(読み)サイ

デジタル大辞泉 「宰」の意味・読み・例文・類語

さい【宰】[漢字項目]

常用漢字] [音]サイ(呉)(漢)
切って料理する。料理人。「庖宰ほうさい
つかさどる。取り仕切る。「宰領主宰
つかさ。長。「宰相家宰太宰たいさい・だざい
[名のり]おさむ・かみ・すず・ただ・つかさ

みこと‐もち【宰/司】

《天皇の御言みことを持ち、まつりごとを行う意》上代、勅を受けて任地に下り、政務をつかさどった官人。律令制国司の前身。
山部連小楯やまべのむらじをたて針間はりまの国の―にけし時」〈・下〉

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精選版 日本国語大辞典 「宰」の意味・読み・例文・類語

さい【宰】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天子、諸侯をたすけて政を執る官。大臣。宰相。また、家臣の長。〔儀礼‐特牲饋食礼〕
  3. 采邑(さいゆう)の長。地方の長官。
    1. [初出の実例]「家通朝臣為賀州宰」(出典:中右記‐寛治八年(1094)七月一三日)
    2. [その他の文献]〔礼記‐礼器〕
  4. 膳部をつかさどる人。料理人。〔儀礼‐公食大夫礼〕
  5. 江戸時代、奥女中の雑用に使われた下男。御宰(ごさい)
    1. [初出の実例]「椎茸に切盛りをするさいがつき」(出典:雑俳・柳多留‐一〇二(1828))

みこと‐もち【宰・司】

  1. 〘 名詞 〙 ( 天皇の御言を承(う)け持って政(まつりごと)を行なうことの意から ) 令制以前、天皇の命を受けて任地に下り、地方の政務をつかさどった使者の称。令制の国司の前身。
    1. [初出の実例]「遠江の国の司(ミコトモチ)上表言(まう)さく」(出典:日本書紀(720)仁徳六二年五月(前田本訓))

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普及版 字通 「宰」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

[字音] サイ
[字訓] つかさどる・おさ・おさめる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+辛(しん)。宀は宋宮室の建物。辛は大きな把手のある曲刀の象。牲肉を切る丁である。宗に犠牲を供するとき、天子は鸞刀(らんとう)を用いるが、これを宰割するのはおおむね長老の職とするところであり、その人を宰といった。それで宰領・宰輔の意となる。〔説文七下に「人(ざいにん)なり。屋下に在りて事を執るなり」とするのは、辛を罪人に入墨する辛(はり)と解したのであろうが、この辛は宰割に用いる曲刀をいう。周の金文にみえる善夫は膳夫。宰と善夫とは、西周期には王の重臣として宰輔の職にあった。

[訓義]
1. 犠牲を切る、祭肉を供する、ほふる。
2. 祭祀をつかさどる、政務をつかさどる、諸事をつかさどる、おさめる。
3. つかさどる人、長官、家宰、みこともち、おさ、かしら
4. ととのえる、きりもりする。
5. 采と通じ、知行

[古辞書の訓]
名義抄〕宰 ツカサドル・モト・オサム・ヤシナフ・ヨク・サク・クラフ・ワカツ 〔字鏡集〕宰 ツクロフ・ツカサドル・ツカサ・ヤシナフ・モト・サク・ツクル・オサム・クラフ・ヨク・ワカツ

[声系]
〔説文〕に宰声として滓(し)など三字を収める。滓はまたに作り、(さい)の声義を承ける字。宰の声義を承けるとみるべき字はない。

[熟語]
宰尹・宰割・宰官・宰貴・宰牛・宰御・宰業・宰君・宰宰衡・宰祭・宰殺・宰士・宰司宰執・宰社宰爵・宰主・宰守・宰祝・宰匠・宰相・宰職宰臣・宰人宰隧・宰制・宰世・宰治宰廷・宰庭宰弼・宰府・宰夫・宰物・宰柄・宰輔・宰牧・宰木・宰虜・宰老・宰録
[下接語]
王宰・家宰・宮宰・君宰・宰・社宰・主宰・州宰・上宰・真宰・膳宰・太宰・台宰・廚宰・冢宰・朝宰・天宰・内宰・副宰・宰・烹宰・名宰・明宰・邑宰・里宰・良宰

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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