(読み)カク

デジタル大辞泉 「隔」の意味・読み・例文・類語

かく【隔】[漢字項目]

常用漢字] [音]カク(漢) [訓]へだてる へだたる
間に何かをおく。へだてる。へだたり。「隔世隔絶隔壁隔離隔靴掻痒かっかそうよう遠隔間隔懸隔
心理的に分けへだてる。「隔意疎隔
継続する時間単位を一つだけとばすこと。「隔月隔日隔週隔年
(「」の代用字)胸と腹の間。「横隔膜

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精選版 日本国語大辞典 「隔」の意味・読み・例文・類語

へだて【隔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「へだてる(隔)」の連用形名詞化 )
  2. へだてること。二つの物や場所の間にあって、それらをさえぎること。さかいをすること。また、そのもの。しきり。
    1. [初出の実例]「重波(しきなみ)の寄する浜辺高山を 部立(へだて)に置きて」(出典万葉集(8C後)一三・三三三九)
    2. 「清涼殿の丑寅のすみの、北のへだてなる御障子は」(出典:枕草子(10C終)二三)
  3. 間にあって邪魔をすること。障害。
    1. [初出の実例]「東宮におはしましける時、世のへだて多くおはしましければ」(出典:今鏡(1170)二)
  4. 時間的に離れていること。間があくこと。
    1. [初出の実例]「一夜ばかりのへだてだにまた珍しさまさりて覚え給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
  5. あれとこれとに分けること。区別。また、わけへだてをすること。差別。
    1. [初出の実例]「此文をきく時は、法華もみだもへだてはあらじ」(出典:虎明本狂言・宗論(室町末‐近世初))
  6. 気持のうえで、他との間に距離や壁をつくること。うちとけないこと。また、仲の悪いこと。
    1. [初出の実例]「かばかりにて、へだてあらむも、事のさまに違ひたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)

へだたり【隔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「へだたる(隔)」の連用形の名詞化 )
  2. 空間的、時間的に距離があることやその度合。また、物事の間に差があることやその度合。懸隔。相違
    1. [初出の実例]「浄土と穢土との隔(ヘタタリ)は何ぞ」(出典:東大寺諷誦文平安初期点(830頃))
  3. 気持の上で他と距離が生じること。親しみがうすれること。うちとけないこと。
    1. [初出の実例]「へだたり多くあやしきが、うつつの心地もし給はねば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)

へだし【隔】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「へだち(隔)」に当たる上代東国方言 ) 仕切り。
    1. [初出の実例]「水門の葦が中なる玉小菅刈り来わが背子床の敝太思(ヘダシ)に」(出典:万葉集(8C後)一四・三四四五)
  3. 床の下に敷くもの。
    1. [初出の実例]「辺土の田舎にて、床の下敷のへだしといふ〈略〉床の隔ち也といへどさだめがたし」(出典:俗語考(1841)床のへだし)

へだち【隔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「へだつ(隔)[ 一 ]」の連用形の名詞化 ) =へだたり(隔)

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普及版 字通 「隔」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
13画

[字音] カク
[字訓] へだてる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は鬲(れき)。〔説文〕に収める鬲声八字のうち、は隔と同声。来母の字にk・l二系の音をもつものが多い。〔説文〕十四下に「なり」、次条に「なり」とあって互訓。(ふ)は神の陟降するところ。そこでの隔離儀礼を示す字で、聖所に鬲をおいて境界としたのであろう。鬲よりそそぐを(かんれい)といい、礼(かんれい)に用いる。周初の麦氏諸器に「麥の宮に(くわん)す」「侯の出入にせん」とあり、聖所への出入にの儀礼をした。そのようにして聖俗を分かつことを隔という。

[訓義]
1. へだてる、へだたる、へだたり、さえぎる、はなれる。
2. しきる、かくす、おおう。
3. とおざける、うとんずる、わける。

[古辞書の訓]
名義抄 ヘダツ・トドム・カクル・サフ・フサグ・ウツ

[語系]
・膈kekは同声。膈は胸膈、いわゆる横膈膜。〔釈名、釈形態〕に「は塞なり」、また〔文選、西京の賦、注〕に引く〔説文〕も「塞なり」とする。塞は呪具の工を以て神霊を塡塞する意で、また一種の隔離儀礼である。

[熟語]
隔異・隔意・隔越・隔遠・隔・隔礙・隔闊・隔眼・隔月・隔在・隔是・隔日・隔宿・隔牆・隔心・隔水・隔世・隔生・隔截・隔絶・隔窓・隔塞・隔断・隔帳・隔年・隔箔・隔閉・隔・隔壁・隔別・隔夜・隔離・隔
[下接語]
雲隔・永隔・乖隔・廻隔・間隔・関隔・県隔・狷隔・懸隔・限隔・歳隔・心隔・阻隔・隔・地隔・杜隔・防隔・遥隔・壅隔・離隔・籬隔・遼隔・路隔

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