(読み)イバラ

デジタル大辞泉 「茨」の意味・読み・例文・類語

いばら【茨/×荊/×棘】

バラカラタチなど、とげのある低木総称荊棘けいきょく
人里近くに多いバラ科バラ属の低木の総称。ノイバラヤマイバラヤブイバラなど。 花=夏 実=秋》「―さくや根岸の里の貸本屋子規
植物のとげ。
身に受ける苦難のたとえ。「―の人生」
唐破風からはふなどで、下部曲線がとげ状の突起となっている所。
[類語](1薔薇野茨野薔薇花茨蔓薔薇/(4苦難苦痛試練四苦八苦七転八倒苦しみ

むばら【茨】

うばら」に同じ。
いはほの苔むし―ひかかりたるなりけり」〈今昔・一三・一二〉

し【茨】[漢字項目]

[音]シ(漢) [訓]いばら うばら
学習漢字]4年
かや。かやぶき。「茅茨ぼうし

うばら【茨/荊棘】

とげのある植物のこと。いばら
ノイバラ別名 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「茨」の意味・読み・例文・類語

いばら【茨・荊・棘】

  1. 〘 名詞 〙
  2. とげのある低木類の総称。カラタチ、バラなど、多くやぶのように茂るものについていう。いばらぐさ。〔文明本節用集(室町中)〕
  3. 植物のとげ。はり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. ( 薔薇とも ) バラ科バラ属の総称。一般に、茎には鋭いとげがあり、葉は奇数羽状複葉である。花は五弁または八重で美しく、芳香がある。観賞用として栽培されるものも多いが、特にノイバラをさすこともある。ばら。うばら。うまら。のいばら。のばら。《 季語・夏 》

▼いばらの実《 季語・秋 》

  1. [初出の実例]「子は裸父はててれで早苗舟〈利牛〉 岸のいばらの真っ白に咲〈野坡〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)上)
  2. 苦難、苦痛などのたとえにいう。
    1. [初出の実例]「覚醒に憤る不眠症の荊棘(イバラ)。睡眠の高き壁に蠢く悪魔が夜宴の大壁書」(出典:珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉奢侈)
  3. 建築で、唐破風(からはふ)などで、弧線が集まって生じた角点。
  4. はしじょろう(端女郎)」の異称。
    1. [初出の実例]「まづつぼね女郎といふははし女郎をいひます。〈略〉是も松、梅、桐になぞらへ、いばらといひますげな」(出典:評判記・難波鉦(1680)三)

うばら【茨】

  1. 〘 名詞 〙 ( 平安時代には「むばら」と表記されたが「うばら」の方が古い )
  2. とげのある小木の総称。いばら。うまら。おまら。
    1. [初出の実例]「枳(からたち)の棘原(うばら)刈り除(そ)け倉立てむ屎(くそ)遠くまれ櫛造る刀自」(出典:万葉集(8C後)一六・三八三二)
    2. 「むばらからたちにかかりて家に来てうちふせり」(出典:伊勢物語(10C前)六三)
  3. 「のいばら(野茨)」の異名。《 季語・夏 》 〔本草和名(918頃)〕

うまら【茨】

  1. 〘 名詞 〙うばら(茨)
    1. [初出の実例]「道のへの宇万良(ウマラ)の末(うれ)に這(は)ほ豆のからまる君をはかれか行かむ」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三五二)

むばら【茨・荊】

  1. 〘 名詞 〙うばら(茨)

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普及版 字通 「茨」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

(旧字)
10画

[字音]
[字訓] いばら・くさぶき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(次)(じ)。〔説文〕一下に「もて屋を蓋(おほ)ふ」(段注本)、〔釈名、釈宮室〕に「屋、を以て蓋ふを茨と曰ふ。茨はなり。此の(つい)でて之れを爲すなり」とみえる。〔広雅、釈詁一、二、三〕にそれぞれ「積むなり」「ふなり」「聚むるなり」の訓がある。

[訓義]
1. いばら、うばら。
2. かやなどで屋根をく。くさぶき、かやぶき。
3. と通じ、はまびし。
4. つむ、おおう、あつめる。
5. と通じ、土をつんでみたす。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕茨 水不々(みづふふき) 〔名義抄〕茨 フク・ムバラ 〔字鏡集〕茨 カヤ・チ・クヒ・ムバラ

[熟語]
茨宇・茨簷・茨蓋・茨・茨棘・茨・茨牆・茨草・茨門
[下接語]
棘茨・茨・牆茨・楚茨・茨・茅茨・籬茨

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「茨」の解説

茨 (ハマビシ)

学名Tribulus terrestris
植物。ハマビシ科一年草,薬用植物

茨 (イバラ・ウバラ;ウマラ;ムバラ)

植物。有刺植物およびバラ科バラ属の蔓性または直立低木の総称。バラの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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