天気図上の気圧配置の形の一種で、低気圧または低圧部から細長く伸びる低圧域。トラフtroughともいう。地上の気圧の谷は前線を伴うことが多い。気圧の谷を形成する等圧線(地上天気図の場合)または等高線(高層天気図の場合)は低緯度側にくぼみ、各等圧線または各等高線のくぼみがもっとも大きい点(曲率が最大の点)を結んだ線を谷線または単に谷という。
地上天気図では地形などの影響が大きいので等圧線の形状が複雑であるが、高層天気図では偏西風波動(偏西風の蛇行)を反映して等高線は明瞭な谷状になっている。偏西風波動の振幅が増大すると、等高線の湾曲が極端になって、谷の南端に低気圧が形成されることがある。この低気圧を切離低気圧とよぶが、多くの場合、中心域に寒気を伴うので、寒冷渦または寒冷低気圧とよばれる。寒冷渦は地上低気圧と密接に関係している場合とそうでない場合があるが、上空に寒気があるため雷雨や豪雨がおこりやすい。
一方、高気圧または高圧部から細長く伸びる高圧域を気圧の峰(または気圧の尾根)という。気圧の峰はリッジridgeともいう。気圧の峰を形成する等圧線または等高線は高緯度側に凸状で、各等圧線または各等高線の曲率が最大の点を結んだ線を峰線または単に峰という。
気圧の谷と気圧の峰は偏西風波動を反映して交互に東西に並び、多くの場合、波長は数千キロメートルである。上層の気圧の谷・峰と地上低気圧・高気圧は、偏西風波動の一環として三次元的に結合した大規模な大気擾乱(じょうらん)で、その立体構造は地上低気圧・高気圧の中心を通る東西方向の鉛直断面で考察される。すなわち、地上低気圧の中心と上層の気圧の谷を結ぶ線(気圧の谷の軸という)が西に傾いていると、その前面(東側)で暖気が上昇し、後面で寒気が下降して地上低気圧は発達し、気圧の谷の軸が直立すると、地上低気圧は発達せずに衰弱を始める。上層の気圧の峰と地上高気圧の場合は、地上高気圧の中心と上層の気圧の峰を結ぶ線(気圧の峰の軸という)が西に傾いていると、その前面で寒気が下降し、後面で暖気が上昇して地上高気圧は発達し、気圧の峰が直立すると地上高気圧は発達せずに衰弱を始める。
[股野宏志]
『小倉義光著『一般気象学』第2版(1999・東京大学出版会)』
trough
高層天気図で,等高度線が地形図でいう谷状になっている所の底線。天気解説ではふつう500hPaまたは700hPaなどの高層天気図にみられる谷をいい,特に東進する偏西風波動の谷の前面(東側)のことを地形図にたとえて下り坂と呼んで,荒れる天気(雨・雪・雷・強風など)を予想する。
執筆者:丸山 健人・田中 博
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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