雄島(読み)オシマ

デジタル大辞泉 「雄島」の意味・読み・例文・類語

お‐しま〔を‐〕【雄島】

宮城県松島湾の島。陸に近く渡月橋が架かる。[歌枕]
「見せばやな―のあまの袖だにもぬれにぞぬれし色はかはらず」〈千載・恋四〉

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精選版 日本国語大辞典 「雄島」の意味・読み・例文・類語

お‐じまを‥【雄島】

  1. ( 「おしま」とも ) 宮城県、松島湾北西部の島。陸に最も近い島で小松崎と渡月橋によって結ばれている。小島。御島。歌枕。
    1. [初出の実例]「松嶋やをじまの磯にあさりせしあまの袖こそかくはぬれしか〈源重之〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)恋四・八二七)

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日本歴史地名大系 「雄島」の解説

雄島
おしま

[現在地名]松島町松島

名勝松島を構成する島の一で、小島・御島とも書く。仙石線松島海岸駅の南東四〇〇メートル、小松こまつ崎の東に浮ぶ南北二〇〇メートル、東西五〇メートルくらいの小島で、朱塗の渡月とげつ橋とよばれる橋で陸とつながっている。もと千松ちまつ島とよばれ、松島の地名発祥の地。俗に「奥州の高野」といわれ(「松島夜話」、「奥州名所図会」宮城県図書館蔵)瑞巌寺の奥院とされる特別霊地である。島は松島を形造っている第三紀凝灰岩で成立ち、その崖面に無数の岩窟がうがたれ、また石仏・五輪塔・棹石塔婆・戒名等が刻まれ、板碑・歌碑・句碑が林立している。

雄島の性格は観応年間(一三五〇―五二)にこの地を訪れた宗久の「都のつと」に最もよく描写されている。すなわち「それよりすこしへたゝりて小島あり、これなんをしまなるへし、小舟につなをつけて、くり返しつゝかよふ所なり、(中略)此国の人はかなく成にける遺骨ををさむる所なり、その外発心の人のきりたる、もとゆひなともおほくみゆ」とある。この性格は江戸時代以降も続き、芭蕉の「おくのほそ道」には「雄島が磯は地つゞきて海に出たる島也。(中略)はた、松の木陰に世をいとふ人も稀々見え侍りて、落穂・松笠など打けぶりたる」とあり、「奥州名所図会」には「松島念仏踊り(中略)盂蘭盆の頃専らあり、国師の百八首の歌に節をつけて、遠近の老若男女うちまぢり、声おもしろくうたひつれ、鉦鼓小太鼓など打ちならし(中略)松島にいたり、道すがら施入の米銭を御島に納めて親族不離の亡霊に供養す」とある(この「雄島参り」は現在は行われていない)。さらに現在、瑞巌寺で毎年大晦日に行われる「火鈴こうりん」の行事に、島内を巡拝中にこの年に死ぬ者が役僧に姿を見せ衣にすがりつくといい伝えられている。


雄島
おしま

[現在地名]三国町安島

安島あんとうの西方約二〇〇メートルの沖合にあり、安山岩からなる小島。島内には大湊おおみなと神社が祀られる。別名の三保みほ島は同社の古名三保大明神にちなむ。「朝倉始末記」によると、朝倉氏滅亡後、織田信長の越前平定に対抗して一向一揆方の城郭がいくつか作られたが、「安島浦ノ三保島」にもその一つが作られている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雄島」の意味・わかりやすい解説

雄島
おしま

福井県の北西端、坂井市(さかいし)三国町安島(みくにちょうあんとう)の沖合いにある小島。周囲約4キロメートル。約220メートルの雄島橋で安島地区と結ばれている。全島はねずみ色の輝石安山岩からなり、とくに柱状節理がよく発達している。北東部は季節風を受けることが少ないので、タブノキなどの常緑広葉樹が繁茂して、大湊神社(おおみなとじんじゃ)の社叢(しゃそう)をつくっている。同社の祭神は事代主命(ことしろぬしのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)で、航海、漁業の守護神として信奉されてきた。本殿・拝殿・男神坐像(ざぞう)は県指定文化財。三国駅から安島までバス20分、下車後徒歩10分。また東尋坊(とうじんぼう)から遊覧船も出ている。

[印牧邦雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雄島」の意味・わかりやすい解説

雄島
おしま

福井県北部,日本海に突出した陣ヶ岡台地 (→加越台地 ) の先端にある無人島。面積 0.1km2坂井市に属し,雄島橋で本土と結ばれる。国指定名勝・天然記念物東尋坊と同様,輝石安山岩の柱状節理が荒波に洗われた特異な景観を示す。ヤブニッケイ,タブノキ,スダジイなどの常緑広葉樹の群生がある。越前加賀海岸国定公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「雄島」の解説

雄島(おしま)〔宮城県〕

宮城県宮城郡松島町の松島湾西部に位置する群島「松島八島」のひとつ。島に繋がる朱塗りの「渡月橋」は東北地方太平洋沖地震により被災したが、現在は復旧している。

雄島(ゆうじま)〔山口県〕

山口県萩市、須佐湾口に位置する島嶼群。海食崖の発達した景勝地で、国の名勝・天然記念物に指定されている。「天神島」「イロハ島」ともよばれる。

雄島(おしま)〔福井県〕

福井県坂井市、安島岬の沖合に位置する安山岩の島。国の天然記念物「東尋坊」があり、本土とは遊歩道で結ばれている。

雄島(おじま)〔石川県〕

石川県七尾市の七尾南湾内にある無人島。

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事典・日本の観光資源 「雄島」の解説

雄島

(福井県坂井市)
ふるさと福井の自然100選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の雄島の言及

【松島】より

…宮戸島),富山(117m),扇谷,多聞(たもん)山(50m)は松島四大観(壮観,麗観,幽観,偉観)と称される。 海岸付近には史跡が多く,1609年(慶長14)に再建され,国宝・重要文化財の多い伊達家の菩提寺瑞巌(ずいがん)寺,藩主の観月の場となり〈月見の御殿〉と呼ばれた観瀾亭,坂上田村麻呂の創建と伝え,後に伊達政宗が再建した五大堂,円通院霊屋,陽徳院霊屋があり,渡月橋を渡った雄島(千松島)には奥州三古碑の一つといわれる頼賢(らいけん)碑があり,岩壁には卒塔婆の形を彫った跡が多い。松島湾の支湾塩釜湾の奥には奥州一宮の塩竈(しおがま)神社が鎮座する。…

【東尋坊】より

…近くの松林を縫う遊歩道には,高見順,三好達治,高浜虚子,森田愛子ら三国にゆかりのある詩人の文学碑が立ち並ぶ。東尋坊の景観の一部となる北に浮かぶ雄島はカンラン石輝石安山岩の板状節理を見せ,タブノキ,シイを主とする典型的な照葉樹林をもつ。島内には式内社とも伝える海上安全の神大湊神社が鎮座する。…

※「雄島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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