大津市(読み)オオツシ

デジタル大辞泉 「大津市」の意味・読み・例文・類語

おおつ‐し〔おほつ‐〕【大津市】

大津

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日本歴史地名大系 「大津市」の解説

大津市
おおつし

面積:三〇二・一七平方キロ

滋賀県の南西端に位置する。市域は南流する瀬田せた川左岸の旧栗太くりた郡、同右岸の旧滋賀郡からなる。旧滋賀郡域は南北に長く、音羽おとわ山系・比叡山系・比良山系などにより京都市・宇治市と接し、その北端部では滋賀郡志賀しが町・高島郡朽木くつき村と境する。旧栗太郡域は南端部が京都府綴喜つづき宇治田原うじたわら町と接し、東から北にかけては甲賀郡信楽町・栗太郡栗東りつとう町・草津市と境する。平野部は湖岸沿いと、瀬田川およびその支流の大戸だいど川流域にみられる。名神高速道路・国道一号・同一六一号・同四二二号、JR東海道新幹線・東海道本線・湖西線、京阪石山坂本線・同京津けいしん線が通る。また膳所ぜぜ地区より草津市に近江大橋、堅田地区より守山市に琵琶湖大橋が架けられている。

〔原始・古代〕

大津市の歴史の黎明は早く、琵琶湖と瀬田川の水の恵み、比良山系の山の恵みと、豊かな自然が古代人の生活を支えていた。東日本とつながる近江国と、西日本につながる山城国との隘路に位置していることも、地理的に大津市の重要性を高める原因となった。南部の瀬田・田上たなかみ山などから発見されたナイフ形石器真野まの田上山・瀬田川川底などから発見された有舌尖頭器などにより数万年前から人間の営みがあったことが知られる。約八千年前にさかのぼる縄文早期の石山いしやま貝塚は縄文時代の大津市を象徴するものである。石山貝塚のあとも粟津湖底あわづこてい遺跡・滋賀里しがさと遺跡など湖辺を中心に集落が営まれている。弥生前期中段階にはすでに錦織にしこおりから滋賀里地域で人々の活動が始まり、おそらくこの時期に米作りが伝わったのだろう。縄文晩期の滋賀里遺跡では弥生前期中段階の土器が出土し、縄文晩期から途切れることなく人々の生活が継続して営まれており、大津市の古代の環境の良さを示す。「扶桑略紀」には天智天皇七年(六六八)の時代のこととして、「正月十七日、於近江国志賀郡、建崇福寺、始令平地、掘出奇異宝鐸一口、高五尺五寸」とあって、銅鐸が発見されており(現在行方不明)、五尺五寸という計測がたしかだとすると日本最大の銅鐸となる。弥生中期後半および後期末の二時期に湖西を中心に高地性集落遺跡が出現することも、当地の弥生文化の先進性を示すものだが、この先進性は古墳時代にもみられ、四世紀後半には前方後方墳皇子山おうじやま古墳が築かれる。さらに最近三世紀代にさかのぼる可能性をもった壺笠山つぼかさやま古墳が発見されている。六世紀後半に入ると、坂本から錦織の地域を中心に渡来系氏族の集落も営まれるようになり、渡来文化を取入れた高度な文化が花開いていた。


大津市
おおつし

2006年3月20日:大津市が滋賀郡志賀町を編入
【志賀町】滋賀県:滋賀郡
【大津市】滋賀県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大津市」の意味・わかりやすい解説

大津〔市〕
おおつ

滋賀県南西部,琵琶湖南西岸に広がる市。県庁所在地。1898年市制。1932年滋賀村,1933年膳所町,石山町の 2町,1951年坂本村,下阪本村,雄琴村,大石村,下田上村の 5村,1967年堅田町,瀬田町の 2町,2006年志賀町を編入。天智6(667)年天智天皇近江大津宮を造営して遷都。その所在地は西部の南滋賀付近と推定されている。中心市街地の大津は平安時代は京都の外港,琵琶湖水運の要津,園城寺(三井寺)の門前町として繁栄。中世末期は京極氏城下町となり,江戸時代は東海道宿場町,湖上交通の要地,米相場の立つ商業経済の中心地として栄えた。江戸時代に大津城は廃止となり,膳所城が築かれ,城下町は膳所に新設された。今日,浜大津は観光基地,膳所は住宅地,石山付近は工場地帯をなし,レーヨン,電機,紡績などの工場が立地。1960年代から南北の郊外,西の丘陵や瀬田に住宅地が拡大。延暦寺日吉大社,園城寺,石山寺近江神宮建部神社など由緒ある社寺があり,多くの史跡,名勝,文化財をもつ。比叡山,堅田,瀬田などの景勝地も多く,近江八景のうち七つが含まれる。市の北方は朽木・葛川県立自然公園に,南方は三上・田上・信楽県立自然公園に,湖岸一帯は琵琶湖国定公園にそれぞれ属する。JR東海道本線,湖西線,京阪電気鉄道の石山坂本線および京津線,名神高速道路,国道1号線,161号線,367号線,422号線,477号線が通る。面積 464.51km2。人口 34万5070(2020)。

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