長慶寺(読み)ちようけいじ

日本歴史地名大系 「長慶寺」の解説

長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]藤枝市下之郷

花倉はなぐら川左岸の丘陵麓にある。大楊山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は釈迦如来。「駿河記」は開基を駿河守護今川泰範、法名長慶寺殿太山仲高大禅定門とするが、泰範の入道名は法高で、仲高は泰範の叔父仲秋の入道名である。弘治二年(一五五六)一一月二九日の今川義元判物(長慶寺文書)に「太年尼長老開基之地也、依為先祖之菩提所、先師太原和尚再興」とあり、太年尼長老が開基で雪斎太原崇孚(駿府臨済寺二世)中興開山であった。太年尼について「駿河記」は雪斎の姉とするが史料的裏づけがなく、もし太年尼が雪斎の姉であるとすると当寺の創建は戦国期となり、寺伝と矛盾する。当寺の寺名が今川泰範の法名長慶寺殿に由来することは間違いないであろう。泰範は応永一六年(一四〇九)九月二六日の死去とされ(今川記)、京都南禅寺八七世大周周の語録「三周集」に「為太山禅定門拈香長慶寺殿」が収められている。


長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]守山区小幡

北屋敷きたやしきにある。栄松山と号し、臨済宗東福寺派。本尊聖観音菩薩。山田次郎正親が寛元二年(一二四四)に没した兄兼継の菩提を弔うために建立したもので、もとは長兄ちようけい寺と号したという。長兄は敬称であるとともに「弔兄」の意でもあろう。当初は長母ちようぼ(現東区)寿昌じゆしよう(現大永寺)と同じく天台宗であったと考えられる。一説には正親の祖父重忠の建立ともいう。したがって、当寺の開山と伝えられる南山士雲(建武二年没)は中興であろう。文明(一四六九―八七)頃の禅僧万里集九の「梅花無尽蔵」に

<資料は省略されています>

とある。定光寺祠堂帳(定光寺蔵)に「申歳ヨリ可引十弐俵長慶寺怪峰宏蔵禅師聯虎取次」とみえる。


長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]熊谷市中奈良

奈良なら神社の北隣に位置する。高野山真言宗、摩尼山熊山院南之坊と号し、本尊は地蔵菩薩。草創年時不明であるが、慶安(一六四八―五二)以前は上奈良かみなら村に東之ひがしの坊・西之坊があったので、南之坊はこれらに対しての呼称という(風土記稿)。戦国期、熊野社(奈良神社)別当寺であった本山派修験円蔵えんぞう坊は、天正七年(一五七九)三月一一日に幡羅はら郡とおし(現行田市)の成田氏領分の熊野参詣以下の先達職を安堵されている(「聖護院門跡御教書」長慶寺文書)。のち京都聖護しようご院門跡に追放されて退転するが、慶長三年(一五九八)元空が再興の許可を得た(「聖護院門跡御教書」黒田家文書)。その後、円蔵坊は榛沢はんざわ黒田くろだ(現花園町)に移転して万光まんこう寺と改称(同一四年五月「聖護院門跡御教書」同文書)


長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]昭和村糸井

片品かたしな川東岸の河岸段丘上に位置。所在地の字名を盆貝戸ぼんがいとといい、周りを上内出かみうちで・南内出・中内出と内出の地名に囲まれ、中内出には御堂みどうとよばれる所がある。曹洞宗、井宝山と号し本尊阿弥陀如来。当寺住持英叟が宝永四年(一七〇七)に記した長慶寺惣与本縁起(「群馬県史料集」所収)によると、文禄(一五九二―九六)頃沼田舒林じよりん寺の独翁祐存が開山となって創建したといい、もと当地には阿弥陀堂があり、正応二年(一二八九)、永仁三年(一二九五)、文保元年(一三一七)、元徳元年(一三二九)、貞治二年(一三六三)板碑があったと記す。


長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]福井市西木田二丁目

近世の福井城下木田東きだひがし町の北側にあたる。浄土真宗本願寺派、本尊阿弥陀如来。今庄いまじよう(現福井県今庄町)池田いけだ(現同県池田町)山中やまなか(現石川県山中町)などの木地師集団を門徒としており、一向一揆の時には越前・加賀・美濃の山岳地帯の木地師を統率して活躍したと考えられる。「朝倉始末記」心月寺本によると、天正三年(一五七五)八月、織田信長の一揆狩で当寺の祖と考えられる木田妙円が処刑されているが、同一九年の本覚寺末寺帳(本願寺文書)に「キダノ明円」がみえる。


長慶寺
ちようけいじ

[現在地名]泉南市信達市場

信達市場しんだちいちばの北東端部にある海営宮かいごう池から南に連なる丘陵西側中腹にある。真言宗御室派、金泉山と号し、本尊は如意輪観音。当寺はもと海営宮池の北、現在の一丘いちおか神社の地にあった海会かいえ寺の一院で、海営宮池中島の観音堂であったという。海会寺は神亀元年(七二四)聖武天皇の勅命によって行基が創建したと伝え、永延二年(九八八)堂宇が焼失、長徳三年(九九七)再興されたという。天正五年(一五七七)織田信長の雑賀攻めの時、その兵火にかかり再び焼失した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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