あっけらかん(読み)アッケラカン

デジタル大辞泉 「あっけらかん」の意味・読み・例文・類語

あっけら‐かん

[副]《「あけらかん」の音変化》
驚いたりあきれたりして、ぼんやりしているさま。「あっけらかんと眺めていた」
何もなかったように平気でいるさま。何事もあまり気にせず、けろっとしているさま。「注意されてもあっけらかんとしている」
[補説]近年、「あっけらかんとした人」のように、明るくさっぱりした気性や楽天的な性格を表すのに用いられることがある。
[類語](2けろりと平気平静冷静事も無げ平ちゃら平気の平左無頓着むとんじゃく大丈夫悠然泰然自若じじゃく平然冷然恬然てんぜんしれっとしゃあしゃあぬけぬけのめのめおめおめ事ともせず何のその何処どこ吹く風河童かっぱ痛くもかゆくもない

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「あっけらかん」の意味・読み・例文・類語

あっけら‐かん

〘副〙 (「あけらかん」の変化した語)
① 手持ち無沙汰であるさま、何もすることがないさまを表わす語。
※和英語林集成(初版)(1867)「Akkerakan(アッケラカン)シテ ヒ ヲ クラス」
② 意外な状況に直面したり、あきれはてたりして、ぽかんとしているさま、放心状態にあるさまを表わす語。
※藪の鶯(1888)〈三宅花圃〉一〇「今更お嬢さんにねとられましたからって、あっけらかんとしてゐられやアしません」
③ その場所にあるべき物がなく、がらんとしているさまを表わす語。
春夏秋冬帖(1965)〈安住敦〉まゆ玉「町はあっけらかんと、人通りも少なかった」
情趣や感興をわきたたせることもなく、空虚な印象を与えるさま、何事もないようなさまを表わす語。
※医師高間房一氏(1941)〈田畑修一郎〉二「大きな井戸が〈略〉ただあっけらかんと日に照らされてゐたりした」
⑤ 常識的、道徳的に考えれば当然あるはずの屈託、ためらい、恥じらいといった感情がなく、平然としているさまを表わす語。
浅草紅団(1929‐30)〈川端康成〉四八「額に少し皺をよせるのだが、なんといふあっけらかんな顔つきだ」
[補注]⑤に挙げた「浅草紅団」の例は、「あっけらかんな」の形をとっていて形容動詞的であるが、便宜副詞に含めて扱った。しかし、野坂昭如の「とむらい師たち」には「本堂をみると雨戸すべてあけ放ち、アッケラカンに明るい」、柴田翔の「われら戦友たち‐二」には「底のないバケツのようなあっけらかんさにぶつかって」のような形も見られる。

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