出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
p型とn型半導体の接合部に電圧をかけると正孔と電子が結合して発光することがある.これを利用した半導体素子を発光ダイオードという.p-n接合に順方向電圧を加えると,接合部の電位障壁が低くなるので,接合部を越えてn領域の電子はp領域へ,p領域の正孔はn領域に注入される.注入された電子および正孔は,注入された領域では熱平衡状態時よりも多くなっているために,それぞれ正孔および電子と再結合を起こして熱平衡状態に戻ろうとする.このとき,再結合によって放出されたエネルギーは,一部は結晶の格子振動や電子に与えられ,一部は光となって放出される.この発光を利用する素子が発光ダイオードであり,発光機構がタングステン電球などと異なり,電気エネルギーを直接,光に変換する特徴がある.この再結合発光の際に,フォノンの吸収または放出を伴う間接遷移と,伴わない直接遷移とがあるが,これは結晶固有のもので,遷移確率の大きい直接遷移型のエネルギー構造をもつものが発光ダイオードとして有望である.これにはGaAs,GaSb,InAs,InSb,CdTeなどがある.しかし,間接遷移であるGaPではバンド間遷移を使わずに,NやZn-Oペアなどの不純物への束縛エキシトンを利用して,高効率の可視領域での発光ダイオードが得られる.また,GaAsやAlAsなどの混晶を用いたものでは発光波長のピークを適当にかえられる.光源として豆電球と比較すると,小型,機械的に堅ろう,消費電力がきわめて少ない,応答速度がきわめて速いなどの特徴がある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
LEDともいう。半導体中の電子と正孔対の再結合によって光を放出する固体発光素子。p-n接合の順方向に電流を加え,p側に電子,n側に正孔を少数キャリアとして注入し,その再結合によって放出されるエネルギーを利用する。小型で堅牢,低電圧,低電流で駆動でき,高輝度で応答性に優れているため,文字や数字あるいは公衆電話電源表示などの表示装置,低速やアナログ光通信用光源,カメラ自動機構や煙感知器などの各種センサー用光源あるいはフォトカプラーとして広く利用されている。表示用のものは,可視光で,しかも視感度の高い波長での発光が要求され,光通信用は伝送媒体の損失の少ない波長での発光が要求される。現在,赤外域から青色まで種々の波長で発光するものが作られている。発光ダイオードの材料としては,ガリウムヒ素GaAs,ガリウムリンGaP,ガリウムヒ素リンGaAsP,ガリウムアルミニウムヒ素GaAlAsが多く利用される。GaAs,GaAlAsは赤外域,赤で発光し,発光効率と応答時間のバランスがよいので光通信用光源,センサー用光源あるいはフォトカプラーに,GaPは赤と緑,GaAsPは赤,黄,橙で発光し,表示用に用いられている。青色用にはGaN,SiCなどが開発されており,今後いっそうの高輝度化が期待されている。
執筆者:島田 禎晋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
…光情報の表示方式からディスプレーデバイスを大別すると,自発光型(能動型)と光制御型(受動型)とに分かれる。自発光型の例としては,陰極線管の大部分,プラズマディスプレー,発光ダイオード,エレクトロルミネセンス素子など,光制御型としては,ライトバルブ用陰極線管,液晶,エレクトロクロミック素子などがある。また位置情報の表示には,ごく少数の文字・数字表示のものでは各文字を構成する素子それぞれに結線して制御信号を全並列に印加するが,ある程度以上文字数が多いときには,それらを順次切り替えて時分割に制御信号を加える。…
※「発光ダイオード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...