鳥島(読み)トリシマ

デジタル大辞泉 「鳥島」の意味・読み・例文・類語

とり‐しま【鳥島】

東京都伊豆諸島南端の火山島。明治35年(1902)の大爆発で住民が全滅。現在は無人島国際保護鳥アホウドリの繁殖地。
硫黄鳥島

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精選版 日本国語大辞典 「鳥島」の意味・読み・例文・類語

とり‐しま【鳥島】

  1. [ 一 ] 東京都、伊豆諸島最南端の火山島。明治三五年(一九〇二)の大噴火の際に住民一二五人全員が死亡。昭和二二年(一九四七気象観測所が置かれたが、同四〇年群発地震により全所員が離島した。国際保護鳥アホウドリの繁殖地として知られる。面積四・四平方キロメートル。
  2. [ 二 ] 沖縄県、沖縄島の北方約一一〇キロメートルの沖合にある火山島。硫黄を採掘。昭和三四年(一九五九)の噴火の際に全住民が離島し、無人島となった。面積二・二五平方キロメートル。英語名サルファー島(Sulphur Island)。硫黄鳥島。久米鳥島

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日本歴史地名大系 「鳥島」の解説

鳥島
とりしま

東京都心から南方約六〇〇キロに位置し、伊豆諸島のなかでかつて人の住んだことのある最南端の島。標高四〇三メートルの火山硫黄いおう山によって形成された島で、東西約二・七キロ、南北約二・四キロ、面積約四・四平方キロ。安永三年(一七七四)八丈島の地役人服部源六・山下与総らが幕府の命令を受けて無人島(小笠原諸島)に向かう途中当島に至ったと報告している。天保一二年(一八四一)には難風に遭って漂流していた土佐国宇佐うさ(現高知県土佐市)の漁船の乗組員(五人)が上陸している。このときは無人島で「藤九郎」という鳥が多くすみ着いており、彼らはこれを捕らえて命をつないだ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鳥島」の意味・わかりやすい解説

鳥島(東京都、伊豆諸島)
とりしま

東京都八丈支庁に属し、伊豆諸島の南端(八丈島の南方約280キロメートル)にある玄武岩~安山岩の二重式の活火山島。ほぼ円形で、直径2.5キロメートル前後、面積4.4平方キロメートル。外輪山は成層火山。最高地点は中央火口丘噴石丘)の硫黄(いおう)山(394メートル)。火山構造上の弱線が南北方向に走り、山腹や付近海底からも爆発し、溶岩流も出す。1886年(明治19)アホウドリの羽毛採取などで人が定住したが、1902年(明治35)8月の大爆発で中央火口丘が吹き飛ばされ、島民125人が全滅。日本における噴火予知をねらいとする火山観測は、この惨害を契機として創始された。その後サンゴ採取のため移住者があったが、1939年(昭和14)の大噴火で中央火口丘が再生し、溶岩流も発生し、全住民が離島。1947年(昭和22)に気象観測所が設けられたが、1965年に群発地震で全所員が撤退し、無人島となった。国際保護鳥であり、特別天然記念物であるアホウドリの繁殖地で、一時絶滅に瀕(ひん)したが、しだいに増加し、2011年(平成23)の推定個体数は2755羽となっている。島全体が天然保護区域に指定されている。

[諏訪 彰]


鳥島(沖縄県)
とりしま

沖縄県の最北端(沖縄本島の北方約80キロメートル)、東シナ海上にある、霧島火山帯の活火山島。島尻(しまじり)郡久米島町(くめじまちょう)に属し、第二次世界大戦後、1945~1972年(昭和20~47)にはアメリカ軍の軍政下にあった。沖縄鳥島、琉球鳥島(りゅうきゅうとりしま)、あるいは硫黄鳥島(いおうとりしま)とよばれる。安山岩質の2火山が接合し、長さ(南東―北西)2.7キロメートル、幅1キロメートルの島をなしている。南東側の火山は三重式で、中央火口丘は溶岩円頂丘。北西側にある島内最高の硫黄岳(212メートル)は噴石丘で、山頂火口内には数か所に硫気孔が現存する。有史以後も10回噴火し、最古は1664年(寛文4)、最新は1968年。すべて爆発型で、溶岩を流出したことはない。1903年(明治36)の大噴火で、全島民が翌1904年にかけて久米島へ避難し、鳥島集落をつくった。1959年の噴火でも、アメリカ軍が全島民を移住させた。1967年の小噴火以後、無人島となっている。

[諏訪 彰]

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改訂新版 世界大百科事典 「鳥島」の意味・わかりやすい解説

鳥島 (とりしま)

東京都八丈支庁に属する火山島。伊豆諸島の最南端,北緯30°29′,東経140°19′にあり,面積4.4km2。直径1.5kmの山頂火口をもつ外輪山と,子持山,硫黄山の二つの中央火口丘からなる二重式火山である。外輪山はおもに玄武岩質の溶岩と火砕岩からなる。子持山は玄武岩質のスコリアでできた噴石丘で,1902年の爆発で大爆裂火口と湾入をつくり,39年の噴火では噴石丘の硫黄山をつくった。1886年この島で繁殖するアホウドリの羽毛を採取するため移住が行われたが,1902年の爆発で島民125人全員が死亡した。47年気象観測所が設けられたが,65年に地震が群発したため閉鎖され,以後無人となった。アホウドリ(特天。国際保護鳥)の唯一の繁殖地で一時絶滅に瀕したが,2005年現在,繁殖つがい数325組,総個体数1600~1700羽と推定される。08年より火山の危険性から逃れるため小笠原諸島聟島へのヒナの移住が開始された。
執筆者:


鳥島 (とりしま)

沖縄県最北端(北緯27°52′,東経128°14′)の東シナ海上にある活火山島。硫黄鳥島ともいう。南北約2.6km,最高点217m,面積2.25km2。島尻郡具志川村に属するが,現在は無人島。北側の新しい火山は硫気を噴出し,周辺に噴石が散乱している。14世紀ころから硫黄が採取され,琉球王府から中国への朝貢品となっていた。1631年(寛永8)と1829年(文政12)の爆発で島民は一時避難したが,1903年の大爆発の際に全島民が久米島の具志川間切(まぎり)に避難し鳥島集落をつくった。同年の戸数100,人口676。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鳥島」の意味・わかりやすい解説

鳥島
とりしま

東京都伊豆諸島南端にある無人の火山島。別称伊豆鳥島。国際保護鳥で国の特別天然記念物アホウドリが数多く生息し,島名の由来となった。直径 2.7kmのほぼ円形をなし,北方の海底火山のカルデラ南縁部に位置する活火山。有史以来噴火を繰り返し,1902年の大噴火では 125人の島民全員が死亡した。1939年には中央火口丘の硫黄山(394m)が形成された。1947年気象観測所が設置されたが,群発地震により噴火が予測され,1965年に閉鎖,以来無人島となった。1965年全域が天然記念物に指定。面積 4.79km2

鳥島
とりしま

硫黄鳥島」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「鳥島」の意味・わかりやすい解説

鳥島(東京)【とりしま】

八丈島南方約280km,北緯30°29′,東経140°19′にある伊豆諸島最南端の島。東京都八丈支庁に属し,面積4.78km2。ほぼ円形の二重式活火山島で,1902年の大爆発では住民125人が全滅。戦後気象観測所が設けられ,気象観測を続けたが,1965年爆発の危険を避け閉鎖,現在は無人島。アホウドリ(特別天然記念物)生息地として有名。
→関連項目伊豆諸島八丈実記

鳥島(沖縄)【とりしま】

奄美群島徳之島西方,北緯27°52′,東経128°14′にある島。硫黄鳥島とも。沖縄県島尻郡久米島町に属する。面積2.5km2。活火山島で,古くから硫黄採取が行われた。1903年の爆発後,住民約700人は久米島に移住。のち帰島したが,1960年の噴火で沖縄本島に移り,現在は無人島。

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デジタル大辞泉プラス 「鳥島」の解説

鳥島〔東京都〕

東京都伊豆諸島の青ヶ島の南方約230m、太平洋上に浮かぶ火山島。国の特別天然記念物であるアホウドリの繁殖地で、島全体が天然記念物に指定されている。天保年間に中浜万次郎(ジョン万次郎)らが漂着し、5ヵ月後に米国の捕鯨船に救出されたエピソードでも知られる。

鳥島〔長崎県〕

長崎県五島市、福江島南西端の大瀬崎灯台から南西へ約60kmの東シナ海に位置する岩礁群。「肥前鳥島」ともいう。北小島、中小島、南小島の3島からなる、同県最西端の無人島。かつては米軍の演習区域で、射爆訓練に使用されていた。

鳥島〔沖縄県〕

沖縄県島尻郡久米島町に属する、東シナ海の無人島。久米島から北へ約25kmに位置する。「久米鳥島」とも呼ばれる。戦前は海鳥が集まる島だったが、戦後は米軍の射撃訓練場となった。

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世界大百科事典(旧版)内の鳥島の言及

【具志川[村]】より

…また,野菜,花卉栽培も盛んになっている。市街化している南部の鳥島地区は,1903年徳之島西方の硫黄鳥島の噴火のため,翌年にかけて全島民が移り,定住したところである。18世紀前半に建てられた上江洲(うえず)家住宅(重要文化財),15世紀後半ころの築城になる具志川城跡(史)がある。…

【尖閣諸島】より

…北小島は南小島のすぐ北に位置し,面積0.31km2,最高標高129mで,クロアジサシが群生する。北小島と南小島はあわせて鳥島ともいわれ,大正の中ごろまで古賀辰四郎が鰹節工場を操業していた。 各島とも古くから航海上の目標となってきた。…

※「鳥島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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