物申す(読み)モノモウス

デジタル大辞泉 「物申す」の意味・読み・例文・類語

もの‐もう・す〔‐まうす〕【物申す】

[動サ五(四)]《古くは「ものまをす」。「物言う」の謙譲語
要求や反対意見などを言う。注文をつける。「役所に―・す」「若者に―・す」
ことばに出して申し上げる。
うちわたすをちかた人に―・す我そのそこにしろく咲けるは何の花ぞも」〈古今雑体
神仏などに、願い事を奏上する。祝詞を奏する。
「神、寺などにまうでて―・さするに」〈・三一〉
人に呼びかけたり、他家で案内を請うたりするときにいう語。
「―・さう、どいへば、何事答ふ」〈平家・三〉
[類語](1抗議反論反駁抗論甲論乙駁弁駁論破論駁遣り込める言い負かす言いこめるへこますあらがう逆ねじ折伏しゃくぶく/(2建白建言申し立てる建議献策上申具申献言進言答申

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精選版 日本国語大辞典 「物申す」の意味・読み・例文・類語

もの‐もう・す‥まうす【物申】

  1. 〘 連語 〙 ( 古くは「ものまをす」。「もの言う」の謙譲語 )
  2. ことばに出して申しあげる。また、意見を申しあげる。
    1. [初出の実例]「山城の 筒木の宮に 母能麻袁須(モノマヲス) 吾が兄の君は 涙ぐましも」(出典古事記(712)下・歌謡)
    2. 「石麻呂に吾れ物申(ものまをす)夏やせによしといふ物そむなぎ取りめせ」(出典:万葉集(8C後)一六・三八五三)
  3. 神仏などに願い事を奏上する。祝詞・願文などを奏する。
    1. [初出の実例]「神・寺などに詣でて物申さするに」(出典:枕草子(10C終)三一)
  4. ( 多く助動詞「ん(む)」「う」を伴って用いる ) 人に呼びかけたり、他人の家に行って案内を請うたりするときにいう語。
    1. [初出の実例]「物まうさうどいへば、何事とこたふ」(出典:平家物語(13C前)三)
    2. 「戸をたたき、物申さんといへば」(出典:曾我物語(南北朝頃)一二)
  5. 文句を言う。注文をつける。抗議する。

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