(読み)キョウ

デジタル大辞泉 「恐」の意味・読み・例文・類語

きょう【恐】[漢字項目]

常用漢字] [音]キョウ(漢) [訓]おそれる おそろしい こわがる
こわがる。おそれる。「恐慌恐怖・恐妻家」
おどす。「恐喝
おそれ入る。「恐悦恐懼きょうく恐縮恐恐謹言
きょう代用字)びくびくするさま。「戦戦恐恐
難読恐持こわも

かしく【恐/可祝/畏】

《「かしこ」の音変化》女性手紙末尾に用いるあいさつの語。かしこ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恐」の意味・読み・例文・類語

おそらく【恐】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「おそらくは(恐━)」の略 )
  2. おそらくは(恐━)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「おそらく、何れも大勢成共、まくる太郎ではおりないぞ」(出典:虎寛本狂言・乳切木(室町末‐近世初))
  3. おそらくは(恐━)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「『やるまひといふたりと取てみせう』『おそらくとらすまひぞ』」(出典:虎明本狂言・竹の子(室町末‐近世初))
  4. 恐ろしいほど。この上なく。
    1. [初出の実例]「吉野・鼻の高さおそらく也」(出典:評判記・難波物語(1655))
  5. おそらくは(恐━)[ 二 ]
    1. [初出の実例]「女人におゐてはおそらくの療治仕候」(出典:浮世草子・好色産毛(1695頃)三)

おそろ【恐】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 形容詞「おそろし(恐)」から出て、江戸時代安永天明一七七二‐八九)頃、通人の間に流行した語 )
  2. 驚いたり感心したりして、おそれいるさま。
    1. [初出の実例]「此白紙(しろがみ)(したた)め置き水にひたせば皆読(よめ)る。コリャおそろだ」(出典浄瑠璃神霊矢口渡(1770)二)
  3. はなはだしいさま。たいそうなさま。恐ろしいさま。
    1. [初出の実例]「人殺しといわふか医者ほどおそろな物はござらぬ」(出典:談義本・当世穴噺(1771)四)

おおそれ【恐】

  1. 〘 名詞 〙 御恐れの意という。また、恐れる気持を強調するため、「おそれ(恐)」を「おおそれ」と発音するのが室町後期には普通であったともいう。→おおそれおおしおおそれながら
    1. [初出の実例]「給はる御こそで、まいらせたくは候へども、さいごにきてしなんため、参らせず候。そのおほそれ、是おほし」(出典:幸若・夜討曾我(寛永版)(室町末‐近世初))

おそり【恐】

  1. 〘 名詞 〙 ( 上二段動詞「おそる(恐)」の連用形名詞化 ) 恐怖の原因となるべき事柄。警戒すべき事。恐ろしい事の起こりそうな心配。おそれ。恐怖。不安。
    1. [初出の実例]「春日野の山辺の道を於曾理(オソリ)なく通ひし君が見えぬころかも」(出典:万葉集(8C後)四・五一八)
    2. 「このわたり海賊のおそりありといへば」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二三日)

おそろし【恐】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙おそろしい(恐)

おとろし【恐】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙おとろしい

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普及版 字通 「恐」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 10画

(旧字)
10画

[字音] キョウ
[字訓] おそれる・かしこまる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(きよう)。は呪具の工を掲げる形で、神を迎え、神を送るときの所作。〔説文〕十下に「懼(おそ)るるなり」とあり、神に対して恐懼することをいう。金文の〔毛公鼎〕に「烏(ああ)(おそ)るる余(われ)小子、家艱(かん)に湛(しづ)み、永く先王に(おそ)れあらしめんとす」、また〔師(しりき)〕に「(つつし)みて王にぐ」のように用い、の初文。のちその心情を示す意でとなった。

[訓義]
1. おそれる、かしこまる、はばかる。
2. おどす、おそれさせる。
3. おそらくは、うたがうらくは、たぶん。

[古辞書の訓]
名義抄 オヅ・カシコマル・オドス・オソル 〔字鏡集〕 オソル・カシコマル・オドス・スツ・シタシ

[語系]
khiong、兇xiongは声義近く、は神に対して恐懼の念を抱くこと、兇は凶悪の事態に対して恐懼する意。

[熟語]
恐畏・恐・恐嚇・恐・恐喝・恐・恐悸・恐恐・恐脅・恐懼・恐慌・恐惶・恐縮・恐悚・恐竦・恐色・恐慎・恐動・恐・恐怖・恐・恐慄・恐惑
[下接語]
威恐・畏恐・脅恐・驚恐・惶恐・心恐・振恐・深恐・震恐・惴恐・誠恐・大恐・憚恐・悼恐・恐・恫恐・迫恐・憂恐

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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