糧・粮(読み)かて

精選版 日本国語大辞典 「糧・粮」の意味・読み・例文・類語

かて【糧・粮】

〘名〙
旅行などに携帯した食料。糒(ほしいい)の類。かりて。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※竹取(9C末‐10C初)「ある時にはかてつきて草のねをくひ物としき
② 食料。糧食
書紀(720)神武即位前乙卯年(熱田本訓)「三年を積(ふ)る間に、舟檝を脩(そろ)へ、兵食(カテ)を蓄(そな)へ」
※観智院本三宝絵(984)下「かてなきものはうゑつかれたるなり」
③ (比喩的に) 生活、成長していく上で、滋養分、ささえとなるもの。また、精神的なささえ。
※梵舜本沙石集(1283)五末「身の後のまことの道のカテをつつまざる事、静に思とくにかなしくこそ侍れ」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の散歩「あらゆる経験を成長の糧として、自家薬籠に取り入れ」
[語誌]上代では「かりて」といい、もともとは旅行などの際に仮に携行する臨時の食糧の意であった。中古初期に「かりて」から「かて」への変化が起こったものと思われる。やがて「臨時の」という意味を失い、②のような一般の食糧の意で用いられるようになる。

りょう リャウ【糧・粮】

〘名〙
① 旅行・行軍などで用いる食料。糧食。かて。
色葉字類抄(1177‐81)「粮 リャウ カテ 或作糧」 〔周礼‐地官・人〕
年貢租税。〔宋史‐職官志三・兵部職方郎中〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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