覇者(読み)ハシャ

デジタル大辞泉 「覇者」の意味・読み・例文・類語

は‐しゃ【覇者】

徳によらず、覇道によって天下を治める者。特に中国春秋時代王室を守って夷狄いてきを退け(尊王攘夷)、諸国同盟中心となった者。桓公文公など。→覇道
競技などで優勝した者。「マラソン大会の覇者
[類語]勝者

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精選版 日本国語大辞典 「覇者」の意味・読み・例文・類語

は‐しゃ【覇者】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 覇道をもって天下を治める者。徳によらず武力権力で天下を治める者。特に、中国春秋時代諸侯で武力・政治力にすぐれ、他の諸侯に対して支配権をもった者。斉の桓公・晉の文公など。覇主。⇔王者(おうしゃ)
    1. [初出の実例]「晉楚斉秦を平げ、覇者(ハシャ)盟主と成しかば」(出典太平記(14C後)四)
    2. [その他の文献]〔孟子‐尽心・上〕
  3. 競技などの優勝者。

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百科事典マイペディア 「覇者」の意味・わかりやすい解説

覇者【はしゃ】

中国,春秋時代(春秋戦国時代)の諸侯を統率したもの。周の王室の実権が衰弱して異民族の侵入が激しくなったので,周王を推戴して諸侯を率い,異民族の侵入を撃退しようとした諸侯の有力者。〈春秋の五覇〉とも。桓(かん)公文公の荘王・闔閭(こうりょ)・句践(こうせん)のほか,宋の襄公・秦の穆(ぼく)公を加える説もある。
→関連項目管仲

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普及版 字通 「覇者」の読み・字形・画数・意味

【覇者】はしや

諸侯のはたがしら。〔孟子、公孫丑上〕力を以て仁を假(か)るなり。は必ず大國(たも)つ。を以て仁に行ふは王なり。王は大なるを待たず。

字通「覇」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「覇者」の意味・わかりやすい解説

覇者
はしゃ

中国、春秋時代の中・後期に、諸国の同盟の中心となり、諸国を従えて、周王からその地位を認められた諸侯をいう。斉(せい)の桓公(かんこう)が紀元前651年、葵丘(ききゅう)(現河南省商丘市の西)での諸侯との会盟(かいめい)でその地位を得たのに始まる。指定された期日と場所に参集した諸侯(代理人もあり)のうちで、牛耳(ぎゅうじ)をとるよう決められた者が盟長=覇者となり、いけにえの血を盟長から順次すすり、盟誓の約文をつくる。桓公ののちも晋(しん)の文公、楚(そ)の荘(そう)王、呉(ご)王の闔閭(こうりょ)、越(えつ)王の勾践(こうせん)が覇者となり、これらを春秋五覇という(呉、越のかわりに秦(しん)の穆公(ぼくこう)、宋(そう)の襄公(じょうこう)を入れる説、楚のかわりに呉王の夫差(ふさ)を入れる説もある)。

[太田幸男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「覇者」の意味・わかりやすい解説

覇者
はしゃ
ba-zhe; pa-chê

中国,春秋時代に活躍した諸侯たちの指導者。本来は伯者 (はくしゃ) と書かれた。春秋時代に入って周の王の権威が低下し,諸侯を統合する力がなくなったので,代って諸侯を集めて盟約を結び指導者となったものをいうが,やがて武力によって諸侯を支配する者をさすようになった。斉の桓公,晋の文公,秦の穆公,宋の襄公,楚の荘王らを春秋五覇といい,特に有名。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「覇者」の解説

覇者(はしゃ)

覇とは強権によって長となった者の意。周の権威が衰えた春秋時代に,有力諸侯で,夷狄(いてき)を退けて王室を守り(尊王攘夷(そんのうじょうい)),諸侯の同盟を指導して秩序を維持した者を呼ぶ。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「覇者」の解説

覇者
はしゃ

中国春秋時代の諸侯の統率者
周王室の権威が衰え,諸侯の争いが続いた時代に,周王の意を受けて内乱をしずめ,異民族の侵入を撃退しようとした。これを尊王攘夷という。春秋の五覇によって代表される。勝利者の意に使うこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の覇者の言及

【春秋戦国時代】より

…諸侯の再興や会盟は本来は周王の任務であり権利であったが,この時期の周王にはその力がなく,有力な諸侯が王にかわって行った。この有力諸侯を覇者とよぶ。桓公は第一の覇者であり,以後歴史は覇者を中心として動く。…

※「覇者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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