放浪(読み)ホウロウ

デジタル大辞泉 「放浪」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ろう〔ハウラウ〕【放浪】

[名](スル)あてもなくさまよい歩くこと。さすらい。「放浪の旅」「各地放浪する」
[補説]書名別項。→放浪
[類語]うろつくさすらうさまよう出歩くほっつくほっつき歩くほっつき回るぶらつく徘徊彷徨低回右往左往流浪漂泊流離漂流浮浪

ほうろう【放浪】[書名]

岩野泡鳴長編小説。明治43年(1910)刊行北海道での放浪生活をもとに描いた長編五部作の一。
葛西善蔵私小説。大正10年(1921)「国本」誌に発表

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精選版 日本国語大辞典 「放浪」の意味・読み・例文・類語

ほう‐ろうハウラウ【放浪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. あてもなくさまよい歩くこと。一つ所に定住することなく、転々とさすらうこと。流浪。
    1. [初出の実例]「爾後放浪佗国今十有二年」(出典:東海一漚集(1375頃)三・与虎関和尚)
    2. 「而して其の放浪する所は情の大海なるべし」(出典:囚はれたる文芸(1906)〈島村抱月〉一一)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐石櫃閣詩〕
  3. 気ままにすること。心のままにして、物事にくよくよしないこと。〔王羲之‐蘭亭集序〕

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改訂新版 世界大百科事典 「放浪」の意味・わかりやすい解説

放浪 (ほうろう)

岩野泡鳴の長編小説。1910年(明治43)東雲堂刊。樺太の缶詰事業に失敗した田村義雄は,ひとまず札幌の友人たちのもとに身を寄せて再起を図る。しかし,樺太に残してきた弟や従弟をはじめ東京にいる妻子や愛妾お鳥,そして抵当に入っている家のことなどもからんで,すべてうまくいかない。絶望的な日々の中で薄野(すすきの)遊郭敷島という女を知る。やがて義雄は,彼女の生き方の中に自分の哲理が具現されているのを感じ,思いを深めてゆく。《断橋》《発展》《毒薬を飲む女》《憑(つ)き物》とともにいわゆる〈泡鳴五部作〉をなすが,後年自説の一元描写論に合わせて改編された。作者自身の体験にもとづき,自我独尊の哲理と生をユニークに描いた自然主義文学の代表作。
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普及版 字通 「放浪」の読み・字形・画数・意味

【放浪】ほうろう(はうらう)

さすらう。宋・軾〔秦観秀才の贈らるるに次韻す~〕詩 江湖に放浪し、久しく眞をうす 忽然として一鳴せば人を倒せしめん

字通「放」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の放浪の言及

【ケラワック】より

…第2次大戦後の非人間的な管理社会に生理的に反発し,自然発生的・感覚的な秩序のない文体を意識的に用いて,瞬間的な自我の充足と宗教的な意味での悟りをつかみ,至福への道を探ろうとした。代表作《放浪》(1957)は,アメリカ中を気のおもむくままにドライブしてまわる2人の男を主人公にしたピカレスク風の小説で,物質文明に背を向けて東洋哲学に傾倒していく若者を描いた《ダルマ行者たち》(1958)と対をなすものである。ほかに,サンフランシスコのビート世代の風俗と生態を描いた《地下街の人々》(1958),詩集《メキシコ・シティ・ブルース》(1959)など多くの作品を発表し,アメリカ文学に新しい分野をひらくものと期待されたが,その期待に十分にこたえられないままに急逝した。…

※「放浪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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