精選版 日本国語大辞典 「加」の意味・読み・例文・類語
くわ・える くはへる【加】
〘他ア下一(ハ下一)〙 くは・ふ 〘他ハ下二〙
② 程度を増す。
③ 位などを上げる。のぼす。
※今鏡(1170)一「『左中弁にくはへさせ給へ』と申しければ」
④ 仲間に入れる。とり入れる。
※阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)六八「住吉の浜といふをくはへてうみつらをよめ」
※源氏(1001‐14頃)松風「つくろふべき所々のあづかり、今くはへたる家司(けいし)などに仰せらる」
⑤ 置く。当てる。
⑥ ある作用を他に及ぼす。また、特に、好ましくないことを相手にこうむらせる。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)四「彼れは怨を為りと雖も、而も報を加(クハヘ)ず」
⑦ 治療、あわれみなどを施す。
⑧ たし算をする。たす。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
くわわ・る くははる【加】
〘自ラ五(四)〙
※書紀(720)安閑元年閏一二月(寛文版訓)「味張今自り以後、郡の司に勿預(なクハハリそ)」
② ある物事に重ね添う。ふえる。重なる。
③ 位階や力などが増す。また、物事にある作用が及ぼされる。与えられる。
※書紀(720)継体二三年三月(図書寮本訓)「国内の大人の預(クハハ)りて堂(との)に昇る者、一り二り」
④ ゆきわたる。及ぶ。
※大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)七「皇霊遐に暢びて、威、鉄囲の表(ほか)に加(クハハリ)」
くわえ くはへ【加】
〘名〙 (動詞「くわえる(加)」の連用形の名詞化)
① 加えること。増しふやすこと。たし。
※浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)嫁入式三献「花嫁君に二度つぎて、左へ二あし立時に、くはへは六足(むあし)あゆみよる」
④ 数学で、たすこと。たし算をすること。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
くわ・ゆ くはゆ【加】
※信心録(ヒイデスの導師)(1592)三「ジヒ ワ タニン ノ ナンギ ヲ フビン ト ヲモウテ、ソレ ヲ ワガ ウエ ニ ウケ カカリテ リョウケン ヲ cuuayuru(クワユル) ヤク ナリ」
か‐・す【加】
[1] 〘自サ変〙 加わる。増す。ふえる。
[2] 〘他サ変〙 加える。増す。ふやす。
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)四「勧修(ごんしゅ)するもの有れば必ず加(カ)す。少善なれども是を重くす」
か【加】
〘名〙 物が増えること。増やすこと。
※洒落本・風俗八色談(1756)一「彼を去り此を加ふるこそ加減ともいふべけれ。今は減はなく加(カ)ばかりと見ゆ」
くわ・う くはふ【加】
〘他ハ下二〙 ⇒くわえる(加)
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