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精進料理 しょうじんりょうり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

精進料理
しょうじんりょうり

野菜,海草など植物性食品材料とした料理。精進とは,仏教用語で,美食を戒めて粗食をし精神修養をするという意味であったが,仏教では「不殺生戒」を第一とし肉類を用いないことを原則としているところから,肉類を使わない料理を精進料理というようになった。料理法は,主として禅宗の僧が平安・鎌倉時代に中国から修得してきたものがもとになっている。

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百科事典マイペディアの解説

精進料理【しょうじんりょうり】

鳥獣魚肉類を避け,野菜,穀類,海藻など植物性の材料を用いた料理で,仏教の精進の思想からきたもの。一般に仏事の際などにとられることが多い。献立の形式は本膳(ほんぜん)料理が基本であるが,懐石式に整えたり,卓を囲む形式の普茶(ふちゃ)料理などもある。
→関連項目卓袱

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典の解説

しょうじんりょうり【精進料理】

肉や魚など動物性食材を使わず、野菜、きのこ、豆腐油揚げ・ゆばなどの大豆から作った食材、ごま、など、植物性の食材だけを用いた料理。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうじんりょうり【精進料理】

鳥獣肉類や魚貝類などの動物性食品を避け,植物性の材料のみを用いてつくる料理。仏教語の精進はひたすら道を求めるという積極的,持続的な修善行為を内容とするが,これが日本の俗間では精進(しようじん∥そうじ),または精進潔斎と称して,ほぼ物忌と同義に用いられ,ある期間心身を慎み,酒肉を避けるといった消極的な止悪行為として受容された。そして,後には精進の期間に入る前には〈精進固め〉といって魚鳥などの動物性食品をとり,精進が終わると〈精進落し〉と称して魚鳥などを食べる風も生じた。

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大辞林 第三版の解説

しょうじんりょうり【精進料理】

肉・魚などを用いず、野菜・豆腐など植物性の材料で作る料理。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

精進料理
しょうじんりょうり

植物性の材料でつくる料理。精進料理の名称はサンスクリットのビルヤーナviryanaから出ている。このことばは精勤(しょうごん)の意である。精神修養をするときには、肉食などの美食を避けて粗食(植物性食品)に甘んじるのも修行の一つと考え、植物性の食物を精進料理というようになった。しかし、古くは植物性でない食物も、修養の目的に適合すると考えられるものは含まれている。釈迦(しゃか)が成道(じょうどう)のために山中で著しい粗食で過ごしたために、下山したときには極度に疲労し、栄養失調で倒れてしまったが、村娘が供養のためと考えて捧(ささ)げたのは醍醐味(だいごみ)であった。これは乳製品のギーのことといわれ、仏道五味のなかでは味のトップになっている。奈良朝の聖武(しょうむ)天皇は仏教に多大の関心をもち、東大寺の僧侶(そうりょ)の学問精進のために越前(えちぜん)(福井県)の「鮭(さけ)の庄(しょう)」を下賜した。このように目的は精進であるが、用いる食物はかならずしも精進物でないこともある。鎌倉時代には禅道が盛んになり、その簡素な生活のなかで独自の型の精進料理をつくりだしたのである。越前永平寺(えいへいじ)の開祖道元(どうげん)禅師は日本の曹洞宗(そうとうしゅう)の創祖でもあるが、その厳しい日常生活のなかの食事は、いわゆる日本の精進料理の原型であるともいえる。さらにこの料理は作り方に一段の進歩を加え、独特の料理として成長した。そして精進料理は、これをつくる専門技術をもつ者を輩出した。仏僧の料理作りの専門家を典坐(てんぞ)というが、なかには著しく技術の優秀な者が少なからずいた。[河野友美・多田鉄之助]

調理

精進料理は材料が淡泊であるから、その味を向上させるためには、だしにかつお節を用いてもよいとしたこともあるが、原則としては植物性のものだけとなっているために、主たる調味源としてはシイタケ、昆布を用いている。ごま油、卵は用いてよいものとされ、酒も重要な調味料とされている。酒のもつうま味、コハク酸の味を利用しようと考えるためであろう。みりんができたのは江戸後期とみられているが、これも利用されている。1643年(寛永20)刊の『料理物語』は江戸初期の料理書であるが、そのなかに「だし酒は、かつおに塩ちと入れ、新酒にて一あわ二あわせんじ、こしさましてよし」「精進のだしはかんぴょう、昆布(焼きても入れる)、干したで、糯米(もちごめ)(袋に入れる)、干しかぶら、干しだいこん右の中取合せてよし」と精進料理のだしについての解説がある。また古い時代の調味料としては、煎酒(いりざけ)があった。これはかつお節、梅干し、古酒に溜(たまり)と水を少々加えて沸かし、3分の1くらいに煮つめたものを用いるが、その応用としての精進の煎酒は、豆腐を田楽(でんがく)くらいの大きさに切り、火にかざし、梅干し、干しかぶらなどを加えてもよいし、酒にしょうゆ少々を加えただけでよいと記してある。
 中世以降、寺院において研究してつくられている精進料理の一部は、中国渡来の調理法や材料、加工品などが大きく影響している。京都は平安朝の首都であるから、料理も最高のものを望んだのだが、海から遠く離れているのでタンパク質源を魚貝類から重点的にとることができず、植物性の材料に依存するのが当然で、それにはダイズを主材にした加工品が多く用いられている。豆腐、凍り豆腐、納豆、湯葉、また小麦粉を主材にした麩(ふ)などの製造技術が進んだ。これらは植物性タンパク質源として重要なものであり、かつ保存食品でもある。また精進料理の主材であり、ほかの食品に加えて新しい味の創造にも大きな役目をもっており、和(あ)え物などにも用いられる。たとえば、納豆和え、豆腐を用いての白和えなど古くからつくられている。豆腐はさらに加工して油揚げ、生(なま)揚げ、飛竜頭(ひりゅうず)(関東ではがんもどき)などにすると、植物性の脂肪も含んでいるので栄養価も高い。元来納豆の作り方は中国渡来のものであるが、日本のダイズは納豆作りに好適で味も優れている。これが著しく進展したのは鎌倉時代で、その種類も、乾いている系統の大福寺納豆(浜納豆)、糸引納豆(江戸納豆)、また材料と作り方の多少異なる大徳寺納豆もある。
 一方、日本に入ってきた中国風精進料理は、黄檗山(おうばくさん)万福寺(まんぷくじ)の開祖である隠元(いんげん)禅師が江戸時代に伝えたものである。この山(寺)の山主は代々中国の帰化僧で、料理も中国のものが伝えられ、その料理はいまでも、黄檗の普茶(ふちゃ)料理として知られている。本来、中国の精進料理は植物性材料を用いても一見動物の形態、ものによっては味までそれに似たものをつくりだすのが特色である。鶏の焼いたり煮たりした形、コイの丸揚げらしくつくったものなどがある。日本の普茶料理にもこの技法は取り入れられ、とり団子、ウナギの蒲焼(かばや)き、マグロの刺身などの擬製料理もみられる。日本では、ナスのしぎ焼き、こんにゃくのすっぽん煮のように動物性の名称を用いた精進料理もある。[河野友美・多田鉄之助]
『仏教料理研究会編『精進料理大事典』1~5(1983・雄山閣) ▽藤井宗哲著『精進料理辞典』(1985・東京堂出版) ▽阿部慈園編『精進料理入門――心と体を癒すほとけの智慧』(1998・大法輪閣) ▽黄檗山万福寺監修・田谷昌弘調理『万福寺の普茶料理』(2004・学習研究社) ▽大本山永平寺監修、高梨尚之調理・執筆『永平寺の心と精進料理』(2004・学習研究社) ▽高野山真言宗総本山金剛峯寺監修『高野山の精進料理』(2005・学習研究社) ▽大本山建長寺監修『建長寺と鎌倉の精進料理』(2005・学習研究社) ▽定額山善光寺監修『善光寺と宿坊の精進料理』(2005・学習研究社)』

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