池田宿(読み)いけだのしゅく

百科事典マイペディアの解説

池田宿【いけだのしゅく】

遠江国にあった古代末期から中世宿駅。現在の静岡県豊田(とよだ)町(現・磐田市)池田に比定される。山城国松尾神社(現京都市西京区の松尾大社)領池田荘の中心で,天竜川渡船場であるとともに,荘官の居住地であったとみられる。《吾妻鏡》建久1年(1190年)12月21日条によると,源頼朝が京都上洛の帰途に当宿に宿泊している。《平家物語》などの軍記物や《海道(かいどう)記》などの紀行文にその名がみえ,中世を通じての宿駅であったが,最も繁栄したのは平安末期から鎌倉期であった。遊女が多数いたことでも知られ,平宗盛(むねもり)と宿長者の娘熊野(ゆや)の物語は謡曲《熊野》で有名。源範頼(のりより)の母も当宿の遊女であったと伝える。かつては天竜川の西岸にあったが,河道の変化によって東岸に移転した。徳川家康は渡船場を重視し,渡守(わたしもり)に数々の特権を与えたが,近世に入って衰退した。江戸時代には遠江国豊田郡池田村となった。

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世界大百科事典 第2版の解説

いけだのしゅく【池田宿】

遠江国の中世宿駅,近世東海道の天竜川渡船場。また松尾神社領池田荘の中心部で,荘官居住地でもあった。宿はもと川の西岸にあったが,河道の変化によって東岸に移動した。池田宿は中世を通じて紀行文や軍記物にみえるが,最も繁栄したのは平安末から鎌倉期で,平宗盛と宿長者の娘熊野(ゆや)の物語は,謡曲《熊野》で名高い。徳川家康は池田渡船場の船守に種々の特権を与えたが,近世には衰退した。現在,静岡県豊田町池田。【本多 隆成】

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