪穴住居跡は二棟が確認され、いずれも古墳時代後期に相当する。掘立柱建物は時期の不明なものが多いが、奈良時代から平安時代のものが大半を占めるようである。ほかにも柱穴跡多数が発見されたが、やはり時期は不明。


宮の前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]西桂町下暮地 宮の前

桂川の支流欄干らんかん川の左岸段丘上に立地する縄文時代中期の集落跡。調査は昭和六二年(一九八七)に行われ、縄文時代中期後葉曾利II―IV式期の住居跡五軒、および同時代後期初頭称名寺式期の屋外配石遺構と屋外埋甕が検出された。これらのうち第一号住居跡は直径約三・四メートルの小さな円形プランを呈する敷石住居跡で、埋甕や床面出土土器から曾利IV式に比定されるものであった。


宮ノ前遺跡
みやのまえいせき

[現在地名]美方町実山 宮ノ前

矢田やだ川の右岸、標高約二五三メートル前後の山裾に広がる緩い傾斜面に立地し、弥生時代前期に始まり、鎌倉時代まで断続して営まれた集落遺跡。平成二年(一九九〇)に発掘が行われた。坪掘り、トレンチ調査により、弥生後期から古墳時代前期の円形周溝墓三基、平安時代の掘立柱建物跡二棟、柵列・溝二条、埋甕二基が検出された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宮ノ前遺跡の言及

【湯納遺跡】より

…国道202号線バイパス工事で発見された遺跡で,縄文時代,弥生時代,古墳時代,歴史時代のさまざまな遺構・遺物が出土している。周辺には弥生時代の遺跡が多く,宮の前遺跡は弥生時代から古墳時代への移行期の墳墓として有名である。遺構は弥生時代後期から古墳時代前期の竪穴住居,水田遺構,井堰,歴史時代の掘立柱建物,井戸,溝,土壙が調査されている。…

※「宮ノ前遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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