(読み)セビ

デジタル大辞泉の解説

せび【×蝉】

せみ」に同じ。〈新撰字鏡

せみ【×蝉】

半翅(はんし)目セミ科の昆虫の総称。翅(はね)は膜質で透明。頭部は三角形で両側に複眼、その間に単眼が3個あり、管状の口吻(こうふん)をもち、樹液を吸う。雄は腹部に発音器をもち、樹幹などで鳴く。幼虫は地中で木の根の汁を吸って育ち、数年ののち地上に出て成虫になる。日本にはアブラゼミニイニイゼミヒグラシクマゼミミンミンゼミツクツクボウシなど32種が知られる。 夏》「閑(しづ)かさや岩にしみ入る―の声/芭蕉
帆柱の上端または長いさおの先などにつけて、綱を掛けて、高い所に物を引き上げるのに用いる小さい滑車。せみぐち。せみもと。
雅楽に使う横笛の部分の名。吹き口と頭(かしら)の中間の背面を約1センチ切り取って蝉形の木片をはめこんだもの。

せん【蝉】[漢字項目]

人名用漢字] [音]セン(漢) [訓]せみ
〈セン〉
昆虫の名。セミ。「蝉蛻(せんぜい)寒蝉秋蝉
連なって美しい。「蝉鬢(せんびん)
〈せみ(ぜみ)〉「蝉時雨(せみしぐれ)油蝉
[補説]人名用漢字表(戸籍法)の字体は「蟬」。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

せび【蝉】

〘名〙
① =せみ(蝉)(一)①
※新撰字鏡(898‐901頃)「蝉 蜩 世比」
② =せみ(蝉)(一)②
※関船極儀巻物「せび之事 但櫓拾丁に付七分入りん懸」

せみ【蝉】

[1] 〘名〙
① カメムシ(半翅)目セミ科に属する昆虫の総称。体はやや紡錘形で、頭部が太い。体長は翅端まで含めて二~七センチメートル。はねは二対あり、透明または不透明の膜質で、飛ぶのに適する。とまるときははねを屋根形にたたむ。複眼は頭部の左右にはなれ、その間に三個の単眼をそなえる。触角は糸状で短く、あしは三対。口は長い管状で、樹木にさしこんで養分を吸収する。雄は腹部基部にある発音器で鳴く。鳴き声によっても種類が区別できる。雌は樹皮などに産卵。幼虫は土中で木の根の養分を吸って生活し、ふつう六、七年かかって成虫になる。ハルゼミ・ニイニイゼミ・アブラゼミ・ミンミンゼミ・クマゼミ・ヒグラシ・ツクツクホウシなど日本には約三二種が分布する。せび。《季・夏》
※万葉(8C後)一五・三六一七「石走る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)立石寺「閑さや岩にしみ入蝉の声」
② 高所に物を引き上げるのに使われる小さい滑車。建築・土木・帆船などで用いられる。特に、和船では帆を上下する身縄をこれに通して作業を容易にする。大型船では身縄の元を船内のロクロで巻き、帆の上下以外に、碇・舵・伝馬船・荷物など重量物のあげおろしにも使う。蝉本(せみもと)。せび。
※皇太神宮年中行事(1192)贄海神事歌「我がや漕ぐ 一の帆筒の 瀬美(セミ)の上に 寿を千歳と云ふ 花の咲いたる」
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二「滑車とは俗に所謂『セミ』是なり、之に死活の別あり」
③ 横笛(おうてき)の部分の名。吹口と頭端との中間背面を三分ばかり(約一センチメートル)切り除いて、蝉形の木でふさいだもの。
※楽家録(1690)一二「諸笛施蝉者也」
④ 弓の大的のうちの名所(などころ)。蝉形をした的付(まとつけ)の管で、的の三か所に付け、緒を通して的串(まとぐし)にかけるのに用いる。
※弓馬問答(15C初か)「蝉の事寸法一寸八分也」
⑤ 日本の旧陸軍内務班での私的制裁の一つ。柱につかまって蝉のなきまねをすること。
※真空地帯(1952)〈野間宏〉一五「おかあさん…また、今日も蝉(セミ)、せみです」
[2] 狂言。舞狂言。和泉流。行脚の僧が、烏に殺された蝉をあわれんで、人々がたむけたという松につけた短冊を前に回向をしていると蝉の亡魂が現われ、最期のさまを語る。古くは、大蔵流および鷺流にも見られる。
[補注]「せみ」は、一説には「蝉」の字音の転じたものといい、一説には擬音によるという。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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