運ぶ(読み)ハコブ

デジタル大辞泉 「運ぶ」の意味・読み・例文・類語

はこ・ぶ【運ぶ】

[動バ五(四)]
物や人をある場所から他の場所へ移す。移動させる。「荷物を―・ぶ」「けが人を救急車で―・ぶ」
(「足をはこぶ」などの形で)ある場所まで出向く。目的地に行く。「せっせと足を―・ぶ」「を―・ぶ」
(「おはこびになる」「おはこびくださる」などの形で)「来る」「行く」の尊敬語。「ようこそお―・びくださいました」
物事を予定した段取りにしたがって進める。「事をうまく―・ぶ」「会議を―・ぶ」
その物を用いてする動作を進める。「筆を―・ぶ」「箸を―・ぶ」
物事がとどこおらずに進む。進捗しんちょくする。はかどる。「交渉が円滑に―・ぶ」「仕事がうまく―・ぶ」
[可能]はこべる
[類語](1運搬する運送する輸送する搬送する移送する配送する郵送する・通運運輸配達宅配発送逓送陸運海運水運空輸/(4取り運ぶ進める・持っていく/(6進むはかど進捗しんちょくする進行する進展するはかが行く軌道に乗る波に乗る流れに棹差すエンジンが掛かる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「運ぶ」の意味・読み・例文・類語

はこ・ぶ【運】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 バ五(四) 〙
    1. 物事が滞らないで進展する。はかどる。進捗する。
      1. [初出の実例]「非常の処置を做ずんば決して事は運(ハコ)びがたし」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉五)
    2. 心などがそちらに向かう。寄りつく。
      1. [初出の実例]「大寺の池の蓮の花ざかりはこふ心にたむけてぞ見る」(出典:広本拾玉集(1346)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 バ五(四) 〙
    1. 持ったり、載せたりして、物を他の場所へ移し送る。運送する。伝達する。
      1. [初出の実例]「かの院よりも、御調度などはこばる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    2. 足などを移し進める。あるかせる。
      1. [初出の実例]「あかぬ余波(なごり)をとどめて歩を運ぶ」(出典:海道記(1223頃)序)
    3. 書いたり縫ったりするために筆や針をうごかし進める。
      1. [初出の実例]「母は針をはこびながら」(出典:銀の匙(1913‐15)〈中勘助〉前)
    4. 物事を推し進める。どんどんはかどらせる。進捗させる。
      1. [初出の実例]「相ひ与(とも)に謀議して諸の籌と策とを運(ハコ)びて」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)二)
    5. そちらに心を向ける。心をよせる。
      1. [初出の実例]「ヒトニ ココロザシヲ facobu(ハコブ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    6. 謡曲で、少しずつ調子に乗って速く謡う。〔わらんべ草(1660)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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