金峰神社(読み)キンブジンジャ

デジタル大辞泉 「金峰神社」の意味・読み・例文・類語

きんぶ‐じんじゃ【金峰神社】

奈良県吉野郡吉野町にある神社。祭神は金山毘古命かなやまびこのみこと。中世修験道とともに栄えた。鉱山の守護神。平成16年(2004)「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産文化遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「金峰神社」の意味・読み・例文・類語

きんぶ‐じんじゃ【金峰神社】

  1. [ 一 ] 奈良県吉野郡吉野町にある神社。旧郷社。祭神は金山毘古命(かなやまびこのみこと)。野山の地主神、金鉱の守護神として信仰される。社宝の金銅藤原道長経筒は国宝。蔵王権現。かねのみたけ神社。金精(こんしょう)明神。愛染の宮。
  2. [ 二 ] 新潟県長岡市西蔵王にある神社。祭神は金山毘古命(かなやまびこのみこと)。和銅二年(七〇九)北国鎮護のため大和国(奈良県)金峰神社を勧請(かんじょう)。蔵王さま。蔵王権現。

きんぽう‐じんじゃ【金峰神社】

  1. 山形県鶴岡市青龍寺にある神社。旧県社。祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと)少彦名命(すくなひこなのみこと)ほか二柱。天智天皇一〇年(六七一役小角(えんのおづの)の草創と伝えられ、大同年間(八〇六‐八一〇)本殿を創建。江戸時代、藩主酒井氏の祈願所となる。きんぼうじんじゃ。

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日本歴史地名大系 「金峰神社」の解説

金峰神社
きんぷじんじや

[現在地名]長岡市西蔵王三丁目

市街地の北部、信濃川右岸沿いの蔵王堂ざおうどう城跡にある。祭神金山彦命。明治維新の神仏分離により現社名・祭神となったが、以前は蔵王権現を祀り、蔵王堂・蔵王権現堂と称し、現在でも蔵王様とよばれる。本堂は城跡東の二ノ丸の位置にあり、別当安禅あんぜん寺が西の本丸の位置にある。本堂は正面南向きで、参道が南に延びる。参道入口はかき川右岸にあり、かつて蔵王渡がここにあった。参道をまたいで前殿・仁王門・石の鳥居・木の朱の鳥居、仁王門東側に鐘楼堂、本堂西の背後に奥院社がある。本丸跡南の土塁上に山王社、本堂との間の堀の中には弁天社があった。社地一帯はもと信濃川とふる川が合流し、又倉またぐら(俣倉)とよばれていた。当地への勧請について栃尾の秋葉権現とともに楡原にればら岩野原いわのはら(現栃尾市)の蔵王山から勧請されたという所伝がある。栃尾郷谷地やちの曹洞宗常安じようあん寺に伝える寛保三年(一七四三)の口上之覚の常安寺秋葉三尺坊権現御鎮座之事によると、和銅元年(七〇八)蔵王大権現が和州吉野よしの金峰山より出現し、御宮を建立し、坊宇一二坊と社家六軒を造立。延暦年中(七八二―八〇六)に一二坊のうち三尺坊が衆生済度の志願によって蔵王権現の宝前で百ヵ日の断食を行い、飛行自在の神道を得て秋葉三尺坊権現として出現したと伝える。おそらく楡原の蔵王堂や三尺坊は、同地方の修験道場の中心として繁栄したと思われる。当社奥院にもかつて秋葉権現(現在山王社に合祀)が祀られていたので、楡原の蔵王堂の祭祀形態を受継いだものとも考えられる。

現福島県耶麻やま郡西会津町真福しんぷく寺所蔵大般若経の裏打に、正平八年(一三五三)七月四日付「越後国蔵王堂」交付の納経請取状がある。廻国の六部聖が全国の霊験所に経典六六部を納めたうちの一部を蔵王堂に奉納し、別当と思われる権律師相覚より請取状を得、さらに旅を続けたものと思われる。安禅寺参道右側には頼朝の塔と称される宝篋印塔の形式をもった石塔があり、蓋と基礎上段石は鎌倉末から南北朝前期頃の製作と推定されている。


金峰神社
かなみねじんじや

[現在地名]峰山町字吉原

さくら山にある。もとは吉原よしわら(通称権現山)山頂に鎮座していたが、昭和五年(一九三〇)吉原山に分霊を残して奥宮とし、現在地に移った。祭神金山彦命。旧村社。江戸時代には蔵王ざおう権現と称し、増長ぞうちよう院が別当寺であった。

草創についてはつまびらかでないが、増長院住持増信の筆録した覚書(増長院蔵)に、

<資料は省略されています>

とある。しかし同じ覚書の別の個所では「権現様吉原殿城主の時迄ハ只今の所ニ御座候処社ハ古来より只今ノ所ニ在之由(異本)、細川玄蕃殿御代幾野内境おぜか尾へ御引被成候由、玄蕃殿御所替以後無程近在の者只今の所へ移申候由」と記しており、矛盾している。


金峰神社
かねみねじんじや

[現在地名]大豊町葛原 城山

吉野川北岸、字城山しろやまに鎮座。祭神は安閑天皇。相殿は八坂神社。旧郷社で、木能津きのうづ古田ふるた助藤すけとう下関しもぜき上関かみぜき(現本山町)小川おがわすぎ高須たかず日浦ひうら穴内あなない和田わだ磯谷いそだに尾生おうたに敷岩しきのいわ川口かわぐち津家つげ葛原かずらわらの総鎮守であったといわれる。古くは蔵王ざおう権現と称し、大和の吉野金峯きんぶ山にある蔵王堂から勧請したと伝えるが、その詳細は不詳。


金峰神社
きんぷじんじや

[現在地名]黒川村蔵王

高坪たかつぼ(五七〇・五メートル)から西に派生する稜線先端に鎮座する。現在の社地は大正一二年(一九二三)三月に移したもので、それまでは通称蔵王山の釈迦しやかヶ嶽(約四六〇メートル)に鎮座していた。古くは蔵王堂または蔵王権現堂とよばれ、旧社地も現在蔵王権現堂跡と称される。創建の時期は不明。縁起によれば、文武天皇の頃とも天智天皇の頃とも伝えられる。


金峰神社
かねみねじんじや

[現在地名]美濃市片知 猿洞

片知かたぢ谷中央の本郷に、杉の巨木に囲まれて鎮座する。祭神は高賀山蔵王権現。「濃陽志略」に権現祠とみえ、「濃州徇行記」に「蔵王権現社本郷にあり」とある。明治初年の神社明細帳(県立歴史資料館蔵)は祭神を大己貴命とし、「古老の口碑に憑れば、天暦元年の創立にして、藤原高光本国郡上郡瓢ヶ嶽の凶賊平定の后、本社を斎鎮せし由を伝ふれども、未だ確然の証跡を得ず」とする。近世には高賀こうか山信仰の「六社めぐり」の一社で、蔵王権現として信仰され、明治初年に現名に改称。蔵王信仰、つまり大峯山信仰の中心である大和吉野の金峯よしののきんぶ神社(現奈良県吉野郡吉野町)にちなんだとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金峰神社」の意味・わかりやすい解説

金峰神社
きんぶじんじゃ

奈良県吉野町吉野山に鎮座。「かねのみたけ神社」ともいい,「きんぼう」とも読む。元郷社。祭神はカナヤマヒコノミコト。金鉱の守護神。例祭 10月 16,17日。『金銅藤原道長経筒』 (国宝) を所蔵する。

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世界大百科事典(旧版)内の金峰神社の言及

【金峰山】より

…標高459m。山頂には吉野の金峰山(きんぷせん)から蔵王権現の分霊をまつったといわれる金峰神社がある。庄内藩主酒井氏も祈願所として崇敬するとともに,近世までは女人禁制の山で金峰蔵王権現の修験道の霊山として栄え,出羽三山の行者の参詣も多かった。…

※「金峰神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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