無体(読み)ムタイ

デジタル大辞泉 「無体」の意味・読み・例文・類語

む‐たい【無体/無代/無台】

[名・形動]《古くは「むだい」とも》
無理なこと。無法なこと。また、そのさま。「―を働く」「―な所業
(無体)形のないこと。無形
ないがしろにすること。おろそかにすること。また、そのさま。
仏法を―にし、逆罪を相招く」〈盛衰記・二四〉
[類語]無理強制強要強いる無理無体押し付ける無理強い無理押し強迫無茶めちゃむちゃくちゃめちゃくちゃめちゃめちゃ滅法法外無理乱暴理不尽非理不当不条理不合理非合理

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精選版 日本国語大辞典 「無体」の意味・読み・例文・類語

む‐たい【無体・無代・無台】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「むだい」とも )
  2. ないがしろにすること。無視すること。軽蔑すること。無にすること。むだにすること。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
  3. ( 形動 ) 無理なこと。無法なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「よもその物、無台にとらへからめられはせじ、入道に心ざしふかい物也」(出典:平家物語(13C前)四)
  4. ( 形動 ) とりわけはなはだしいさま。むやみ。また、副詞的に用いられて、少しも。全然。
    1. [初出の実例]「琴にはたまのことちに、あなを、あけて、絃をつらぬきたるとかや。無題にたふるることもなくて、よきにこそ」(出典:塵袋(1264‐88頃)七)
  5. ( 形動 ) 全くできないさま。
    1. [初出の実例]「むだッ口やへらず口は、わる達者だが、少しまじめな事は無体(ムテヘ)なもんだぜ」(出典滑稽本・八笑人(1820‐49)初)
  6. ( 無体 ) 体をなさないこと。まとまった形になっていないこと。体系的でないこと。
    1. [初出の実例]「二曲三躰よりは入門せで、はしばしの物まねをのみたしなむ事、無躰(ムタイ)枝葉の稽古なるべし」(出典:至花道(1420)二曲三体の事)
  7. 仏語。実体がないこと。実在しないもの。無。
    1. [初出の実例]「神は無方無体なれとも、人心に誠あれは、必す感応する所あり」(出典:清原宣賢式目抄(1534)一条)

無体の補助注記

語源については「ないがしろ」に「無代」を当てて音読したという説と仏教語の「無体」に由来するという二説がある。後者は、法相宗で論理上許される法を「有体」、論理上許されない法を「無体」といい、ここから広く「道理の通らないこと」の意で「無体」が用いられ、その結果、「無理無体」といった表現も現われたとする。

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普及版 字通 「無体」の読み・字形・画数・意味

【無体】むたい

定体がない。

字通「無」の項目を見る

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