(読み)ゲン

デジタル大辞泉 「験」の意味・読み・例文・類語

げん【験】

仏道修行を積んだしるし。特に修験者の行う加持祈祷かじきとうのききめ。
ある事を行ったことによるききめ。効果。
「こんな姑息手段で断えず額を冷やして見たが、一向はかばかしい―もないので」〈漱石
縁起。前兆。「が悪い」「をかつぐ」
[類語]縁起効果き目しるし成果こう実効効験効能効力効用甲斐かい霊験作用

けん【験〔驗〕】[漢字項目]

[音]ケン(慣) ゲン(呉)(漢) [訓]ためす しるし
学習漢字]4年
ケン
証拠によって確かめる。ためす。「験算経験試験実験体験被験者
試験。「受験
しるし・ききめ。「効験
ゲン〉仏道におけるしるし。「霊験修験道しゅげんどう
[名のり]とし

けん【験】

げん(験)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「験」の意味・読み・例文・類語

げん【験】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある行為を行なったという証拠。しるし。あかし。
    1. [初出の実例]「真備自観、信足験」(出典:続日本紀‐宝亀元年(770)一〇月丙申)
    2. [その他の文献]〔史記‐晉世家〕
  3. 仏道の修行によって現われた具体的な不思議なしるし。効験。また、特に修験者の行なう加持祈祷などのききめ。あるいは修験者そのものをもさす。
    1. [初出の実例]「源宰相、なほすべき方おぼえねば、比叡にのぼりて、あるが中にげんかしこき所に、四十九所に、よき阿闍梨四十九人をえりて〈略〉四十九壇に聖天供を〈略〉行はせ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)
  4. ( 形動 ) 加持祈祷などのききめがあること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「いとも験(ゲン)なる法師にて凡疫病(ゑやみ)妖灾(もののけ)(いなむし)などをもよく祈るよしにて」(出典:読本・雨月物語(1776)蛇性の婬)
  5. ( から転じて ) 一般的に、ある行為を行なったことによるききめ。効果。
    1. [初出の実例]「いくたびせらるるも験もないに又云へばかうせらるるぞ」(出典:史記抄(1477)九)
    2. [その他の文献]〔淮南子‐主術訓〕
  6. 吉凶のきざし。前兆。縁起(えんぎ)
    1. [初出の実例]「われに浦々口の娘子供が、惚れくさるが、げんがわるいに依って」(出典:歌舞伎・傾城青陽𪆐(1794)発端)
  7. むくい。応報。〔論衡‐乱龍〕

験の補助注記

( について ) 一説に縁起の倒語ギエンの約とする説がある。


けん【験】

  1. 〘 名詞 〙げん(験)

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普及版 字通 「験」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 18画

(旧字)驗
人名用漢字 23画

[字音] ケン・ゲン
[字訓] ためす・しるし

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は驗に作り、僉(せん)声。僉に檢(検)・儉(倹)(けん)の声がある。〔説文〕十上に「馬の名なり」とするが、〔玉〕に「なり、證なり」とあり、その義に用いる。〔説文〕にも讖(しん)・籤(せん)の各字条に「驗なり」と訓し、予言に対する徴験の意としている。〔段注〕に「檢證」の字を(けん)とするが、経籍にはみな驗を用いる。僉は二人並んで神前拝舞し祈る形。驗はあるいはわが国の競べ馬のように、馬を用いて神意を験することがあったのかもしれない。

[訓義]
1. ためす、こころみる、しらべる。
2. しるし、きざし、あかし。
3. ききめ、効果、経験。
4. 馬の名。

[古辞書の訓]
名義抄〕驗 シルシ・ミルニ・カムガフ 〔立〕驗 アキラカニ・アカス・セム・ココロミ・シルシ・ウツツニ・ウツラニ 〔字鏡集〕驗 カムガフ・ウツツ・シルシ・アキラカニ・ミルニ・セム

[熟語]
験劾験覈験看・験関・験左験査験屍・験視・験試・験実・験収・験証・験真・験訊・験治・験白験覆・験方・験夢・験明・験問
[下接語]
按験・案験・応験・該験・経験・検験・考験・効験・左験・査験・参験・試験・実験・受験・修験・証験・神験・占験・体験・徴験・符験・明験・霊験

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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