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常民 ジョウミン

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デジタル大辞泉の解説

じょう‐みん〔ジヤウ‐〕【常民】

普通一般の民。庶民。
民俗を伝承し保持している基層文化の担い手としての階層。民俗学者柳田国男が、folkまたは、〈ドイツ〉Volkにあたる語として用いた語。

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百科事典マイペディアの解説

常民【じょうみん】

一般に庶民,民衆の意。狭義に日本民俗学において民俗文化・民間伝承担い手の総称として用いられる概念。水田稲作を基盤とする定住農耕民を想定して柳田国男が創唱,〈知識人〉とは対極的な生活様式をもつ〈常民〉を通して集団的・類型的に伝承される文化の総体的理解が目されたが,近年,その一面的強調が非農業民・非定住民を排除するイデオロギー性を内包するとして批判する議論もある。

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大辞林 第三版の解説

じょうみん【常民】

ごく普通の人。一般の民衆。庶民。
柳田国男の用語。生産に直接携わり、民間伝承を担っている人々。文化的観点から位置づけられた人間類型の一。文化の創造的側面にかかわることが比較的少なく、保守的な生活行動様式をとる人々をさす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

常民
じょうみん

柳田国男(やなぎたくにお)を創成者とする「日本民俗学」(いわゆる柳田民俗学)の主要研究対象は「常民文化」であり、その保持層が「常民」ということになっている。しかしこうした概念規定はむしろ近年の日本民俗学再検討の論議のうちに生じた事態である。柳田自身もさして明確な学的定義は加えぬままに没したので、いまなおその理解はかなり多義的であり、明確な学的用語として定着するまでにはなっていない。
 柳田が「平民・庶民」という語とは別に「常民」という新造語を用い始めたのは、明治末から大正初年にかけて発表した山民(イタカ、サンカ、マタギ、山人)関係の論考からで、「平民・庶民」と併用もしている。そこではむしろ、一般民衆とは際だって異態の生活伝統をもつ民団と区別するために「常民」の語を用いたらしい。しかし昭和初年以後の論考に頻出する「常民」は新しい意義をもって現れ、むしろ「平民・庶民」と同義に近く、階層的な意味づけを避ける形で、「常民」を多く用いるようになっている。そして「歴史は元来常民の学ではなかった。用途は主として政治にあった」という一文(『国史と民俗学』)にも、常民を上層為政者と対置する考えが示されている。しかし第二次世界大戦後に及ぶと、「庶民」という既成概念を避け、日本人として普通日常に行ってきた伝統的生活様式を共有する人々、いわば日本の基層的伝統文化を共有する国民層の総体として「常民」を規定する考え方に移行していったようである。しかし、かならずしも明確な定義づけは加えられぬままに終わっている。
 ところが一方まったく別個に、民具研究を主軸に有形民俗文化の研究を主に志向した渋沢敬三は、その主宰する「アチックミューゼアム」を1942年(昭和17)に「日本常民文化研究所」と改称するにあたり、次のように記している。「常民とは庶民、衆庶等の語感を避け、貴族・武家・僧侶(そうりょ)階層等を除くコンモンピープルの意として用い出せるもの、農山漁村のみならず市街地を合わせ農工商等一般を含むものとして敬三の作出にかかる」。つまり英語のcommon peopleの対訳語として一般通常民の意に用いたというのであり、柳田ものちにこの用語を是認したと語っている。要するに日本民族文化の基底(伝統)――とくに「基層文化」を伝存共有する人々というかなり高度の抽象概念で、通例の階層的区分概念を避ける意味で造出された用語である。[竹内利美]
『和歌森太郎著『新版日本民俗学』(1977・清水弘文堂)』

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世界大百科事典内の常民の言及

【渋沢敬三】より

…1944年には日本銀行総裁に就任し,第2次大戦後は幣原(しではら)喜重郎内閣の大蔵大臣となるなど経済界の指導者として活躍した。一方,大学在学中から穂積陳重,石黒忠篤,柳田国男などの影響を受けて,文化の基層を,支配階級を除いたごく普通の庶民すなわち常民の文化に求め,とくに漁業関係の社会経済史料に注目した。1921年にはアチック・ミューゼアム・ソサエティ,25年にはアチック・ミューゼアム(のち日本常民文化研究所と改称)を自邸の物置の2階に開設し,同好の士と民具や民俗資料の研究ならびに収集保存をはじめた。…

【庶民】より

…庶民は,市民や人民が歴史的規定のもとにみずからが政治性や階級性を意識している存在とは異なる。また,産業社会にあって非組織的な存在としての大衆や,民俗学で用いられる伝統的な生活様式,固有文化を保持する人びとを指す常民common peopleとも異なる。すなわち,〈庶民とは伝統的価値意識のなかに埋没している人びと〉(日高六郎)である。…

【柳田国男】より

…また方法論に対応した信頼度の高い民俗資料を集積するため統一調査項目による全国的調査〈山村調査〉(1934‐36)を実施し,さらに全国各地居住の民俗学愛好者を〈民間伝承の会〉(1935)に組織した。この確立期の民俗学の研究対象はごくありふれた各地の農民たちの生活であり,その主体を常民(じようみん)とした。常民の生活の歴史を各地の民俗の比較研究によって明らかにすることが民俗学の課題となった。…

※「常民」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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