ある物事を表現するのに、別の物事を併記し、両者を「のような」「如(ごと)し」などの比較語によって結び合わせた修辞的表現。たとえば「蚊が鳴くような声」「広きこと海の如し」の類。古来、直喩は比較を明示しない隠喩と対(つい)にして説明されることが多い。アリストテレスは直喩を、長くつくられた隠喩と考え、またクインティリアヌスから近代のフォンタニエに至る古典的修辞学は、逆に短縮された直喩が隠喩だとした。いずれにせよ隠喩が省略的、感性的であるのに対して、直喩は論理的、説明的である。比較にどのようなものをあげるかによって、直喩は正確な描写にもなれば、誇張やユーモラスな表現にもなるが、直喩本来の修辞的効果とは、「葡萄(ぶどう)食ふ一語一語の如くにて」(中村草田男)にみられるように、意想外の類似性を発見して、それを生き生きと提示する点にある。
[村山康男]
『佐藤信夫著『レトリック感覚』(1978・講談社)』▽『中村明著『比喩表現辞典』(1977・角川書店)』▽『グループμ著、佐々木健一他訳『一般修辞学』(1981・大修館書店)』
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…〈転義〉は,後述するような隠喩,換喩,提喩,諷喩などを一括する総称であり,結果的には〈比喩〉ときわめて近い用語である。何かを何かになぞらえるという趣旨の〈比喩〉と,語の意味を転じてもちいるという趣旨の〈転義〉は,概念のなりたちは異なるけれど,実際にはほとんど同じ言語現象をさしているし,じっさい,現代日本語としての〈比喩〉もまた,たいていは直喩や隠喩,換喩などに分類されて説明される。しいていえば,直喩は語の意味を転ずるわけではないから,〈転義〉は直喩を含まないと見なされるばあいが多いのに対して,〈比喩〉はつねに直喩を含むものと考えられている,という点だけが微妙なちがいであろう。…
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