デジタル大辞泉
「端」の意味・読み・例文・類語
つま【▽端/妻】
1 物のはしの部分。へり。
2
㋐建物の長手方向の端部で、棟と直角をなす壁面。妻壁。⇔平。
㋑切妻や入母屋の屋根の側面の三角形の壁面。
3 物事のいとぐち。てがかり。端緒。
「なかなか物思ひの―なるべきを」〈源・須磨〉
は【端】
1 物のはし。へりの部分。はた。「口の端」「山の端に昇る月」
2 はんぱなこと。また、そのもの。はした。「端数」
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はし【端】
- 〘 名詞 〙 ( 「はじ」とも )
- ① 物事の末の部分。
- (イ) 細長い物の末の部分。また、平らな物などの周辺の部分。へり。ふち。さき。
- [初出の実例]「縄の端(ハシ)に鐸(ぬりて)を懸けて」(出典:日本書紀(720)一五・顕宗元年二月(寛文版訓))
- 「このきはに立てたる屏風はしのかたおしたたまれたるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
- (ロ) 特に、畳のへり。また、敷物などの縁。
- [初出の実例]「畳一ひらをながさまにはしをはしにして、長押(なげし)の上に敷きて」(出典:枕草子(10C終)二七八)
- (ハ) 物を切り離した、小さいほうの部分。切れっぱし。断片。
- [初出の実例]「脛を布のはしして引きめぐらしたるものども」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
- (ニ) 多くある物の中の一部分。また、ひとつのまとまりをなしているものの一部分。
- [初出の実例]「おほかたふるものがたりのはしなどをみれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
- (ホ) 同じ種類の物の中の末梢的な事柄。取るに足りない存在だが、一応はその部類にはいっている人や物。はしくれ。
- [初出の実例]「其に我も獣の端也」(出典:今昔物語集(1120頃か)五)
- (ヘ) 物事の大切でない部分。枝葉末節。
- [初出の実例]「僉議はしおほし。夜のふくるに、いそげやすすめ」(出典:平家物語(13C前)四)
- ② ある場所を中心としてその周辺の部分。
- (イ) 中心からはずれた隅の方の場所。末端の方の場所。
- [初出の実例]「けんくゎのうちに、こなたの御手がたなのはしへまいったを見ましたが」(出典:虎明本狂言・雁盗人(室町末‐近世初))
- (ロ) 家屋の中央や奥に対して外側や周辺の所。また、その部屋。寝殿造りでは、廂の間や簀子(すのこ)などをさす。
- [初出の実例]「はしにいでゐて、月のいといみじうおもしろきに、頭かい梳(けづ)りなどしてをり」(出典:大和物語(947‐957頃)一四九)
- (ハ) 家屋の出入り口のほう。玄関など。
- [初出の実例]「ただ今も出でぬべき心地して、やをらはしを開けたれば、晦日比の月なき空に雨雲さへたち重なりて」(出典:うたたね(1240頃))
- ③ 物のはじめの部分。
- (イ) 書物のはじめの部分。序。また本文の冒頭の部分。
- [初出の実例]「禁中殿上人御書所衆第一帙令書写、第一巻端二枚許主上宸筆令書写御也」(出典:中右記‐長治二年(1105)九月一五日)
- (ロ) 文書、手紙などの右端。左端を奥というのに対していう。
- [初出の実例]「奥よりはしへよみ、端より奥へ読けれ共」(出典:平家物語(13C前)三)
- ④ 物事の起こるはじめ。物事の起ころうとするしるし。いとぐち。きざし。端緒。兆候。
- [初出の実例]「などか、なのめにて、なほ、この道を通はし知るばかりのはしをば知りおかざらむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- 「御泪の故(もと)と成し山雲海月の色、今は龍顔を悦ばしむる端(ハシ)と成て」(出典:太平記(14C後)一一)
- ⑤ ( 「間」の字をあてることがある ) ある物事が行なわれたちょうどその折。…する間に一方で。あいだ。きわ。まぎわ。
- [初出の実例]「うち嘆き しなえうらぶれ しのひつつ あらそふ波之(ハシ)に」(出典:万葉集(8C後)一九・四一六六)
- ⑥ いいかげんに扱われるような、つまらないもの。また、二つのものの中間的存在。どっちつかずの中途半端なこと。
- [初出の実例]「新田山嶺には着かなな我(わ)に寄そり波之(ハシ)なる児らしあやに愛(かな)しも」(出典:万葉集(8C後)一四・三四〇八)
- ⑦ 中心ではない、ちょっとした部分。ちょっと表われた部分。
- [初出の実例]「のちに知らるることばのはし」(出典:浄瑠璃・曾根崎心中(1703))
- ⑧ 「はしじょろう(端女郎)」の略。
- [初出の実例]「端は、局に立給ふ御方也、端居の儀也」(出典:浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)上)
つま【端・褄】
- 〘 名詞 〙
- [ 一 ] ( 端 )
- ① もののはじの部分。へり。
- [初出の実例]「よしあるあふぎのつまを折りて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
- ② ( 多く「妻」と書く )
- (イ) 建物などの正面を平(ひら)というのに対して、側面をいう語。建物ならば棟と直角の側面。〔正倉院文書‐天平宝字六年(762)七月七日・造石山院所返抄案〕
- (ロ) 建物の末端のところ。軒端。
- [初出の実例]「屋のつま、さし出でたる物のつまなどに、あながちに生ひ出でたるさま、いとをかし」(出典:能因本枕(10C終)六七)
- (ハ) 床子(しょうじ)などの側面をいう。〔正倉院文書‐(年月日未詳)・造石山院所用度帳〕
- ③ きっかけとなるいとぐち。てがかり。端緒。はじまり。もと。
- [初出の実例]「わが心にも、中中、物思ひのつまなるべきをなど思し返すを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
- [ 二 ] ( 褄 )
- ① 着物の衽(おくみ)の衿先より下の部分のへり。また、長着の裾(すそ)の左右両端の部分。
- [初出の実例]「足(あと)取り 都磨(ツマ)取りして 枕取り 都磨(ツマ)取りして 妹が手を我に枕(ま)かしめ」(出典:日本書紀(720)継体七年九月・歌謡)
- ② 袷(あわせ)や綿入れなどの表地と裏地とが、袘(ふき)と竪褄(たてづま)の最下端との角で一点に集まるところ。
- [初出の実例]「此の衣の角裏(ツマ)の中に在り」(出典:大智度論平安初期点(850頃か))
はした【端】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 形動 ) 物事のどちらともつかないこと。どっちつかずで中途はんぱなこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「御子は立つもはした居るもはしたにてゐ給へり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ② ( 形動 ) 数のそろわないこと。数が足りないこと。また、そのさま。はんぱ。〔観智院本名義抄(1241)〕
- [初出の実例]「惜や片足は野ら犬めに喰へられ、はしたになりて」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)一)
- ③ ( 形動 ) 数がある単位、あるまとまった数よりも余っていること。また、そのさまやその余った数量。余計。端数。はんぱ。
- [初出の実例]「左が四なれば、まうはしたな数は、ないほどに、右も亦四なり」(出典:史記抄(1477)一八)
- ④ =はしたもの(端者)①
- [初出の実例]「御童・下仕へ・御はした・御雑仕・御ひすなどいふ物まで、かたちよきをえりととのへられたるは」(出典:増鏡(1368‐76頃)六)
- ⑤ =はしたがね(端金)
- [初出の実例]「半銭(ハシタ)で買(かは)れぬ物斗(ばかり)」(出典:談義本・教訓雑長持(1752)鉢坊主身の上を懺悔せし事)
はな【端】
- [ 1 ] 端、先端の意。
- ① 物の先端の部分。はじ。末端。
- [初出の実例]「霞たつゑしまのはなをみ渡せはたみかへしたる心ち社すれ」(出典:類従本有房集(1182頃)春)
- 「磯の尽端(ハナ)に行けば」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉湘南雑筆)
- ② 二つ以上並ぶものの先の方をさしていう。
- (イ) 駕籠(かご)の先棒。
- [初出の実例]「『それぢゃあ手めえ後へ廻れ』『手めえにははなが担げるものか』」(出典:歌舞伎・扇音々大岡政談(天一坊)(1875)四幕)
- (ロ) 列の先頭。
- [初出の実例]「真身のおれが、先頭(ハナ)に居るから猶聞けねえ」(出典:歌舞伎・茲江戸小腕達引(腕の喜三郎)(1863)序幕)
- ③ 時間的に先の方をさしていう。はじめ。最初。発端。
- [初出の実例]「なアに、上げ汐の鼻までは気遣ひない」(出典:歌舞伎・盟三五大切(1825)序幕)
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙 動詞の連用形に付いて、その動作をしはじめた頃、その動作状態にはいった直後の意を表わす。多く連濁して「ばな」となる。「出ばな」「寝入りばな」など。
はた【端・傍・側】
- 〘 名詞 〙
- ① 物のへり。器(うつわ)などのふち。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
- [初出の実例]「はたまで一つぼ入れて、蓋合はせて黄ばみたる薄様一重に包みたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開中)
- ② ある場所のほとり。川や池などのふち。
- [初出の実例]「ある谷川のはたなる石にこしかけておはしけるが」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)下)
- ③ 直接には関わりのない、または本系からはずれた立場。また、その人。かたわら。そば。わき。第三者。周囲にいる人。
- [初出の実例]「その内供の一つ腹にや、はたの御腹にや、治部大輔雅光と聞へ給ひし歌詠みおはしき」(出典:今鏡(1170)七)
- ④ 歌舞伎の劇場で、揚げ幕のそばの下桟敷(したさじき)をいう。〔劇場新話(1804‐09頃)〕
- ⑤ ⇒はた(旗)③
は【端】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① はし。はた。へりの部分。ふち。
- [初出の実例]「山の波(ハ)に月傾けば漁(いざ)りする海人のともしび沖になづさふ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六二三)
- ② はんぱであること。はした。端数。
- [初出の実例]「児(ちご)なんどをばはにいだすべからず」(出典:申楽談儀(1430)能の色どり)
- ③ 三味線で、棹や胴の表面から弦までの距離をいう。
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙
- ① 数の程度を表わす。「年端」
- ② 場所を表わす。「行端」「逃端」
たん【端】
- 〘 名詞 〙
- ① 物のはし。さき。
- ② 物事がはじまるきっかけ。いとぐち。はじめ。
- [初出の実例]「有仏性の道にも、無仏性の道にも、通達の端を失せるがごとくなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏性)
- [その他の文献]〔孟子‐公孫丑〕
- ③ ⇒たん(段)
ばた【端】
- 〘 造語要素 〙 名詞について、そのものの端の部分やその近辺の意を表わす。「舟ばた」「道ばた」「いろりばた」など。
ば【端】
- 〘 造語要素 〙 名詞や動詞の連用形に付いて、はし、末の意を表わす。「さがりば」「かかりば」「のきば」など。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「端」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の端の言及
【段∥反】より
…慣用では反とも書き,日本特有の単位で,倍量単位は10段に等しい町である。なお,和服地の長さないし広さの単位として端(反,段)がある。【三宅 史】。…
【袖判】より
…文書の右側の部分(袖または端という)に花押を記すこと,またその花押。中世武家文書に多くみられる。…
【端裏書】より
…古文書学上の用語。文書の右端を端(はし)といい,その裏に書かれた文字が端裏書である。文書はふつう左端(奥)を内側にして折り畳むから,完全に折り畳むと端裏の部分が表に出る。…
※「端」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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