鹿児島[県](読み)かごしま

百科事典マイペディア 「鹿児島[県]」の意味・わかりやすい解説

鹿児島[県]【かごしま】

九州南部と南方海上の諸島を占める県。南端の与論島は北緯27°線を隔てて沖縄県に対する。県庁所在地は鹿児島市。9186.94km2。170万6242人(2010)。〔沿革〕 かつての薩摩国大隅国2国に当たり,近世を通じて鹿児島(薩摩)藩島津氏が支配。1871年大隅は都城県,薩摩は鹿児島県となり,翌年沖縄以南を分離,1874年都城県を廃止して大隅を合併,1896年に至って現県域が確定。北緯30°以南は第2次大戦後一時米軍政下にあった。〔自然〕 本土地区は西南日本の外帯に属し,中生層が基盤の高隈山地出水(いずみ)山地,薩摩山地,主として花コウ岩の肝属(きもつき)山地など小山塊がある。これらの山地の間はシラスと呼ばれる火山灰台地で占められる。平野は川内(せんだい)川流域を除けば海岸に点在するのみである。霧島,桜島など霧島火山列の活動は現在も盛んで,温泉も各地にわく。諸島部は長島甑島(こしきじま)列島薩南諸島大隅諸島吐【か】喇(とから)列島奄美(あまみ)諸島など)からなる。本土の気候は高温多雨で,しばしば台風上陸地となる。吐【か】喇,奄美地区は亜熱帯気候に属する。〔産業〕 産業別人口構成は第1次11.6%,第2次21.2%,第3次66.7%(2005)。第1次産業の就業者比率は高いが,農業生産力は低い。火山灰台地での,サツマイモ,雑穀,葉タバコ,薩南諸島サトウキビが代表的な畑作物であったが,代わって果樹(柑橘(かんきつ)類・ビワ・パイナップル),促成野菜などの栽培,紅茶の生産,豚,ブロイラー肉牛鶏卵などの畜産が普及している。多雨のため林産資源に富み,特に屋久杉は有名。イワシ,アジ,サバの沿岸漁業,山川,枕崎を拠点とするカツオの漁獲,かつお節生産が活発。ブリ,真珠,タイの養殖も行われる。近年ウナギ養殖が盛ん。鉱業では菱刈の金,薩摩半島南部や種子島砂鉄がある。工業は比較的遅れ,デンプン,焼酎(しょうちゅう),砂糖,ハムなど原料依存の農産加工と,出水,川内の製材・パルプ工業以外は小規模であるが,鹿児島市に臨海工業地帯が造成された。近年は川内,国分などに先端技術産業の立地もみられ,電機分野の伸びが著しい。大島紬(つむぎ),薩摩焼は伝統のある特産物。観光資源に恵まれ,雲仙天草国立公園,霧島錦江湾国立公園,屋久島国立公園,日南海岸国定公園奄美群島国定公園,甑島国定公園がある。1993年屋久島が世界遺産条約の自然遺産リストに登録された。〔交通〕 中心は鹿児島市で,九州新幹線,鹿児島・日豊本線,指宿(いぶすき)枕崎線の基点で,1972年溝辺町(現・霧島市)に完成した鹿児島空港と九州自動車道で結ばれ,薩南諸島への空路も開けている。北部に肥薩線,西部に肥薩おれんじ鉄道,薩摩半島に指宿枕崎線が通じる。
→関連項目九州地方鶏飯

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