精選版 日本国語大辞典「験」の解説
げん【験】
〘名〙
① ある行為を行なったという証拠。しるし。あかし。
※続日本紀‐宝亀元年(770)一〇月丙申「真備自観、信足レ為レ験」 〔史記‐晉世家〕
② 仏道の修行によって現われた具体的な不思議なしるし。効験。また、特に修験者の行なう加持祈祷などのききめ。あるいは修験者そのものをもさす。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「源宰相、なほすべき方おぼえねば、比叡にのぼりて、あるが中にげんかしこき所に、四十九所に、よき阿闍梨四十九人をえりて〈略〉四十九壇に聖天供を〈略〉行はせ」
③ (形動) 加持祈祷などのききめがあること。また、そのさま。
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「いとも験(ゲン)なる法師にて凡疫病(ゑやみ)妖灾(もののけ)蝗(いなむし)などをもよく祈るよしにて」
④ (②から転じて) 一般的に、ある行為を行なったことによるききめ。効果。
※史記抄(1477)九「いくたびせらるるも験もないに又云へばかうせらるるぞ」 〔淮南子‐主術訓〕
⑤ 吉凶のきざし。前兆。縁起(えんぎ)。
※歌舞伎・傾城青陽𪆐(1794)発端「われに浦々口の娘子供が、惚れくさるが、げんがわるいに依って」
⑥ むくい。応報。〔論衡‐乱龍〕
[補注](⑤について) 一説に縁起の倒語ギエンの約とする説がある。
けん‐・する【験】
〘他サ変〙 けん・す 〘他サ変〙
① しらべる。ためす。こころみる。
② 験算する。
けん【験】
〘名〙 ⇒げん(験)
けん‐・す【験】
〘他サ変〙 ⇒けんする(験)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報