デジタル大辞泉
「帖」の意味・読み・例文・類語
じょう〔デフ〕【×帖】
[名]折り本。折り手本。また、屏風など折り本ふうに仕立てたもの。
[接尾]助数詞。
1 折り本・屏風・盾や僧の袈裟などを数えるのに用いる。「宇治十帖」
2 幕を二張りずつまとめて数えるのに用いる。「天幕五帖」
3 紙・海苔などをひとまとめにして数えるのに用いる。美濃紙は48枚、半紙は20枚、ちり紙は100枚、海苔は10枚を1帖とする。
4 「畳」に同じ。「六帖間」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
じょうデフ【帖】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 折本や屏風(びょうぶ)。また、一般に折本風のものをいう。
- [初出の実例]「今の世の色紙はでうにしためる」(出典:栄花物語(1028‐92頃)御裳着)
- [その他の文献]〔輟耕録‐巻六・評帖〕
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙
- ① 折本を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「古今、後撰集、拾遺集、その部どもは五てうに作りつつ」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月一七日)
- ② 屏風や楯(たて)の類を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「屏風一帖。〈高五尺。画二鴈并草木之類一。〉骨料」(出典:延喜式(927)一七)
- ③ 幕を二張りずつ一まとめとして数えるのに用いる。張(はり)。
- [初出の実例]「以二白幕五帖一、曳二廻廊北軒一」(出典:吾妻鏡‐文永二年(1265)三月七日)
- ④ 僧の袈裟を数えるのに用いる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑤ 紙や海苔(のり)などの一定枚数を一まとめとして数えるのに用いる。半紙は二〇枚、美濃紙は五〇枚(大正一四年八月以前は四八枚)、塵紙は一〇〇枚、西洋紙は一二枚、海苔は一〇枚を一帖とする。
- [初出の実例]「献上 御幣上紙百帖 供物長櫃 中折櫃」(出典:朝野群載‐二・寛弘九年(1012)六月二五日)
- ⑥ 雅楽で、大曲の中にある楽章の単位の一つ。
- [初出の実例]「楽の中に蘇合といふ曲ありこれをまふには五帖まで帖々をきれぎれにまひおはりて後破をまふ」(出典:無名抄(1211頃))
- ⑦ =じょう(畳)①
- [初出の実例]「二棟東第一二間敷二公卿座一〈畳二帖、茵四〉」(出典:明月記‐建久七年(1196)四月二四日)
- ⑧ =じょう(畳)②
- [初出の実例]「唐ざらさの座布団十帖」(出典:穴さがし心の内外(1864‐65頃)初)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通
「帖」の読み・字形・画数・意味
帖
人名用漢字 8画
[字音] ジョウ(デフ)・チョウ(テフ)
[字訓] かきつけ・おりほん
[説文解字]
[字形] 形声
声符は占(せん)。占に黏(でん)、はり合わせる意がある。〔説文〕七下に「帛(きれ)の書なり」とあり、〔段注〕に木の書署を檢(検)、帛の書署を帖とする。書署は表書(うわがき)。すべて帖綴(じようてつ)したものを帖、その完好なるものを妥帖といい、折本(おりほん)としたものを帖子という。法帖を主とする書学を帖学、漢魏の碑文を主とするものを碑学といい、この両派は書学の大宗とされている。
[訓義]
1. つづったかきもの、帛の書署、折本。
2. 帳簿、書類、文書の帖綴したもの。
3. てがた、かきつけ、てがみ。
4. つける、はりつける。
5. たれる、しずか、おちつく、したがう、やすらか。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕帖 タタム・カサヌ 〔字鏡集〕帖 タタム・ノシ・ノブ・シヅカナリ・スフ・ヤスシ・カサヌ
[語系]
帖thiap、笘tyiapは声義の近い字で、笘とは竹簡をいう。tyam、tiapは耳が少し垂れている形。帖にまた垂れるものの意がある。
[熟語]
帖学▶・帖括▶・帖黄▶・帖子▶・帖試▶・帖字▶・帖職▶・帖装▶・帖着▶・帖勅▶・帖耳▶・帖然▶・帖息▶・帖妥▶・帖泰▶・帖帖▶・帖服▶・帖伏▶
[下接語]
安帖・画帖・簡帖・掲帖・戸帖・絳帖・書帖・帯帖・碑帖・筆帖・文帖・法帖・墨帖・名帖・門帖・臨帖
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
帖
(1)帖装の本の意味で,折本と同義.(2)折本仕立の本を数える用語.(3)紙を一定の枚数にまとめて数える単位.半紙は20枚,美濃紙,奉書は48枚をそれぞれ1帖という.
出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報
帖【じょう】
紙,海苔(のり)などの枚数を数える語。半紙は20枚,美濃(みの)紙,奉書は48枚,泉貨紙,西の内紙は50枚,海苔は10枚を1帖とする。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
帖
じょう
日本の雅楽用語。 (1) 楽式に関する用語。楽曲全体を一帖といい,反復して奏する場合二帖,三帖…という。各帖の長さは変らないが,旋律は同じ場合と多少異なる場合がある。唐楽において特に舞を伴って演奏するとき楽曲を反復することが多い。 (2) リズムに関する用語。拍節の明確でないリズム。神楽,朗詠など声楽曲のリズムを説明するときに「帖の曲」のように使用された。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の帖の言及
【手形】より
…明,清の銭鋪(せんぽ),[銭荘],銀号などの両替業は,預金貸出しや銭票,銀票を発行する銀行業務を行ったが,こうした銭票,銀票も約束手形に含めることができる。このほか,唐代には帖とよぶ小切手が流通し,振出人,受取人,支払人,金額,年月が紙面に記入され,サインを備えていた。こうした支払証券は宋以後各種商店でよく用いられた。…
【畳】より
…〈畳〉の本来の意味は重ねて積み上げることで,古代には薦(こも)や筵(むしろ)を重ね敷きにすることをさしていた。8世紀には何枚かの薦や筵を縫い合わせて布で縁取りしたものがつくられ,畳あるいは帖(ちよう)と呼ばれた。《延喜式》には朝廷で使われた畳の規格が書かれているが,長帖,短帖,狭帖など,長さ10mから1.2m,幅1.35mから1.08mの間でさまざまな形のものがあり,厚畳と,厚さがその半分の薄畳があった。…
※「帖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」